
ずっと大切に守りたいものとは?
ぼくの町にはおじいさんの散髪屋がある。 この町に住む人はみんな、入学式、卒業式、結婚式、どんなときもおじいさんに髪を切ってもらっている。だから、おじいさんは町の人のことをよく知っているんだ。 おじいさんの散髪屋は、町の人にとって大切な場所だ。
ある日、ぼくが散髪しに行くと、いつものようにおじいさんは、ぼくの話を聞きながら シャキシャキ、シャキシャキ ところが、散髪が終わりシャンプーが終わったのに、また、ケープをかけて、 シャキシャキ、シャキシャキ おじいさんは、ニコニコと散髪を続けて、いくら止めてもやめてくれなかった。
どうしよう……。 ぼくは、どうなるかとドキドキしたけど嫌じゃなかった。
おじいさんには、ずっとずっと散髪屋を続けてほしいんだ。 町のみんなも、きっとそう願っている。
【編集担当からのおすすめ情報】 町の人にとっての居心地のいい場所、この物語では、それが、おじいさんの散髪屋です。 昔からあったこういう場所をずっと守っていきたいという作者の思いが詰まった物語です。 そして、作者が、常に物語の中で描いてきた、「相手のことを大切に思う優しさ」について、強いメッセージが込められた作品です。
|