ゆきのよあけ
  • ちょっとためしよみ

ゆきのよあけ

  • 絵本
文: いまむら あしこ
絵: あべ 弘士
出版社: 童心社

在庫あり

税込価格: ¥1,466

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作品情報

発行日: 2012年11月27日
ISBN: 9784494002689

B5判 26.6×19.1cm
32ページ

この作品が含まれるテーマ

みどころ

一面深い雪に覆われた夜の森。凍りつく寒さの中でひとりぼっちで雪の巣穴にうずくまっているのは野うさぎの子です。
恐ろしいきつねに襲われて逃げた夏のあの日から、おかあさんは戻ってこないのです。その時から、野うさぎの子は、ひとりで草を食べ、ひとりで眠りました。雪が野うさぎを寒さと危険から守ります。
しんしんと夜が更けていき、果てもなく暗い森に雪の白さだけがどこまでも広がっています。夜の雪の森はひっそりと静まりかえっています。その時…!
野うさぎの子が天敵であるキツネやフクロウの追跡から必死で逃げ、振り切って雪山のてっぺんにたどりついた時に迎えてくれたのは眩いばかりの夜明けのひかり。雪は輝きを取り戻し、森じゅうのとりがさえずりはじめます。野うさぎの子は体中に力がみなぎってきます。うしろ足で思いっきり強く雪をたたきます。とん!とん!生きる喜びのばくはつです!

緊張に張り詰めた冬の森の一晩の出来事。静かにひっそりと繰り広げられる生死をかけた動物たちの戦い。夜が明けた時の美しさと生きる喜び…。寒い北の大地でひとりたくましく生きる野うさぎの子を主人公に、この大自然の厳しさと美しさが凝縮した物語を静かに力強く描き出しているのはあべ弘士さんの絵。忍び寄るキツネとフクロウの恐ろしさには思わず息をのみ、明るくなっていく朝の景色に心の緊張が溶かされていきます。
どこまでも深く大きな森の中、唯一白い雪を味方にして、生きる喜びを胸に駆け抜けていく野うさぎの子の頼もしい姿。力強く生きてほしい、子どもたちの姿にも重ねて願わずにはいられなくなるのです。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

ゆきのよあけ

出版社からの紹介

母うさぎとはぐれ、寒い北の大地でたくましく生きる、ひとりぼっちの野うさぎの子ども。
夜の森には危険がいっぱい。天敵のキツネやフクロウから必死で逃れ、ようやく迎える朝。
大自然の厳しさと美しさに抱かれて、野うさぎに生きぬく力がわいてきます。

ベストレビュー

いのちの漲る夜

 都会の夜はイルミネーションがきれいだ。
 澄んだ冬の夜を彩る、今や風物詩といっていい。
 恋人たちは愛を語りあい、家族は笑顔にあふれる。仕合せに満ちた季節だ。
 でも、森ではちがう。
 氷つくような寒さの、一面雪景色におおわれた山の夜はまったくちがう。
 小動物たちは冬だといって安心はできない。夜だといって心休まるわけではない。
 雪の巣穴にうずくまっている野うさぎの子の夜も。

  『あらしのよるに』でさまざまな賞を受賞し、動物絵本で人気の高いあべ弘士さんが絵を担当したこの作品は、さすがあべさんと満足のいく仕上がりだが、それよりもいまむらあしこさんの文がいい。
 冬の山の一夜のできごとを、母うさぎをなくして初めての冬を迎える野うさぎの姿を通じて、動物たちが懸命に生きる姿を活写している。
 それは都会の夜とはまったく違う。それでいて、生きることの重さを痛切に感じる。

 いまむらさんの文章のすごいところは、動物たちの動きを的確に表現している点だ。
 たとえば、野うさぎの子の毛づくろいの場面。
 「耳を かおのまえに ひっぱり、まえあしで、ていねになでつけます」なんて、まるでそこに野うさぎの小さな鼓動が聞こえそうだ。
 だから、夜の雪の森で、野うさぎの子が陸ではきつねから、空からはふくろうに襲われる場面の、胸がどきどきすることといったら、ない。
 「あしをとめた そのときが、のうさぎの子の いのちの、おわりなのです」と書かれたら、応援するしかない。
 この子を助けてあげて!
 くる、くる、きつねが。くる、くる、ふくろうが。
 逃げて、野うさぎ! 駆けて、野うさぎ!
 子どもたちの声援が聞こえてきそうな絵本。大人だって、夢中になるのだから。

 それに加えて、あべさんの絵だ。
 なんとか逃げおおせた野うさぎの子の、朝の光にすくっと立つその姿の凛々しいことといったら。
 いのちの美しさにちがいない。

 都会の冬の夜を彩るイルミネーションはきれいだ。
 けれど、命をかけた冬山の夜は、もっと生き生きとしている。ただ、そのことを知らないだけ。
 この絵本は、そっと、そんないのちの漲る夜を教えてくれる。
(夏の雨さん 50代・パパ )

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