●いっぱいに詰まったかこさんの世界
───絵本のなかに、かこさとしさんの往年のキャラクターや、かこさとしさんの姿を探すことができるのが楽しいですね。

往年のキャラクターがそこかしこに

かこさんの姿も!
───こういうお楽しみ要素を入れようと思ったのはいつごろだったのですか?
鈴木:ラフのときは描いていなかったので、絵の本描きのときだったと思います。ラフは何しろ早くやらなきゃいけないと思い、細かいところまで考えなかったので、コックさんとお医者さんの場面も、ラフではコックさんらしい人、お医者さんらしい人を描いていました。かこ先生を出そうなんて最初の段階では思っていなくて。いざ本番の絵を描こうとしたときに、そうだ!かこ先生にしちゃえと思いついたんですよね。子どもたちのために働くこのコックさんやお医者さんが、かこ先生に思えたんです。

小林:最初に絵本に登場する女の子の絵を見せていただいたとき、女の子が手に持っているマグカップの柄が「からすのパンやさん」だったので、こんな風にいくつかキャラクターを入れてくださるんだと喜んでいました。でもまさか、かこ先生が登場するとは思っていなかったので驚きました。
出来上がった原画をまとめて持ってきてくださったときに、会議室に絵を並べて、会社にいたスタッフみんなで絵を拝見したのですが、みんなで「あっ!かこ先生!」と、盛り上がりました。
鈴木:気づかれなかったらどうしようかと思いました(笑)。
───かこさとしさんそっくりで、すぐわかりました(笑)。お医者さんやコックさん姿のかこさんと、鈴木さんの描く子どもたちが話している光景にぐっときてしまいますね。

小林:そのほかにも、かこさとし作品へのオマージュが込められている場面がたくさんあるんです。
たとえば大きな木の下にいる男の子は、『地球』(福音館書店)で「ちがや」という草を持っている男の子。あとから伺ったのですが、「ちがや」は、かこ先生にとって、子どもの頃によく摘んだ思い出深い植物なんだそうです。万里さんは、「まもるさんがそれをどこかで感じ取って描いてくださったんだわ。」と感激されていました。

『みずとは なんじゃ?』の男の子

『地球』の男の子
小林:こちらからは一言も、かこ先生のオマージュにしてくださいとはお願いしていなかったので、すごいなと。それから、もう1カ所、驚いた場面があります。

鈴木:このページでは、山から海に水がずっと流れていきます。絵本『かわ』に登場する各場面がこの見開きに全部入っているので、見比べてみてください。
───ええっ! 見開き2ページが、一冊の絵本のオマージュになっているなんて……!
小林:石段を上るおばあさんは、万里さんがおっしゃるには「かこが、ストーリーに関係ない部分でどうしても入れたくて描いた絵」なのだそうです。これも鈴木さんが何か感じ取って描かれたのでしょうか。

───かこさんが乗り移られたかのようですね……!
鈴木:夢中で描いたもので(笑)。このページには、『かわ』以外にも、トロッコ列車や、万里の長城、からすのパンやさんなど、ほかの絵本のモチーフも描きこんでいるんですよ。
小林:絵本の見返しの絵を初めて見たときも「わあっ!」と声をあげてしまいました。かこ先生への様々なオマージュがたっぷり組み合わされていて、さらに絵本のテーマである水の循環が表されています。こんな豪華な見返しを描いていただけるなんて思ってもみませんでした!

上が『みずとは なんじゃ?』、下は『大地のめぐみ 土の力 大作戦』(小峰書店)
───これだけかこさんの世界が詰め込まれているなんて、ファンはもちろん、かこさとしさんもこれを見たら、きっとびっくりして喜ばれますね!!
鈴木:先生が見て、よくやったじゃない、と言ってくれるといいですね……。
万里さんが「もし父がこの絵本を見たら、“もう、シャッポをぬぎます。あとはおまかせします”というでしょう」と言ってくれたので、嬉しかったです。
───「ちきゅうの いきものの ひとりとして、うみや かわを よごさないようにしましょう。」
「みずの もっている すぐれた せいしつを しった わたしたちは、せっかくの みずのちからを まもり、いきもの みんなが いきてゆけるよう つとめましょう。」
かこさんのメッセージが込められた最後のページで、生き物たちの真ん中に、かこさんの姿があることにも感動しました。

かこさんの下絵

『みずとは なんじゃ?』最後のページ 子どもたちに囲まれた かこさんが描かれています。
小林:絵には、お伝えしきれないくらいのオマージュやお楽しみの要素が入っているので、ぜひ読者の方に発見していただきたいと思います。
鈴木:かこ先生を描いちゃおうとか、ここにこの絵本のモチーフを入れようとか、そういう部分は描いていて面白かったですよね。そのときは夢中でしたが、今にして思えば、かこ先生と架空のやりとりをしていたような感覚がありました。
───鈴木さんの絵の中で、かこさんが遊んでいるみたいに感じられます。
● 『みずとは なんじゃ?』に描き込まれているかこさんの絵本を並べてみせていただきました。

これだけの絵本のオマージュが一冊に! どれだけ見つけられるか挑戦してみてくださいね。
●初回特典「かこさとしさんからのおくりもの」
───初回特典の特製冊子は、かこさんの「水」への思いや、『みずとは なんじゃ?』のかこさんの下絵や原稿も掲載されている、貴重なものですね。 表紙の写真はかこさんの書斎。机の上の鉛筆もそのままで、今にもかこさんが戻ってきて座られそうな気がします。

鈴木:僕はここで先生と会って話したことが心に強く残っています。
はじめの時点で、科学絵本のシリーズにしたいということを聞いていたので、先生がまた元気になって、2冊目、3冊目と繋がればいいなと思って、急いで描きましたが、叶わず残念です。
『みずとは なんじゃ?』で少しでも元気になっていただけたらいいと思ったのですが……。絵本が「できました」とお伝えしたかったんですけどね。できないところが何というか……。
───かこさんは、完成した絵本を見たら、何ておっしゃるでしょうか。
鈴木:そうですねえ。何とおっしゃったでしょうかね。
小林:きっと、「ほーほー、なかなかいい線いってますなー。」っておっしゃるかな(笑)。
───にこにこされている顔が思い浮かびます。
小林:今回、かこ先生がのこしてくださったものを、鈴木まもるさんが最優先で取り組んでくださり、絵本として完成させてくださいました。かこ先生が意図していたであろう深いところも表現してくださり、かこさとしワールドを詰め込んでくださって感動しています。ぜひ、たくさんの方に手に取っていただきたいです。
───かこさんの思いが、たくさんの子どもたちへ届いてほしいです! 最後に絵本ナビユーザーへ、メッセージをお願いします。
鈴木:そうですね。かこ先生の下絵があったからこそ、できた作品です。かこ先生の世界を楽しんでもらえたらと思います。
───ありがとうございました!

たくさんの鳥の巣に囲まれておはなしを伺いました。記念撮影も鳥の巣の前で。
インタビュー・文:掛川晶子(絵本ナビ編集部)
●イベント情報
・『みずとはなんじゃ?』(小峰書店)刊行記念 かこさとし先生からの手紙と『みずとはなんじゃ?』…最後の絵本を託されて
会場:ジュンク堂書店 池袋本店
日時:2018年12月19日(水) 19:30〜(満席となりました)
・『みずとはなんじゃ?』(小峰書店) 刊行記念講演会
会場:教文館9階 ウェンライトホール
日時:2019年1月27日(日)午後2時〜3時30分
▼詳細はこちら
https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/archives/info/21038








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