たまごの殻から足が二本、顔もしっかり出ていておまけに……自分で歩いている!? 驚きの格好をしているこの子の名前は「たまごにいちゃん」。本当はもう、たまごから出ていないといけないのだけれど。
おかあさんからは「はやく大きくなるといいわね」と言われ、弟はすでにお兄ちゃんより大きくなっているのだけれど。
たまごにいちゃんは、このままがいいと思っているのです。だってだって、いつでもおかあさんにあたためてもらえるし、みんなから怒られないし、水にだって浮かんでいられる!だけど、そんな時。ハプニングが起きて大切なたまごの殻にひびが入ってしまうのです。
「このままじゃ 、ぼく本当のおにいちゃんになっちゃう」
不安でいっぱいのたまごにいちゃんだったのですが……。
あきやまただしさんの大人気「たまごにいちゃん」シリーズの記念すべき1冊目。たまごの殻をかぶったまま大きくなっていく突拍子もない設定は、読むたびに可笑しくて笑ってしまうのですが、全編を通して描いているのは、子どもたちの成長していく姿。早くお兄ちゃんになりたいって思っている子もいれば、いつまでだって赤ちゃんでいたいっていう子がいる。当然ですよね。殻を割るタイミングは、みんな同じじゃなくたっていいのです。
きっかけはハプニングだったけれど、たまごにいちゃんだって殻から出て来た時にはほらね。おかあさんが言ってくれた通り。
「大きくなったわね、とってもすてきよ」
成長するって、悪くないでしょ?
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
本当はもう、たまごから出ているはずのたまごにいちゃんは、ずーっとたまごでいたいと思っていました。だって、たまごだったらお母さんにあたためてもらえるから。ところがある日、たいせつなたまごのからにひびが入ってしまって…。 成長する子どもの心の揺れをユーモアたっぷりに描いたお話です。
成長を見守るということ
息子も私も大好きな絵本です。
シリーズも豊富なので、ほとんど読みました。
素直で飾らず、子どもらしい「たまごにいちゃん」大好き☆
そして、親目線で印象深かったのは、まだまだ甘えたいので殻を割ろうとしない「たまごにいちゃん」に対して、お母さんが全くの自然体で接していることでした。
私だったら・・・焦りや心配を表に出して叱ったり、教育的なことを言ってのけたりして、どうにか殻を割る方へ、みんなに成長を追いつかせようと必死になるのでは?
自分に置き換えて考えました。
そして、殻が割れた日、お母さんが言った一言は
「とっても すてきよ」。
「たまごにいちゃん」はこの一言で、甘えられなくなったことに不安を抱きつつも、成長を喜びと自信に変えることが出来たんだと思います。
こんなふうに自然体で成長を見守れる親でありたい!
そう深く思いました。
ユーモア有り、子どもも大人も感じるモノ有り!
傑作だと思います。
3歳頃〜園児さんにオススメします。 (カトリーヌみどりんさん 30代・ママ 男の子8歳、男の子4歳)
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