おかあさんと一緒に、はじめてちょっと遠くまで出かけたこねずみ。嬉しくてかけまわるうちに、いつの間にかひとり。
「あれ? おかあさんは?」
どうやら、はぐれてしまったようです。においを頼りに、柵の向こうへかけだしていくと、そこにいたのはおかあさんカンガルー。さらにカピバラや大きなくまも。ここは、夜の動物園。人間たちもいなくなり、灯りも消えた頃、動物たちの時間がはじまるのです。こねずみは、次々と動物たちに話しかけていきます。
「おかあさんをさがしているんだ。みなかった?」
大きな口をあけてあくびをするライオンに驚き、ぎょろりとにらむトラに震え、サイやしまうまには気づいてももらえず、すっかり空気もひんやりしてきた頃……。
小さなこねずみから見る動物園の広いこと。そして夜の静けさの中で出会う動物たちからは、昼間とは違う緊張感も漂ってきます。息づかいや体温まで感じるほど。けれど不思議と優しさも感じることができるのは、やはり相手がこねずみだからでしょうか。心細さをも包み込む、美しく幻想的な夜の動物園の世界が味わえるこの絵本。おかだこうさんと岡田千晶さん、夫婦共同作品です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
お母さんとはぐれてしまったこねずみ。匂いを頼りにたどり着いた所は、夜の動物園。灯りが消え、足音もしなくなった頃、動物たちの時間が始まります。夜の空気まで感じられるような、イラストとストーリーが魅力。
お母さんとはぐれてしまって
お母さんとはぐれてしまったこねずみは、お母さんを探してサファリパークをさまよいます。
優しい文章と幻想的な絵が、サファリパークをロマンチックにしています。
途中でライオンなどの怖い動物にも遭ったけれど、優しい動物たちに導かれてお母さんに再会することができました。
お母さんを探しているときのこねずみの不安そうな表情とお母さんに再会したあとの得意そうな表情のコントラストが、特に印象的でした。 (めむたんさん 40代・ママ 男の子21歳)
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