
フェリシモ出版の「おはなしのたからばこ」シリーズ4巻は、イギリス民話『カメのえんそく』。 お父さんはユックリッチ、お母さんはノンビリーナ、子ガメはアセラーズ。 名前の通りのんびりなカメの親子がおりました。 「えんそくってなあに?」とたずねると、「とーってもたのしいのよね」とお父さんとお母さん。 遠足に行くことにした親子ですが、行き先やお弁当を決めるのものんびりだから、すぐに日が暮れてしまいます。 そんな時、お父さんは「あせらない、あせらない。おたのしみは、あとにとっておくもんだ」と、かっこいい決めゼリフ。 遠足は想像以上にゆっくりゆっくり進んで行きますよ。ちゃんと行けるかな?
後藤美月さんの、めりはりある元気なイラストが楽しいですね。期待感いっぱいの子ガメ、アセラーズが、遠足への空想を膨らませて楽しんでいる様子がどのシーンでもかわいいので注目してみてください。 左ページは昼間を、右ページは夜を表す構成もスタイリッシュ。
文章を書いた新沢としひこさんは、『世界中のこどもたちが』で有名なシンガーソングライター。お父さんと子ガメのやりとりが、歌のように心地よく繰り返され、ゆったり構えたあったかい親子の関わりが伝わってきますね。 ついつい焦ることの多い毎日ですが、楽しみを少し先に延ばして、のんびりしてもいいんだなと思わせてくれますよ。
(長安さほ 編集者・ライター)

遠足を知らない子ガメ・アセラーズに、「たのしいぞぉ、いってみようか」と誘うお父さん・ユックリッチ。 カメの親子がゆっくりのんびり遠足にでかけ……。 そんなカメの時間感覚を、後藤さんは「月の満ち欠け」で表しています。 どの見開きにも「時間と速度を象徴する」モチーフがグラフィカルに描かれており、 1枚の絵の力で勝負するイラストレーターらしい発想の斬新な絵本。 繰り返される「あせらない、あせらない、お楽しみは、あとにとっておくもんだ」のセリフに、 いつの間にかカメのペースが心地よくなってきます。

スゴイぞ、カメさんファミリー☆
カメのえんそくはのんびりゆったり。
それでも家族の誰も怒ったりしない、
愉快でとってもあたたかいお話。
バリエーションにとんだ形と
カラフルな色が目にも楽しい絵本です。
子ガメのアセラーズの
「えっ今日しないの?」というツッコミは
いつしか私たち親子とシンクロしだします。
子どもからは大きな笑いも出ます。
あせらない、あせらない
おたのしみはあとに とっておくもんだ
焦れてしまう心も、繰り返されるパパガメの言葉に
いつしか「そうか、それもいい」と思えてきます。
ユックリッチ、名前からして凄いのです。
ゆったりと何日もかかって、親子揃いで山の頂きに行く。
真似するには気が遠くなるようです、
しかし、行く彼らにはすばらしい時間。
オチとラストのカン切りになるイラストも洒落ています。
まだまだ!彼らのご褒美タイムはずっと先に。
うちの子どもはなんだかんだ
何日後に食べられるか計算しようとしていましたよ。
カメさんファミリーのその後もつい考えたくなりますね!
イライラしない、失敗も責めない。
のんびりファミリーは超ポジティブ!
素敵な家族のお出掛けのヒントでもあります。
これ大丈夫?と不安に思うくらいの展開ですが、
そこにあたたかい家族の形があって、感動します。
予想外に懐が深い物語。
親子で愉快な気分になれる、楽しい家族の絵本です☆ (ととくろさん 30代・ママ 女の子6歳、女の子3歳)
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