
ふたりでなら 見えない壁だって 登り切れる
中学1年生のあかりは、小学4年生でスポーツクライミングに出会って以来、毎日のように練習を重ねてきたが、年明けの大会で、スランプにおちいってしまう。スポーツクライミングをやめてしまおうか、とまで考えていたあかりだったが、ひょんなことから、目の不自由な人たちのスポーツクライミング、パラクライミングと出会う。 ナビゲーターとクライマーが2人1組となり、ウォールをのぼっていくパラクライミング。目の不自由な人が本当に壁を登れるのか、と半信半疑な気もちだったあかりは、実際に壁をのぼっていくクライマーの姿を目にし、感動を覚える。 ナビゲーター役として体験イベントに参加したあかりが、ペアを組むことになったのは、同い年の昴というクライマーだった。態度も口も悪い昴のことを、はじめは嫌っていたあかりだったが……
2020年にむけて読者の関心の高まる「パラスポーツ」をテーマにした創作児童文学。主人公・あかりとパラクライマー・昴の物語を通して、「視覚障害やパラスポーツへの理解」をうながす、ほかにはない児童文学です。

ブラインドクライミングって?
「ブラインドクライミング」という全く知らなかったパラスポーツの世界を知ることができました。そして、ブラインドクライミングへの取り組みを通した 中学一年生のあかりと昴、二人の成長物語として、引き込まれて読みました。
パラスポーツの置かれている状況、視覚障がい者として生きる昴の複雑な心情、スポーツから得られる達成感、視覚障がい者の方への接し方、目の見えない人が感じる世界などなど、様々なことが描かれていましたが、すべてストーリーの中で自然にうまく繋がっていて良かったです。
あかりの亡き父の言葉、「夢がかなう瞬間、最後の本気がためされる」という言葉は、あかりだけでなく、この本を読んだ子どもたちをも 支えてくれると思います。中学生以上の方におすすめ。 (なみ@えほんさん 60代・その他の方 )
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