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◆まずは面白い気配のするこの2冊の絵本から!
この特集をつくろうと思ったきっかけの絵本です。
お二人とも絵本デビュー作です。絵本として、その完成度の高さに驚かされます。
共通して感じる事が、表紙の絵を見ても、題名を読んでも
「何だか面白そうだぞ」「子ども達が喜びそうだぞ」という気配が漂っていること!
2冊を出版されている大日本図書さんにお伺いすると、お二人とも「絵本塾」出身、というプロフィールがあります。
(絵本塾とは・・・「あとさき塾」と共に作家になる事を目的としている講座で、
現在活躍されている多くの作家さんを輩出されています。詳しくはブログ記事でどうぞ
>>>)
今回絵本ナビでお二人のデビュー作を特集するにあたって、「絵本塾」を主催されている
小野明さん(編集者・エディトリアルデザイナー)
増田喜昭さん(子どもの本専門店「メリーゴーランド店主」)
のお二方がコメントを寄せてくださいました!!
「絵本づくりのプロ」である小野さんと、「絵本を売るプロ」である増田さん、
それぞれのお立場からの紹介文、とっても読み応えがあります。
皆さんも、普段とはちょっと違った視点からその魅力を楽しんでください。
★小野明さんよりコメントを頂きました!
 
『ばけばけばけばけ ばけたくん』『ジェリーの あーな あーな』
シンプルは簡単ではない。シンプルは単純ではない。少なくともつくり手にとっては、そうだと思う。
岩田明子さんと矢野アケミさんは、ともにメリーゴーランドの絵本塾にかつて在籍していた。
だから、講師として参加していた私は、今回めでたく出版されたこの2作品を、最初のラフからずっと見守るという幸運に浴した。その出版のもとになった最終ヴァージョンへのプロセスを思い返すにつけ、ああ、シンプルって複雑だよなあ、と改めて感じるのですね。
創作においては、多彩で豊かなバックボーンをもっていればいるほど、上がりのシンプルさのエッジがくっきりする。鮮やかになる。しなやかになる。それは絵本のワークショップを20年近く続けてきて得た、確たる実感といえる。
そしてさらに心強いことに、この2作にはユーモアがある。『ばけばけばけばけ ばけたくん』の好奇心のはつらつさ。『ジェリーの あーな あーな』のひかえめなとんでもなさ。その楽しい魅力は、たしかなユーモアに支えられ、より輝く。そしてこのユーモアもまた、多彩で豊かなバックボーンゆえの達成でしょう。いやあ、いいスタートを切れましたね。次作も楽しみだなあ。
小野明
「絵本塾」「あとさき塾」について・・・
小野さんのプロフィールについて・・・
ブログ記事もご覧ください >>>
★増田喜昭さんよりコメントを頂きました!
子どものココロってなんだろう。ちかごろあまりにも大人たちのやさしい言葉の連続で、
ほんとうのやさしさが見えなくなってしまうような不安におそわれます。
岩田明子さんの中にある、ちょっとイタズラなココロはきっと子どもにつながる道があるのです。
それがカタチになったのが、この『ばけばけばけばけ ばけたくん』でしょう。
次から次へ、いろんなものを食べまくったあげく、ドロンと消えてしまうあたり、さすがです。
それにしても、本として出版された「ばけたくん」はりっぱです。シャンとしてて、かっこいいです。
ダミーでみていたときよりずっと白と黒が生きています。
さあ、こんどはぼくたち本屋の番です。子どもたちと楽しみ、いっぱい売ること、手渡すことに専念します。
メリーゴーランド店主 増田喜昭

33年も子どもの本屋をやっていると、何となく子どもの喜ぶ本がわかるような気がします。
もちろん、次々と子ども達が生まれ、メリーゴーランドにやってくるのだから、
少しづつ子どもたちの好みというものが変ってきてもおかしくないのだろうけれど、
本質的に子どもの広い視野と何でも受け入れてくれる広い心には驚かされるのです。
大人たちの読んであげたいキモチが子どもにはよーく見えているのでしょう。
と、しても、この「あーな」の本は、大喜びする子ども達の顔が目に浮ぶ。
ジェリーが大好きな穴は、子どもも大好き、できればいっしょにおでんのちくわの穴にもぐりたい気分なのです。
作者の矢野アケミさんは、そこんとこをよっく知っていて、(いや本能かな?)次々と楽しい作品を生みだしていく。
このジェリーシリーズでも次々と続編が出るでしょう。絵本のサイズも色あいも、とても楽しい空気をつくり出しています。
きっとファンが増えることでしょう。
もうぼくは、そのファンの第一号なのですよ。
メリーゴーランド店主 増田喜昭
 
増田さんと矢野さんの2ショット写真です!
増田さんのプロフィールも合わせて・・・
ブログ記事もご覧ください >>>
まだまだあります、気になる絵本。
◆純真無垢な絵本!
冒頭では「傑作、快作」にキャリアは関係ない・・・と申しましたが、
「デビュー作」ならではの輝き、というものも確かにあるのかもしれません。
絵本を描く楽しさ、瑞々しさに溢れているのがこちら↓
「絵本が自然に生まれてくる」なんて事はないのはわかっているのですが、
絵本を読んでいても、作者御本人のコメントを読んでいても、
なんだか「ポロン」と転がるように生まれ出てきてしまった様に感じられるのです。
そう思わせてくれる所がきっと才能なのでしょうね。

★作者のスミカワテルコさんに絵本製作過程についてコメントを頂いています!
スミカワテルコさんのコメントはブログ記事をご覧ください >>>
◆新人作家だけど・・・!?
最後にご紹介するのは・・・
新人作家さんとして紹介するにはあまりにも迫力のあるその存在感!
が、とっても気になるこちらの方
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本作品は、デビュー作ではなく絵本2作目ですが、ご紹介させて頂きます。
表紙を見ると、ほのぼのとして、とても可愛らしい雰囲気ですが、
背後に感じる壮大なスケール観は・・・
阿部さんは何と、現役として大活躍されているアニメーション監督さんなのです。
絵本「あらしのよるに」の劇場版アニメの美術監督も手掛けらたそうです。
だから、絵を描く事に関しては完璧なプロなのですね。
「どんどん どんどん いくらでも筆が進む・・・」なんて事も伝え聞いています。

★作者の阿部行夫さんに絵本製作過程についてコメントを頂いています!
阿部行夫さんのコメントはブログ記事をご覧ください >>>
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