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どうして夢中になれるの? 絵本の魅力を探る

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絵本紹介

2023.05.31

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子どもの成長を促してくれる絵本、その魅力とは?

ページをめくれば体験できる、5つの魅力

ボタンやスイッチがあるわけでもなく、動きだしたり、音楽が流れてくるわけでもない。ただ四角い画面が続くだけ。けれど、子どもたちはその画面を食い入るように眺め、繰り返しページをめくり、声を出して笑い、読み終われば「もう一回」とねだってくる。いったい「絵本」にはどんな魅力があるというのでしょう。子どもたちは絵本を読みながら、どんな時間を過ごしているのでしょう。

1.絵本をひらけば、そこに世界が広がる

字もまだ読めないような小さな子どもたちが、絵本をひらいて最初に目に飛び込んでくるのは、さまざまな色や形で描かれている「絵」です。その絵は、単純な形で描かれている場合もあれば、可愛らしい主人公が描かれていたり、どこまでも続くような奥行きを感じる風景が描かれていることもあるでしょう。その絵を見ながら、子どもたちは成長に合わせて、自分なりの感覚で読み解いていくのです。

「おもしろい形がある」
「この子、かわいいな」
「きれいな場所だな……」

すると、どうでしょう。ただの平面だったはずの画面が、途端に立体的な光景として自分の目の前に浮かびあがってくるのです。そこにあるくだものを手に取って食べようとしたり、どうぶつたちをなでるような仕草をしたり、うっとりとした表情になっていたり。その瞬間、子どもたちは絵本の世界に入りこんでしまっているのでしょう。すべてを「ほんとうのこと」として受け取っているのです。

もちろん、これはイメージの話です。実際には、ページをめくること自体に夢中になっていたり、他の絵本と同時に読んでいたり、すぐに閉じてしまったり。そんなことも多いでしょう。けれど、一瞬でも絵本の中に「ほんとうに」入りこんでしまうことができる。これが絵本の大きな魅力であり、その大きな役割を担っているのが、多くのことを語ってくれる絵本の中の「絵」なのです。

2.言葉の響きを味わいながら

絵本を楽しむ時、絵と一緒に大きな役割を担っているのが「文章」です。大人になれば、絵本を開いてまず「文章」から読んでいく人の方が多いかもしれませんよね。その内容や意味を、自分の好きなペースでしっかりと楽しむことができます。では、まだ文章を自分で読むことのできない子どもたちはどうやって読んでいるのでしょう。

答えは簡単ですよね。大人に読んでもらうのです。言葉の響きを肌で感じながら、画面の方に集中するのです。それは文字を読むのとはまた違う味わい方なのでしょう。心地よいリズムだったり、面白い音だったり、好きな声や怖くなる声もあるでしょう。読み方によっても違って聞こえてくるかもしれません。お母さんとお父さんの違いもあるでしょうし、向かい合って読んでもらうのと、ひざの上に乗って読んでもらうのでも、声の伝わり方が変わるでしょう。こんな風に、同じ絵本でも読み方によって大きく印象が変わってくるというのが、絵本のもう一つの興味深い魅力となっています。

3.感性を刺激し、心を豊かにしてくれる

絵本を読んであげる時、子どもたちはどんな反応をしているでしょうか。じっと見つめていたかと思えば、考え込むような難しい顔をしていることもあります。ぱっと明るい顔になったり、絵本の中の登場人物と同じような悲しい顔になることもあります。何かを思い出したかのように前のページに戻ってみたり、急に他の絵本を持ち出してくることもあるでしょう。とにかく読む絵本によって、あるいは子どもたちによって、様々な反応が見られるのが特徴です。

これは常識や先入観にとらわれることなく、身の回りの出来事を新鮮な感覚で受けとめることのできる子どもたちだからこそ。そうやって「感じる心」を育ててきながら、湧き上がる感情を素直に受け入れ、自分らしく表現できるようになっていくのです。

絵本には、実にさまざまな種類の作品が揃っています。子どもにとって「好きなもの」もあれば「苦手なもの」も登場します。また「知っている」物や場所が登場したり、「知らない」出来事や感情にも出会います。その度に感性が刺激されていきます。感性が豊かになっていくと、好きなことに熱中することができるようになり、それを深める力がついていきます。さらに様々な気持ちを理解することができるようになり、想像する力もついていきます。つまり絵本には、子どもたちが彩り豊かな人生を送るための手助けとしての役割も果たしてくれるのだと言えるでしょう。

4.成長を促してくれるのは

0歳、1歳、2歳、3歳…‥と、子どもたちは年齢を重ねていくたびに、驚きの成長を遂げていきます。身体的な能力はもちろん、感情表現が豊かになり、言葉を話すようになり、まわりの子とコミュニケーションが取れるようになっていき、学習能力も高まっていきます。子どもたちの行動範囲はどんどん広がっていき、見ている世界も変化していきます。

そんな中、子どもたちの成長を大きく促してくれるのは、実際に目で見て、感触を確かめ、外に飛び出し、友だちと遊ぶ。様々な出会いと実際の体験でしょう。これにかなうものはありません。けれど、絵本の中にも新しい出会いはたくさんあります。知らない色、形、言葉の響き。見たことのない動物や食べ物、会ったことのない友だちや空想の生きもの。自分の中から生まれてくる感情にも出会うでしょう。楽しくなる、悲しくなる、笑ってしまう、涙が出てくる、うっとりする。怖いけど気になる、きれいだけど寂しい、可愛いけれどかわいそう。たくさんの絵本を読んでいるうちに、複雑な感情を覚えていくこともあるでしょう。さらに、想像力をつけるために必要な「疑似体験」をすることだってできます。自分のことだけじゃなく、人の気持ちに感情移入してみたり、違う国の子になってみたり、動物や物になりきって、その気持ちを想像してみることだってできるのです。

「絵本を読めば、必ず頭が良くなる」、そう断言することはできません。けれど、少なくとも絵本との出会いの数だけ貴重な体験をしていることは確かなのです。そのことが子どもたちの成長を大きく手助けしてくれ、やがてその先には、言葉による表現への理解を深めてみたり、社会の仕組みを考えてみたり、自分だけの世界を創り出す…といった未知の力へとつながっていくのでしょう。

もし子どもが絵本を読んでいる時に、昨日とは違う反応をしていたとしたら。それはきっと、その子の中で何かが変化し、成長を続けているという証拠なのかもしれません。大人の目から確かめることができる、これも絵本の魅力の大きな一つですよね

5.記憶に残る

さて、絵本がどんなに魅力的なものであるかがわかると、今度は絵本選びの問題に直面します。なにしろ「絵本との出会いの数だけ、貴重な体験ができる」と思えば、なるべくたくさんの絵本を読んであげたくなるものです。そして、困ったことに、絵本の種類というのは本当に多いのです(毎年2000冊近くの新刊絵本が発売されています!)。

けれど、そんなに心配しなくても大丈夫。例えどんなにたくさんの絵本を揃えて、その全てを読んであげたとしても、子どもたちは不思議と同じ絵本ばかりを繰り返し読んでもらいたがるからです。お気に入りの一冊を見つけると、毎日読み続けたり、一度に3回は繰り返し読む、なんてことが普通に起こるのです。そしてこれこそが、絵本の魅力の5つ目なのです。

つまり絵本というのは、「何度読んでも楽しめる」ように作られているのです。その言葉の響きの心地よさ、わかっていても待ってしまう展開の面白さ、安心して読む進めることができる終わり方など、子どもたちがその絵本を読んでいる時間を何度でも味わえるように考えられているのです。お気に入りの一冊さえ見つけてしまえば、それをいつでも手に取ることができ、いつでもページをめくることができ、好きな人に好きな声で何度でも読んでもらうことができるのです。お気に入りの一冊が見つかるまでは、なるべくたくさんの絵本と出会わせてあげてくださいね。そして、見つかったら何度でも、たとえ大人が飽きてしまったとしても、繰り返し読んであげてください。そうやってその絵本が、子どもの体の中にしっかりと吸収された時、いつまでも記憶として残っていくのではないでしょうか。

大人になった時、ふと手にした絵本をめくった瞬間、記憶が蘇ってくる経験をしたことはありませんか? それまでは忘れていたとしても、印象的だった場面や、好きだった絵、何度も繰り返し読んでもらった声などが、しっかりと脳の片隅に記憶として残っていることに驚かされるのです。子どもに絵本を読んであげられる時間は限られています。たったの数年間しかありません。けれど、その間に読んであげた絵本の記憶が少しでも残っていたとしたら、こんなに嬉しいことはないと思うのです。

「子どもと絵本の幸せな出会い」のために

ここまで述べてきたように、「子どもと絵本の幸せな出会い」というのは、その絵本に夢中になり、何度も繰り返し読み、その反応の変化を感じられるほど長く読み続けるようなお気に入りの一冊を見つけられた時なのです。そのためには、なるべくたくさんの絵本に触れさせてあげてください。なかなかお気に入りが見つからなかったとしても、焦らないでください。次から次へと新しい絵本を手にすればいいのです。

そんな時、絵本選びの目安として役に立つのが「年齢」です。まずは年齢別におすすめされている絵本からスタートして、その中で反応の良いテーマや好きな主人公を探ってみたり、同じ作家さんや画家さんの絵本を選んでみたり、他の読者の方の感想を参考にしてみたり。そんな風にして絵本選びを楽しんでみてくださいね。

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子どもたちが成長していく過程の中で、成長を促してくれるメディアというのは、時代によってどんどん変化していきます。けれど、「絵本」が今も変わらず子どもたちに読まれ続けているのは、これだけの魅力があるからです。大人も一緒に読みながら、ぜひ子どもの感覚を想像してみてください。貴重な体験をしているということが、きっと伝わるはずです。

磯崎 園子(いそざき そのこ)

絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。

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