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		★第71回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(高等学校の部)選定作品★
 【もし、親の耳が聴こえたら――なんて、想像もつかなかった。】
 
 ときに手話を母語とし、ときにヤングケアラーとみなされて、コーダは、ろう者とも聴者(ちょうしゃ)とも違うアイデンティティをもち、複雑な心を抱えて揺れ動く。
 日々の通訳、聴こえない親とのコミュニケーション、母語としての手話、手話歌や「感動ポルノ」との付き合い方、マイノリティとして生きること。作家である著者が、幼少期の葛藤や自身のなかにある偏見と向き合いながら、コーダの目で見た世界を綴る。
 
 2024年9月公開映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」原作者の最新エッセイ集。
 
 ※コーダとは、Children of Deaf Adultsの略(CODA)で、聴こえない/聴こえにくい親のもとで育つ、聴こえる子どものこと。
 
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 「あなたはコーダなんだね」と言われたとき、生まれて初めて感じるような衝撃を受けた。自分のような生い立ちを持つ者を総称する言葉がある。その事実は、たしかな安堵をもたらした。名前が付けられるということは、同じ境遇にある人が一定数以上存在することを意味するだろう。つまり、ぼくはひとりではないということだ。
 (本書より)
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 《Contents》
 はじめに 聴こえない親のもとで育つ、聴こえる子ども
 T 1 聴こえない親との関係/2 ラベルがもたらす安堵感/3 コーダはヤングケアラーか
 U 4 手話とはなにか/5 親との共通言語を取り戻す/6 音楽との付き合い方/7 作品に描かれるマイノリティ/8 「知る」だけで終わらせない
 V 9 テクノロジーとコミュニケーション/10 コーダと家族/11 父について/12 もしも親が聴こえたら
 おわりに コーダを生きる
 
		 理解しあう・・・その先に「コーダ」の映画を見たので聞こえない家族の中で聞こえる人のことを指すのだとは知っていたが
 それでも、その内実は、複雑なのだなと感じた。
 
 「マイノリティな存在を知ってもらうということは大事だけれど、もう、その先に進んでもいいのではないか」という記述があり
 ドキッとさせられた。
 理解しあうことは大事だけれど
 理解したら、その次は、どうすればいいのかということを考えなければならない。
 
 聞こえて見えて、移動にも不自由がないことが前提で設計されている社会を
 どうしていけば、みんなが生きやすい社会になるのか・・。
 コメの値段ばかりが取り上げられ
 一喜一憂しているこの国に
 それを成し遂げられるだけの力がまだ残っているのか
 少し不安にもなった。
 
 手話歌が、感動ポルノだったことは、少し驚いた。
 立場が変われば、それぞれの意見があるものだ。
 
 (やこちんさん 50代・ママ 女の子20歳)
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