
「こんど、また遊んでね」 「こんども、こんども、また、こんどもね」 也子が出会った、ふわふわのしっぽの小さなきつね。 あしたも、きっときつねを探しに行こう。 そう思っていたのに――。
戦時下の広島でくらす、小学4年生の也子。 子ぎつねと次第に仲よくなっていく つつましくも穏やかな日々が、 一発の爆弾によって、突然奪われます。
あたりまえの暮らしが奪われることこそが、非戦闘員までも巻きこむ戦争の恐ろしさであり、悲しみなのです。〜あとがきより〜
教科書に採用された『たずねびと』の著者による、新しい戦争児童文学の原点。 日本児童文芸家協会賞、赤い鳥さし絵賞受賞作品。
※本書は2008年に発行された『彼岸花はきつねのかんざし』(Gakken)の新版です。新版の刊行にあたり、全編を通して表記を改め、表現の一部を加筆修正しました。
■編集者コメント 著者は被爆二世であり、「今を生きる子どもたちにいかに戦争体験を分かち合うか」という困難なテーマに真摯に取り組んで来られました。2020年から教科書(小学五年生国語/光村図書)に『たずねびと』が掲載されていますが、2008年に発刊された本書は、著者がそうした「新しい戦争児童文学」として最初に書いた作品であり、原点とも言えます。戦後八十年という節目に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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