
現代の病根は、7、8世紀に萌芽した? 死への恐れ、衰えない肉体へのあこがれ、純愛やスキャンダル、殺人鬼の出現や親子の断絶……現代でも起こる出来事が『古事記』『万葉集』など約1300年前の古代文学に描かれている。国家の動きや権力の移動ではなく、ふつうの人びとが何を考えどう暮らしていたかを読み解く。
【目次】 はじめに 第1章 異界を旅する 一、死と生の起源−イザナキとイザナミ 二、不老不死を求めて−タヂマモリ 三、永遠の命を棄てた男−浦島子 四、地獄に行った欲張り−田中真人広虫女 五、旅をしなかった男−くらもちの皇子 第2章 女と男/男と女 一、桜の女神と岩石の姉−呪詛する父 二、返されるマトノヒメ−入水する女 三、娘を認知した天皇−他人のそら似 四、松に変身したふたり−恥じる恋 五、蛇に見そめられた女−愛欲の果てに 第3章 エロ・グロ・ナンセンス 一、殉死はなかったか−埴輪の起源 二、天皇の秘かな楽しみ−殺人の快楽 三、大きな神と小さな神−くさい話 四、鬼に喰われた子どもと娘−笑われる親 五、修行僧に感応した吉祥天女−不浄の染み 第4章 スクープされた事件 一、盲目の少年と潔い男−滅びの美学 二、天と赤兄と知る−有間皇子の謀反 三、継母に殺された継子−大津皇子事件 四、額田王をめぐる二人の男−皇室スキャンダル 五、道鏡の一物−女帝の恋 第5章 揺らぐ列島、疲弊する人びと 一、記憶される災厄 二、天武朝の非常事態−地震に魅入られる 三、流行病の発生 四、国家中枢の壊滅−蔓延する「もがさ」 五、貧困と逃亡−救いとしての山上憶良 終章 苦悩する時代の物語 あとがき 日本列島古代年表
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