今年刊行された話題作から、読みやすくなった名作作品、何十年も読み継がれてきたロングセラー作品まで、あらためて今読みたい、戦争と平和を伝える本をご紹介します。
◆谷川俊太郎さんのシンプルで力強いことばが、胸にせまります。
![]() ちょうちょと ちょうちょは せんそうしない きんぎょと きんぎょも せんそうしない くじらと くじらは せんそうしない すずめと かもめは せんそうしない すみれと ひまわり せんそうしない ・・・ 同じ種同士でも、たとえ種が違っても、にんげん以外の地球上の生きものはだれもせんそうしません。その中で、なぜにんげんだけが、にんげんの大人だけが、せんそうをやめられないのでしょうか。 日常の中で、子どもたちに戦争のこと、平和の大切さを伝えていくことはなかなか難しいことかもしれません。事情が複雑すぎていたり、身近に実際の体験者が少なくなっていたり、歴史上の出来事があまりにも残酷なために、どこから、どんなことばで伝えたら良いのか迷ってしまうことも多いのではないかと思います。 けれども本書を読むと、伝えるべきことは、ほんとうにシンプルなことなのだと気づかされます。最小限のことばで語られる詩人の谷川俊太郎さんのひとことひとことは、しっかりとした重さをもって読む人の心にゆっくりとしみこんできます。そのことばとともに、江頭路子さんが描く子どもたちののびやかで生き生きとした姿を見ていると、大人が絶対にまもっていかなければならないのは、ここに描かれているような子どもたちの何気ない日常と曇りのない笑顔なのだと強く感じるのです。 複雑で難しい言葉ばかりが行きかって混乱を呼んでいる今だからこそ、大切なことはシンプルなことだと忘れないためにしっかりと受け止めていきたい1冊です。
◆『被爆者 60年目のことば』から10年。被爆者の方から引き継がれる「平和のバトン」
![]() 2005年に刊行された『被爆者 60年目のことば』から10年―。前回インタビューした被爆者の方のその後の10年を伝えるとともに、この10年の間に起きた福島での原発事故による放射線問題についても言及する『続・被爆者 70 年目の出会い』。報道カメラマン会田法行さんによる写真絵本です。 広島・長崎に原爆が投下されてから今年で70年。前作で登場された、13歳の時に被爆して以来、原爆ドームの絵を命をかけて描き続けているという原廣司さん。そのドームの絵はこの10年で1500枚から3000枚を超えるまでとなり、だいぶ足腰が弱くなった今もなお、原爆ドームと向き合う毎日を過ごされています。また24歳の時に原子爆弾で全身にやけどを負い、苦しい人生を送りながらも核兵器の廃絶を訴え続けてきたという片岡津代さん。おしゃべり好きのとても素敵なおばあちゃんという印象があった片岡さんは、想像以上に老いが進み、今回会田さんが訪れた際には話をすることができず、ただ手をにぎり目を見つめるだけの状態となっていました。さらに本書では、福島で起きた原発事故の後、全村避難が決まった飯館村から避難中の佐藤さん一家7人の暮らしについても詳しく紹介されています。飯館村に帰るのか帰らないのか今も答えの出ない葛藤の思いが伝わってきます。 原爆から70年たった今、それぞれのやり方でその苦しい体験と平和への思いを強い意志で語り継いでいる被爆体験者の方々。本を開くまでは辛いことばかりを想像してしまいますが、本書では若い人に平和のバトンをつなぐ、明るい希望も見ることができます。 続きはこちら
◆戦争を伝えるだけでなく、児童文学としてもすぐれた作品が5〜7編収録されたシリーズ、全5巻。巻末には子どもたちに手渡す際のガイドとなる解説も掲載。
![]() もう二度と、くりかえしてはならない ものがたり。 戦争の時代を生きた作家たちが、 今、わたしたちに訴えかける大切なこと 「ひとーつ、ふたーつ、みーっつ。」 夏のある朝、ちいちゃんの命は、空にきえていきました。 おとうさん、おかあさん、おにいちゃんと、 かげおくりをして遊ぶまぼろしを見ながら―――。 表題作「ちいちゃんのかげおくり」はじめ、 戦争の時代を生きた作家が伝える、 忘れてはならない大切なものがたり。
◆子どもの本の作家たち19人が、子どもの頃に見て感じた戦争を描き、伝えます。
![]() 長新太/和歌山静子/那須正幹/長野ヒデ子/おぼまこと/立原えりか/田島征三/山下明生/いわむらかずお/三木卓/間所ひさこ/今江祥智/杉浦範茂/那須田稔/井上洋介/森山京/かこさとし/岡野薫子/田畑精一 子どもの本の作家19人が、描き下ろしの文と絵で子どもたちに戦争を伝える渾身のドキュメンタリーアンソロジー。
◆こちらも要チェックの新刊!
教科書にも掲載されている戦争文学の名作が、今の子どもたちにも手にとりやすく、読みやすく生まれ変わりました!
![]() 7人のむすこたちが兵隊にとられるたびに、庭にキリの木を植えるおかあさん。「父たちがねむる島」など8編を収録。
ヒロシマについて書かれた作品のうち、2013年以降に刊行された新しい作品をご紹介。ヒロシマの原爆体験がさまざまな立場から、子どもたちにも分かりやすい表現で書かれていておすすめです。
平和に暮らしていた人々の運命を一瞬にして変えてしまった原爆投下。生き残った人々が大切な人に伝えられなかった思いの数々を朽木祥さんが祈りをこめて丁寧に描きます。その思いを受け止めながら、成長していく主人公の希未(のぞみ)をはじめとする中学生たち。高学年の子どもたちにも読みやすく、広島を知り、考えるのにおすすめの1冊です。
![]() 小学生のころ、国語の教科書で、ちいちゃんのかげおくりを学習しました。 子どもですから、しばらくの間、お昼休憩のときにはかげおくりをするのが流行しました。 でも、お話が終盤を迎えた頃、いつものようにかげおくりをしていると、クラスでもやんちゃな男の子が「でも、ちいちゃんも家族も、みんな死んでしまったんよね・・・かげおくりしてる間、もう会えないかもしれないって思っている大人は、どんな気持ちだったんかね・・・」とつぶやき、みんなで泣いたのを覚えています。 家族がみんな死んでしまうなんて、小学生には衝撃的なことだし、みんな、自分のことのように感じたんだと思います。 こんな悲しい思いをする人がたくさんできる戦争なんて、世界から消えてほしいです。 (こにゃららんさん 20代・せんせい )
話題の新刊、夏におすすめの読み物を対象年齢別に紹介します!
低学年から
中学年から
高学年から
中高生向け
夏休みも中盤へ!そろそろ宿題のことがちょっと頭の片隅をよぎる頃…?
たっぷり時間がある夏だからこそ、レジャーやイベントに図鑑を持って出かけてみたり、ニュースや映画で観たテーマの本を開いてみたり。 ひとたび開いたまなびの本や図鑑が、子ども達を、あなたを、未知の世界へ連れて行ってくれそうです!
2015年夏、届いたばかりの新刊の図鑑をご紹介しちゃいます!
今年の夏は、鳥?魚?それとも・・・ワンニャン?
![]() 鳥の特徴がよくわかる美しいイラスト図鑑! 鳥の分類は、DNA分析によって大きく変わりました。 本書では、子ども向け鳥類図鑑初の「最新DNA分析コラム」を導入。 、といった、DNA分析ならではの新発見をわかりやすく解説しています。 また「鳥って恐竜の生き残りなの?」、「なぜ鳥は空を飛べるの?」といった鳥類の2大テーマを中心に解説する巻頭特集20ページは必見です。 羽毛恐竜の発見によって、であることが定説となりました。今を生きる鳥と羽毛恐竜との共通点をさぐりながら、恐竜がどうやって空へと進出し、鳥として現代に生き残ったのか、その秘密に迫ります。 この特集を読んだ後は、身近にいるスズメやカラスを見る目がきっと変わるはずです。
ハラハラドキドキ、そばにいたら超コワい。でも、見たいのが危険生物たちの世界。
![]() 人間にとって脅威となりうる危険・有毒生物を約700種収録。 BBC(英国放送協会)の映像によるDVDのほか、スマホで3DCGのARが楽しめる。 海外に生息する恐ろしい有毒生物から、海水浴やハイキングで出会う身近で危険な動植物まで、大迫力のビジュアルで一挙紹介!
パパ・ママが子どもの頃からどんどん進化している図鑑やまなびの本のなかでも、特にすごいのが恐竜の本!
スマホやタブレットPCをあてれば・・・ティラノサウルスが現れちゃうんですから!
7月に地球を飛び立ち、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在中の油井亀美也さん。
はるかかなたの宇宙、油井さんのニュースを観ながら、一緒に旅してみたくなります。
今春は北陸新幹線も開通し、2016年は北海道新幹線が開通を控えてます。
まだまだ鉄道が、熱い!
![]() 最新情報満載の鉄道図鑑! 美しくダイナミックな写真が満載! 話題の北陸新幹線(E7系)の解剖図をはじめ、鉄道のしくみがよくわかります。 DVDには、各種新幹線や特急はもちろん、整備工場のようすや、運転席のようす、訓練所の訓練など、ふだんは見られない映像も盛りだくさん!
この夏は『アリのままでいたい』(東映)という映画も話題になりましたね。
アリになるって…どんな気分、なのでしょう?
自由研究の人気テーマは、やっぱり工作や実験。
学校の授業ではできないこと、家にあるもので簡単にチャレンジできちゃうこと、いっぱい!
![]() 手品実験、おやつ実験、工作実験、発明実験、動物かんさつ実験、理科実験など、かんたんで不思議な実験がぎっしり詰まった大図鑑。自由研究にもピッタリ。不思議な素材「水にとける紙」や、切って試せる「マジックカード」つき!
ママまで盛り上がっちゃう、女の子にぴったりの自由研究の本もご紹介します。
料理、手芸、工作…あぁ、たのしい!
![]() 三重県にある、モータースポーツの聖地である鈴鹿サーキット。 ここに、国際格式のレーシングコースだけでなく、遊園地「モートピア」が併設されているのはご存知でしたか? レーシングコースを縮小したようなコースで、実際に電動カートを操縦したり、キッズバイクに挑戦したり。 「小さい子でも、そんなことができるの?」 ちょっと心配。 そこで、実際に5歳の結衣ちゃん(仮名)がご両親と3人で来園したの時の様子をレポートしながら「モートピア」の魅力をご紹介します! ![]() 2015年8月25日(火)19時〜 スペシャルトークイベント「絵本作家のぶみさん×絵本ナビカナガキ」 お二人をゲストにお迎えし、「みらいの絵本」をテーマにトークセッションをいたします!エリック・カールさんの制作手法を取り入れながら、のぶみさんが「生」の絵本制作にも挑戦。参加者の皆さんにも、お二人と一緒に考えていただくコーナーもあります。
![]() 今年は絵本「リサとガスパール」日本語版刊行15周年。それを記念して8月5日(水)から松屋銀座で大規模な展覧会が開催されます。その「赤い手帳」も日本初上陸との事ですが・・・? 開催の前日、「リサとガスパール展」内覧会におじゃましてきましたので、その様子を一部ご紹介します!
![]() バークリーは、海辺の小さな家にママとふたりで暮らしています。贅沢な暮らしではありませんが、ふたりはしあわせです。 遠い場所から流れついた流木をひろって、バークリーはパパのために舟を作ります。会えないパパに届くように、メッセージを書いたカードをつけて舟を海に浮かべているのです。 誰かのことを思う気持ちを教えてくれるこの絵本、みなさんからの感想やエピソードをお待ちしています! 詳細はこちら>>>
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編集後記
いかがでしたでしょうか。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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