絵本の魅力ってなに?
どうして絵本を読むの?
ずらりと並んだ表紙を眺めていると、ふと懐かしい気持ちがわきあがってくる。いつ読んだのか、どんなストーリーだったのか、はっきりと思い出すことはできないけれど、確かに知っている気がする。
大人になってから再び「絵本」と出会った時、そんな体験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。それはきっと、子どもの頃に読んだ絵本の記憶というものが、思っている以上に自分の奥深くにしっかりと刻み込まれているからなのです。絵を見て思い出す人、タイトルやストーリーを聞いて思い出す人、表紙のデザインや色彩に懐かしさを感じる人、読んでもらった声やひざの温もりがよみがえってくる人。その記憶の種類も実にさまざまです。なんて豊かな体験でしょう。
けれど、実際に子育てをしている中で、時間に追われる毎日を送っていると、こんな疑問が浮かんでくる人が多いのも事実です。
「どうして、絵本を読んだ方がいいの?」
そこで、絵本の魅力について、読み聞かせについて、その効果について、さらに子どもと絵本の関係について、話してみたいと思います。
磯崎園子(絵本ナビ編集長)
絵本ってなに?
絵本というのは、絵と文章があり、両方があって初めて完成するものです。表紙があり、ページをめくることで物語が進んでいき、最後の裏表紙まできて「おしまい」となります。字の読めない子ども達は、文章を大人に読んでもらい、絵の中からさまざまな事を読み取っていきます。ページをめくりながら、自分のペースで物語を進めていくことができます。だからこそ、絵本というのは「赤ちゃんから大人まで、どの年齢の人たちでも楽しめる」のだと言えます。
どうして絵本を読むの?
絵本には、物語だけでなく、感覚や感性を刺激してくれるようなもの、知的好奇心をくすぐってくれるような内容、さらに広く知らない世界を見せてくれたり、自分の内面と向き合い考えさせてくれるような絵本まで、さまざまなジャンルがあります。それを「ページをめくる」だけで体験することができてしまうのが、最大の魅力ともいえるでしょう。絵本の世界に触れながら、子どもたちは感覚や感性を伸ばしていき、知らない世界を体験する喜びを知り、成長していくことができます。多くの知らない言葉にも出会います。そして大人は、絵本を通して子どもたちとコミュニケーションをとっていく中で、その成長を感じることができ、喜びを得ることができるのです。親子で一緒に過ごす濃密な時間は、きっと大切な記憶として残っていくことでしょう
絵本は何歳から読めばいい?
対象年齢はあるの?
まだまだ視力のさだまらない0歳の頃から、赤ちゃんは絵本を楽しんでいます。その刺激を楽しみ、感触を確かめているのです。そして、絵本を通して声かけをしてあげることも、大切なコミュニケーションの一つです。反応の変化を観察しながら、子どもたちの成長をしっかりと見守っていってください。成長の変化に合わせて絵本を選んであげることも、親子で絵本の時間を存分に楽しむことができるコツです。絵本ナビに寄せられた感想・エピソードや、年齢別におすすめする絵本のコーナーなども参考にしてみてください。一方で、絵本の選び方は自由です。たとえ対象年齢と合っていなかったとしても、子どもが夢中になっていれば、そのまま楽しませてあげてくださいね。
どんな風に読めばいい?
子どもが絵本の世界を十分に楽しむためには、大人が読んで聞かせてあげることが一番効果的です。文字を気にすることなく、言葉を耳で聞きながら、思いっきり絵の世界に入りこむことができます。その中で想像を広げていき、自分の力で多くのことを読みとっていくのです。また、絵本を読んでもらった時に心に残るのは、内容だけではありません。読んでもらった人の声、表情、さらにひざの上の感覚など、多くの感覚と一緒に記憶に残っていきます。おやすみ前に横に並んで読む、ひざの上に乗せて読む、顔を見合わせながら読む、会話をしながら読むなど、読みきかせをする方法も、色々と工夫してみてくださいね。
絵本を読むとどうなるの?
絵本には多くの言葉はありません。絵とシンプルな文があるだけです。けれどそこに「余白」があるからこそ、子どもたちは自分の力で多くのことを感じとっていきます。その言葉の響きや、描かれる景色や表情などから、自分なりの解釈をしていくのです。その中で、自分の言葉を身につけていき、読みとる力や想像する力をつけていきます。その中で「本を読む喜び」を見つけていくのではないでしょうか。そしてその喜びは、いつかきっと子どもたち自身を助けてくれるはずです。
大人も楽しめるの?
大人は自分で読みたい絵本を選ぶことができます。子どもの頃に読んだ絵本、表紙が気になる絵本、話題になっている絵本、子どもが楽しんでいる絵本。色々な選び方を楽しんでください。そして、子どもに負けないように真剣に読んでみてください。その絵本が持つ「本当の面白さ」がきっと見えてくるはずです。