
セイ、あなたと私は驚くほど似ている――。
遠い平安朝に生きた憧れの女性「セイ」を追いかけて、 ヘルシンキから京都、ロンドン、プーケットを旅する長編エッセイ。
仕事にも人生にもうんざりしたアラフォーシングルのフィンランド人「私」は、 長期休暇制度を使って日本へ旅立つ。目的は「清少納言を研究する」ため――。
うだるような京都の夏の暑さ、ゴキブリだらけの「ガイジンハウス」、 同居人たちとのドタバタ劇、博物館や図書館での資料探し、 東日本大震災による精神的混乱、深夜のバーでの友との語らい、 この世のものとは思えないほど美しい桜、女性が生きていくことの困難さ……。 新しい人生へと旅立つ期待と不安を、鮮烈に描いたデビュー作!
■目次 T 始まり。十月 清少納言について知っていること U エスポー。冬から夏 長期休暇――助成金――研究――傲慢と恐怖――引っ越しと出発 V 平安京へタイムスリップ 美と歌の世界 平安時代の女たち 仮名文字 W 京都。九月 暑さ――同居人たち――町 『枕草子』とは何だったのか。様々な伝本 X 京都。九月。第二部 歌舞伎――石庭――坐禅――能――芸者たち 空っぽの部屋、つまり平安時代の調度品 後宮、つまり女たちの世界 Y 京都――九州。十月 庭園――宇治――比叡山――金運稲荷たち――列車の旅――美容院にて――手蹟テスト――苔庭にて――セイ、あなたが見える 宗教と食事について セイ、あなたはどう思われている? 友だちノート、つまり清少納言って誰? Z 東京――京都。十一月 大都市――日文研塹壕――ヴォーグ 嫌味なセイとムラサキ――二人の宮廷女房の争い [ フィンランド――ロンドン。冬 ものづくしの秘密 ヴァージニア・ウルフと女性事情――セイ 四十二人のセイ――訳書 脱線とセイの後継者たち――文学、映画、音楽 \ 男たちと恋人たち 恋人との逢瀬 平安時代の男たち セイの男たちと子どもたち ] 津波――タイ ? 京都。四月 桜――もののあはれ――兼好と私 源氏狩り 和歌テスト ? 京都。五月 坐禅――舞踏――レイのバー 春画よ、セイ 宴会と酒飲みについて セイの運命 XIII 脱ぐこと、纏うこと 最後の質問、つまり『枕草子』とは何だったのか? XIV 終わり――始まり。ノルマンディー。八月から九月
謝辞 あとがき 親愛なるミア・カンキマキさん――訳者解説 参考文献
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