寒さがきびしい冬の時期は、いろいろな生き物がおうちの中でゆっくり過ごし、あたたかな春を待ちます。それが「冬ごもり」です。 この絵本は、そんな冬ごもりの時期にふるさとを旅立った“ネム”のおはなしです。
ネムは、がんばりやの男の子。ふるさとをはなれてひとり人暮らしをするために、大きな木の家・イッポハウスにやってきました。イッポハウスの大家さんはクスノさん。ひとり立ちをする子どもたちを応援するために、森の共同住宅=シェアハウスをつくった頼れるおじさんです。 ほかにも、ネムよりちょっとだけお兄さんで勉強好きのパオ、絵や歌が大好きなお姉さんのミオ、ネムと同い年の女の子ヒイラが住んでいます。みんな、もうすぐやってくる冬ごもりの準備でおおいそがし。ネムは、おかあさんが持たせてくれた冬ごもりセットのおかげで準備万端。クスノさんにもほめられます。
ですが、イッポハウスでの初めての夜、ネムはなんだか眠れなくなってしまいました。 「クスノさんの ところに いこうかな……。 せっかく ほめて くれたのに、 がっかりさせちゃうかな」 外から聞こえる風の音もこわくなって、ネムは部屋の外へ出ますが、廊下はまっくら。ネムはおかあさんのことを思い出して、鼻の奥がつんとします。
そのとき、ネムの部屋から声がしました。泣きそうな顔をした女の子が立っています。名前はチフユ。おかあさんとはぐれてしまったのだそうです。ネムは自分の寂しさも忘れて、冬ごもりセットの中からお茶とクッキーをチフユに出しました。チフユはなんだか不思議な女の子で……。
初めての一人暮らし、初めての夜、とっても不安になりますよね。ですが、ネムは不思議な女の子を手助けしているうちに、「ぼくもがんばろう」という気持ちが芽生えていきます。シェアハウスのみんなもそれぞれ助けてくれて、ネムはひとり立ちの第一歩をふみ出すのです。
Eテレの人気番組・みいつけた!の「いすのまちのコッシ―」脚本家・津田真一さんのファンタジックな森のお話を、絵本作家・おくはらゆめさんが優しくのびやかに描いています。 ネムが、シェアハウスのみんなとともに助け合い成長していく姿を、どうぞお楽しみください。
(徳永真紀 絵本編集者)
森のシェアハウスが舞台の心あたたまる、冬の一夜のファンタジー。
・「自立」と「共生」がテーマの成長物語 ・Eテレ「いすのまちのコッシ―」脚本家・津田真一 ×『ようかいしりとり』のおくはらゆめが描く、森の生き物たちの不思議な世界 ・帯を切り取ってキャラクターの「指人形」が作れます!
フユゴ―の森の共同住宅「イッポハウス」で、はじめて一人暮らしをすることになったネム。 ハウスでは冬ごもりの準備にみんな大忙しです。 家の持ち主クスノさんをはじめ、3人の先輩たちはみんな個性的。 期待と不安でいっぱいのなか、眠れなくなった夜にネムが出会ったものとはー?
森に暮らす架空の生き物たちが織りなす不思議な世界を、 おくはらゆめがのびのびと温かなタッチで描きました。
おくはらゆめさん
『やきいもするぞ』や『おしょうがつのかみさま』など、おくはらゆめさんのちょっとゆるくて味のあるイラストがだいすきなので、こちらも読みたいと思いました。
イッポハウスに住むことになったネム。前の住人たちと一緒にふゆごもりの準備をします。
我が家の子どもたちも、こうやって一人で暮らすようになるのかななどと思いながら読みました。
ネムを見守る仲間たちも、とても優しく温かでほっとします。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子16歳、男の子14歳)
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