
精神の受信装置を解放せよ 全身受信装置の画家・金子富之の30年に渡る異界との交信記録 ただならぬ気配漂う“異界体験型画文集” 待望の刊行
神・仏・精霊・妖怪・悪魔・幽霊……見えないものは、なぜ見えないのか。見ないほうがいいから、見えないようになっているのか。幼少期から異界の存在を感じ、違和感のあった日常を経て、現在は異界と共生するかのように山形県山間部の限界集落に暮らす画家・金子富之。日本はじめアジア各地に異界を訪ね、“場”の力を体感し、見えないものを絵画に表してきた。本書は、10代からの心象を描き連ねた山のようなノート群から自選作品200点までを、全篇書き下ろしテキストとともに構成した、境界を越える画文集である。
序章――深夜―― 夜の闇は人々の想像力を豊かにする。 古人も暗闇や月の魔力により様々な幻像を映し出し見えない情報空間を創造した。
第一章――幻成―― 各土地土地にはそれぞれの精神風土が横たわっており、 その土地特有の何かを幻成する。創造性を育む地霊の不思議。
第二章――霊域―― 高濃度に圧縮された思い≠フ地層。場≠フ持つ力と意味。そこから無数に派生する物語。
第三章――妖狐・霊狐―― ひんやりとした長いものが雪の上を飛び跳ねる。 夜、狐の声を聴いてしまった者は、寂しそうに耳に残って離れないと言う……。
第四章――大蛇・龍神・怪魚―― 豊穣の恵の雨。生命の水は地を流れ天に昇る巨大な循環。うねる鱗の水神たち。
第五章――虎神・獅子神―― 密林の主と百獣の王。権力の爪と牙、眼力と風格。魔障を切り裂く荒ぶる獣神たち。
第六章――精霊・妖怪―― 日常生活のすぐ隣、見落としがちな暗がり。何時の頃からか名前の思い出せない友達。寝付けない夜のあの不安な感覚。
第七章――鬼・怪物・悪魔―― 心の闇に出没する無意識の怪物。様々なものに投影される魔の面影。 弾圧された土俗神の後ろ姿、抗う暗黒神の異様。
第八章――神・仏―― 自然への畏怖と悟りへの道標。宇宙法則の具現化、森羅万象に偏在する太古からの神威。
終章――画考―― 幻想を生み続ける脳の不思議、画家としての当事者研究の必要性。
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