
おおかみは、毎朝起きてから毎晩寝るまで、悲しい気分。 なぜならみんなが、おおかみのことをこわがって逃げていくからです。 部屋の鏡で自分の姿を見ても、つり上がった目、とがった歯、するどい爪……。 おおかみが窓の外を見ると、遠くに野原が見えました。 「そうだ!」「みんなに花をプレゼントしよう」 おおかみは色とりどりの花をつんで、みんなにあげようとしますが、受け取ってもらえません。友だちになってほしいのに……。
おおかみが花いっぱいのかごを持ち、カートを引いてしくしく泣きながら歩いていると「きみ、どうして、ないているの?」と足元から声をかけてきたのは小さなねずみでした。 ねずみには目が見えないから、みんなと違っておおかみのことをこわがらないのです。 しかもいいにおいの花を喜んでくれます。
おおかみは嬉しくて、うっかり自分のことを「うさぎだよ」と嘘をついてしまいます。 ねずみをもっと喜ばせたいおおかみは、毎日ねずみに会いに行きます。 孤独な者同士、2匹は一緒に住むようになり、心を通わせてしあわせな時間を過ごしますが、寒さのきびしい冬がやってきます……。
やさしい絵柄で描かれた寓話ですが、悲しいってどんなことなのか、しあわせってどういう気持ちなのかを、読んだ子どもはきっと考えることでしょう。 大きなおおかみと小さなねずみ。冬になっても互いを思いやる姿が印象的なおはなしです。
(大和田佳世 絵本ナビライター)

「ぼくは目が見えないんだ」ねずみが言いました。おおかみは、「ぼくはおおか……」と言いかけて……本当のことを言えば、ねずみくんまでにげていってしまう……そう思い、とっさに、「ぼくは、うさぎだよ」と、うそをついてしまいました――外見がこわいおおかみ。目の見えないねずみ。孤独を抱えた2匹は、心を通わせ、そして……相手のことを思いやる気持ちが育つ絵本。
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