
草木は枯れ、アオムシもチョウチョウもいなくなり、この地球に残っているのは多分ぼくだけ。人々は逃げて、月に行ってしまった。……ひとりぼっちだ。
街を歩いても誰にも会わない。一緒なのはカゲだけ。するとカゲはあっちへいけ!と指をさす。
「やばっ!」
そちらに走っていった途端、地面が爆発して穴があく。崩壊したビルが倒れてくる。ぼくはカゲにみちびかれながら、知らない生きものに出会い、波にさらわれそうになりながら、黒い島にたどり着く。やがて島を出た後も、いつまでも、どこまでも、危険と闇が襲ってくる。
「やばっ!」
なにもかもグニャグニャとけて、いよいよメルトダウン! いったいぼくはどこに向かっているのか。ここで生きていけるのだろうか。この世界でぼくは……。
トミー・ウンゲラー最期の絵本として残されたこの作品。「やばっ!」という言葉の響きの軽さとは裏腹に、全く軽くない絶望に満ちた光景がひたすらに続いていく。ここで見ているのは現実なのか夢なのか。あるいはこれから起きる未来なのか。それでもぼくはカゲの声を聞き、カゲと向きあい、感覚を研ぎすませ、「やばっ!」の響きとともに前を見る。
決して、優しくも親切でもない物語。それでも、この絵本のどこかに力強さや希望を感じとることもできるのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

草木はかれ、いきものはいなくなり荒れ果てた地球。人々は月に逃げ、ひとり残ったぼく。影にみちびかれ、危険をすりぬけながら、ぼくはどこへむかうのか。トミー・ウンゲラー最後の絵本。

エッシャー+ネッドくん+…。
「やばっ!」というインパクトのあるタイトル。
気軽に「やばい」という言葉を使うことに抵抗があるので、「ああ、ここにも<やばっ>か…」と、ちょっと否定的な気分で手に取りました。でも、表紙の絵を見ると、この絵本には何かすごく面白いものが隠れているような気がして、よく見ると訳は、アーサー・ビナードさんで…ページを開きました。
面白かったです。
面白いだけではなく、絵のデザインとか物語性が見事。ぐいぐい引き込まれました。読み終わった後、テーマが、ずっしりと効いてきます。哲学的、って言っていいのかなぁと思います。
子どもも、大人も、それぞれの視点や角度から楽しめる一冊だと思います。
「やばっ」は、ほんとの「やばい」でした。 (こはこはくさん 50代・ママ 男の子14歳)
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