(1) 特集1・・・宮沢賢治×絵本作家の気迫あふれるコラボレーション!
表現方法を小さな子ども達に媚びていない分、少しわかりにくい言葉が出てくることもある宮沢賢治の童話。
「まだうちの子には早いのでは」と思われている方も多くいらっしゃると思います。
でも不思議なことに、心を込めて大きな声で読んでいるうちに子どもが段々と集中して聞き入ってくる事もあります。
それは賢治の書く「言葉」の響きに聞き惚れているのでは、と思うのです。
子どもの頃は耳で楽しむ・・・そこから始めるのも賢治の童話の楽しみ方の一つかもしれません。
今回ご紹介するシリーズは絵本です。言葉を聞きながら、更に物語を絵の世界でも堪能できます。
それぞれの年齢なりの楽しみ方を見つけてもらえれば嬉しいですね。
◆「宮沢賢治の絵本」シリーズとは?
「宮沢賢治の童話」と聞いて思い浮かべるイメージというのは、人それぞれ全く違うのではないでしょうか。
賢治の童話を題材として沢山の書籍が出ていますし、解釈のされ方もそれぞれ、そして何より賢治の童話は読んでいるだけでも絵が浮かんでくるよう。個人的なイメージというのも持っていると思うのです。
それだけに賢治の童話の絵を描く、というのは画家にとっても大変で難しいのではと想像するのです。
だからこそ、このシリーズはそれぞれの作家の気迫が伝わってきます。そして、読んでみればやっぱり絵本というものの
素晴らしさを感じずにはいられない出来上がりになっているのです。
<宮沢賢治の絵本シリーズ 三起商行(ミキハウス)刊>
★このシリーズを出版されている三起商行(ミキハウス)さんにコンセプトをお伺いしました。
「日本を代表する作家、宮沢賢治。賢治の独創的な世界は子ども達には新鮮な感動を与え、大人には一味違う読みごたえのある物語を届けます。ミキハウスでは「子どもも大人も」をキーワードに、親子がともに楽しめる作品を届けたいという想いから、賢治の作品に注目し、長い期間に渡りできるだけ多くの作品を物語絵本として刊行します。作品ごとに異なる個性豊かな作家とのコラボレーションで生まれる奇跡は、賢治の世界をより一層際立たせ、奥深いものへと導きます。新たな宮沢賢治の世界は、絵本を開いた先に広がるのです。」
◆作り手と作品との出会いから・・・
シリーズを担当されている編集者永山綾さんからも素敵なエピソードをお聞かせ頂きました!
「ミキハウスの宮沢賢治絵本シリーズは、子ども達に、今、読んでもらいたい話、親子で楽しんでもらいたい作品は何かを考えてラインナップを考えましたが、中には「この話ならばぜひ描いてみたい」という、画家からのラブコールで絵本化したものもあります。
たとえば、荒井良二さんの『オツベルと象』。この絵本が発行される前年に、荒井さんはアフリカに滞在し、象に出会います。通常は群れて暮らすアフリカ象ですが、その象はオスの象で、1頭でいたそうです。そこで荒井さんは現地のガイドの方に「なぜ、あの象はたった1頭でいるのか」と尋ねたところ、「オスのアフリカ象は50歳になると、群れを離れて1頭で生活するようになる」と教えてもらったそうです。ちょうどその年に50歳になる荒井さんは、さまざまな思いを抱えながら日本に帰国し、大好きな宮沢賢治の話の中でも『オツベルと象』の作品をぜひ描きたいと選ばれたのでした。
作り手と作品との出会いと絵本の誕生、そして読者と絵本との出会い、それぞれの幸運な出会いが、これからも生まれることを願っています。」 <永山
綾>
◆それぞれの作品のみどころ!
シリーズ10冊、気になる各絵本のみどころをご紹介します。
★「注文の多い料理店」×スズキコージ・・・子ども達にも大人気のお話です。 |
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「注文の多い料理店」
作:
宮沢賢治
絵:
スズキコージ
出版社:
三起商行(ミキハウス)
税込価格: \1,575
(本体価格:\1,500)
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2人の紳士が山の中でたどり着いたのは一軒の西洋料理店、「山猫軒」。お腹をすかせていた男たちはどんな料理が出てくるのか楽しみにしながら、扉に書かれた注文を受けていくのです。一体、扉の向こうには何があるのか!?
賢治の童話の中でも御馴染みのこのお話にスズキコージさんの個性的な絵の組み合わせ。ところがこれが意外な程(!?)しっくりくるのです。
スリルと迫力、そしてちょっぴりブラックだけどユーモア感覚に溢れたこの物語の世界のイメージとぴったり。きっと大人になるまで忘れらない印象に残る一冊となることでしょう。
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★「雪わたり」×方緒良・・・キックキックトントン、言葉の響きも印象的。 |
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「雪わたり」
作:
宮沢賢治
絵:
方緒 良
出版社:
三起商行(ミキハウス)
税込価格: \1,575
(本体価格:\1,500)
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雪がすっかり凍った夜、四郎とかん子が小さな雪沓をはいて歌いながら歩いていくと、
野原できつねの子に出会い、狐学校の幻燈会に招待されました。
月のきれいな晩、森の木に白い敷布がかけられ、いよいよ幻燈会がはじまります・・・。
モノトーンで描かれた方緒良さんの幻想的な絵がとにかく美しい一冊です。
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★「水仙月の四日」×黒井健・・・春先に訪れる突風と吹雪がモチーフの物語。 |
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「水仙月の四日」
作:
宮沢賢治
絵:
黒井 健
出版社:
三起商行(ミキハウス)
税込価格: \1,575
(本体価格:\1,500)
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春の訪れを告げる雪嵐の日の激しくも美しいできごと。冬の中には春がひそみ、死の中には生命が宿る。
大いなる自然へのおそれと感謝を込めた宮沢賢治の傑作!
冬の終わり、激しい風の音や凍えるような寒さが伝わってくるような黒井健の描く世界が本当に美しい。
そしてやがて訪れる一筋の光・・・雪国育ちでない私でもその暖かさが理解できるようです。
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★「どんぐりと山猫」×田島征三・・・どんぐり裁判ってなんだろう? |
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「どんぐりと山猫」
作:
宮沢賢治
絵:
田島 征三
出版社:
三起商行(ミキハウス)
税込価格: \1,575
(本体価格:\1,500)
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ある土曜日の夕方、一郎の元に届いたおかしな葉書。果たして一番偉いどんぐりは誰なのか?
山猫裁判長に頼まれて一郎が思いついた判決とは?
想像しいどんぐり達の様子、山猫のふるまい、一郎の采配など子ども達にもわかりやすい面白さながら、
大人になるにつれ色々な想いが込められている事を感じ取ることができるのです。
(先週号のメルマガでも特集した)田島征三さんの絵が盛り上げてくれている事は言うまでもありません。
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★「やまなし」×川上和生・・・言葉の響きと透明感あふれる絵の美しいコラボレーション。 |
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「やまなし」
作:
宮沢賢治
絵:
川上和生
出版社:
三起商行(ミキハウス)
税込価格: \1,575
(本体価格:\1,500)
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教科書にも載っている、宮沢賢治童話を代表する、珠玉の短編「やまなし」。
「クラムボンがわらったよ」「クラムボンはかぷかぷわらったよ」
兄さん蟹と弟蟹、そしてお父さん蟹。彼等の目を通して描かれる水底の風景。そして不思議な会話の響き・・・。
その文章の美しさをそのまま表現したかの様な透明感あふれる絵がとっても印象に残ります。
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★「なめとこ山の熊」×あべ弘士・・・やっぱりこのお話には!嬉しい組み合わせです。 |
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「なめとこ山の熊」
作:
宮沢賢治
絵:
あべ 弘士
出版社:
三起商行(ミキハウス)
税込価格: \1,575
(本体価格:\1,500)
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「熊、おれはてまえを憎くて殺したのではねえんだぞ。・・・」
自然と人とが生命をやりとりする場所で、静かによりそい、結びあう。
なめとこ山あたりに住む熊は、熊捕り名人の小十郎が好きなのだ。まったく熊どもは小十郎の犬さえ好きなようだった。
「小十郎は熊を撃つ仕事をしているのに・・・どうして?」そう思っているうちにすっかり物語の世界に入り込んでいるのです。
熊と小十郎、熊とあべ弘士。当然の組み合わせの様な気がしてしまいますね。
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★「オツベルと象」×荒井良二・・・荒井良二が選んだ賢治の童話はこれ。 |
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「オツベルと象」
作:
宮沢賢治
絵:
荒井良二
出版社:
三起商行(ミキハウス)
税込価格: \1,575
(本体価格:\1,500)
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「オツベルときたら大したもんだ。稲扱器械の六台も据えつけて、のんのんのんのんのんと、・・・」
少し寂しくもあり、激しくもあるこのお話と画家荒井良二が向かい会うと・・・。
今までの荒井さんの作品では見たことのない位の迫力で激しく読者にせまってくるのです!
その位この内容には感情を喚起させるテーマが詰まっているのでしょう。
大人にとっては、賢治の童話をもっと読み解いてみたくなるきっかけにもなりそうな作品です。
子どもには「のんのんのん」「グララアガア」などの擬音がとっても印象的なようです。
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★「いちょうの実」×及川賢治・・・意外な組み合わせ?でもこれがぴったりなのです。 |
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「いちょうの実」
作:
宮沢賢治
絵:
及川賢治
出版社:
三起商行(ミキハウス)
税込価格: \1,575
(本体価格:\1,500)
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「自分と同じ名前なので、ずっと意識していました」
とは“100%ORANGE”として活躍中の及川賢治さん。
まるで彼の為に用意されたのでは・・・?と思えるほどこんなに可愛らしい物語があったんですね。
それでいて旅立ちの日を迎える子ども達を後押しするような力強さに溢れている一冊となっています。
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★「狼森と笊森、盗森」×片山健・・・人と自然の付き合い方。賢治の理想がここにあります。 |
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「狼森と笊森、盗森」
作:
宮沢賢治
絵:
片山 健
出版社:
三起商行(ミキハウス)
税込価格: \1,575
(本体価格:\1,500)
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「ここへ畑をおこしてもいいかあ。」
「いいぞお。」森が一斉にこたえました・・・。
百姓たちが自然に対して礼儀をつくし、まじめに働き、生活を営む。
百姓たちにちょっかいを出しながらも温かく迎える森や森の生き物たち。
こんな風に豊かで温かく、ユーモアに満ちた生活があったという事を賢治が今の子ども達(大人にも)教えてくれるのです。
そして、ごつくて深くて豊かな森や畑、何だか嬉しそうな百姓達の表情を片山健が油絵で見事に描ききっています。
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★「よだかの星」×ささめやゆき・・・大人になったあなたはどう読み解く? |
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「よだかの星」
作:
宮沢賢治
絵:
ささめやゆき
出版社:
三起商行(ミキハウス)
税込価格: \1,575
(本体価格:\1,500)
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「もうよだかは落ちているのか、のぼっているのか、さかさになっているのか、上を向いているのかもわかりませんでした。・・・」
存在自体を否定されながら、それでも生きていかなければならないよだかの哀しみとは、祈りとは?
生きるという事はどんなに激しく熱いものなのかを教えてくれるようです。
ささめやゆきの描く「よだかの星」の世界は柔らかで美しく、そして鋭く力強い。この物語を悲しいだけに終わらせないのです。
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◆全ての作品のサイン本が揃ってます!!
冒頭でもお伝えした通り、三起商行(ミキハウス)さんが「宮沢賢治の絵本」シリーズの絵を描かれた
全ての作家さんのサイン本をご用意下さいました!!これは・・・贅沢な企画です。
★今回の特集を記念しまして「宮沢賢治の絵本シリーズ」のサイン本を販売します!
絵を描かれた作家さんがそれぞれの作品に素敵なイラスト入りのサインを描いてくださっています。
数量限定各15冊ずつです。購入をご希望の方はお早めにどうぞ・・・。
※一部発送日が少し遅れる商品がございます。詳細は商品ページをご覧ください。
「宮沢賢治の絵本」シリーズ サイン本 まとめてご購入の方はこちら >>>
◆現在開催中のフェア対象作品でもあります!
上記でご紹介した「宮沢賢治の絵本シリーズ」は全て、本日からスタートの「ミキハウス 秋の読書フェア」対象作品でもあります。
抽選で可愛い賞品が当たったり、絵本ナビポイントのプレゼントなどとお得な特典が付いてきます。
勿論サイン本の完売後、通常版も対象作品となっています。この機会が絶対オススメです!

フェア対象作品には「名作絵本シリーズ」なども。会場はこちらから
◆続刊予定もあります!
「宮沢賢治の絵本」シリーズはまだまだ続刊の予定があるそうです。
現在決まっているもので10月中旬発売予定で・・・
「ツェねずみ」 宮沢賢治・作 石井聖岳・絵
「月夜のでんしんばしら」 宮沢賢治・作 竹内通雅・絵 <いずれも三起商行(ミキハウス)刊>
こちらも本当に楽しみですね。
(2) 特集2・・・比べても面白い!?まだまだあります。宮沢賢治の世界。
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←こちらは藤城清治の影絵が美しい「銀河鉄道の夜」。
この様に宮澤賢治の童話は、読物から絵本まで数多くの作品があります。
同じ題材を扱っていてもイメージも表現方法もさまざまなのがわかります。
こんな風に各シリーズごとに見比べてみても面白いですし、お話ごとにお気に入りの一冊を探すのもいいかもしれませんね。 |
(3) 絵本クイズ・・・クイズに答えてポイントゲット!!
前回は、田島征三さんの絵が愉快な昔話『ふるやのもり』からの出題でした。
じいさんとばあさんが「怖いもの」について話をしているのを部屋の隅で聞いていたのは・・・
・・・Bの泥棒とおおかみ、でした。何だか問題がわかりにくかったですね・・・・。
さぁ、今週の問題です。
今回特集した「宮沢賢治の絵本」シリーズより、スズキコージさんの描く絵がイメージに
ぴったりだと評判の『注文の多い料理店』から出題します。
正解者の中から抽選で
1名様に絵本ナビポイント500ポイントプレゼント
20名様に絵本ナビポイント50ポイントプレゼント
しちゃいます!!
【問題】 (難易度★★☆☆☆
)
2人の紳士が山の中でたどり着いたのは一軒の西洋料理店、「山猫軒」。お腹をすかせていた男達を扉の向こうで待ち受けていたものは・・・。
宮沢賢治の代表作『注文の多い料理店』は、怖がりながらも大喜びする子ども達に大人気のお話です。
さて、こんな山奥で「山猫軒」を見つけるまで2人の紳士は何をしていたのでしょう?
前回のクイズのポイント獲得当選者はこちらの方々です。
☆1等(1名様)☆
500ポイント進呈
「ずくぼんじょ」さん
☆2等(20名様)☆
50ポイント進呈
「Ricola」さん、「あいりっぴ」さん、「オノイツコ」さん、「おひさま座」さん、
「ススワタリ」さん、「ステップ」さん、「せな君のおかあさん」さん、「たらぽん」さん、
「ちー獣」さん、「ティラノサウルス」さん、「とく3」さん、「ぱぺ」さん、
「ふ〜ちゃん☆」さん、「ほしの」さん、「メルモコ」さん、「ゆきゆきこゆき」さん、
「りえこママ」さん、「三姉妹まま」さん、「真冬」さん、「富士山と海風」さん
また次回もお楽しみに!
(4) 編集後記
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