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(1) 新刊ピックアップ1・・・田島征三さんの新刊『どうしてちがでるの?』
田島征三さんと言えば『とべバッタ』『おじぞうさん』『はたけのカーニバル』など生命の輝きに満ち溢れた力強く、そしてユーモラスな作品が印象的ですよね。また近年では環境をテーマにした絵本や、集めた木の実で絵本を創作したりと、表現方法も多岐に渡り精力的に活動されています。そんな田島さんの新作は、韓国の若手作家さんと組んで生まれた絵本なのだそう。一体どんな内容なのか気になりますね・・・。
◆田島征三さんの最新刊は韓国人気若手作家さんとのコラボ絵本!

田島征三さんが韓国の若手人気作家さんと組んで生まれたというこの絵本。既刊の『あめじょあじょあ』と合わせて読むと本当に面白い!雨が大地と空をめぐりめぐっているのと同じ様に、血も体中の隅々をめぐりめぐって私達を元気にしてくれている・・・当たり前の様だけど、普段あまり意識してなかった事を絵本として見せてくれるから。ちょっと感動します。
それにしても今も昔も子ども達はよく転びます。それは日本でも韓国でも全く同じようです。そして血をみてびっくりするのも同じ。でも大丈夫、ソ・ボヒョンさんと田島さんが優しく大胆、ユーモラスにそのしくみを教えてくれます。しくみがわかればもう怖くありません。
韓国から出版されたというこのシリーズ。子どもの素朴な疑問に答えてくれるとても分かりやすい内容なのですが、とっても壮大なエネルギーを感じずにはいられません。田島征三さんが韓国で人気があるというのもうなずけるのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
<<田島征三さんのことばより。>>
子どもの生活には、しくじりがつきものです。遊びに夢中になる故の失敗から、子どものころのぼく自身、何度もケガをしました。人は死に至ることのない程度のケガをくり返すことにより成長し、学ぶのだと思います。
一生懸命あそぶからケガをし、血を流す。そのことがなくて安全のみを追求していては子どもは成長できないとぼくは考えています。ケガもまた子どもの成長過程での楽しい思い出だと思うのです。
◆既刊は雨が地球をめぐるお話です。
6月に既に出版されている“コラボ絵本”一冊目のテーマは「雨」。
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「あめ
じょあじょあ」
雨はどうして降るのでしょう?
めぐりめぐる水の循環をお話仕立てに描いたユーモアたっぷりのエコロジー絵本!
ちなみに「じょあじょあ」とは、雨がいきおいよくふる様子を表わす、
韓国の言葉なのだそうです。
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<<田島征三さんのことばより。>>
雨は水です。水の星、地球の、生命の元になっています。
雨は森に降り、湿度や温度、環境をととのえてくれます。そして、植物を成長させます。温度を一定に保つために、木々は葉の表面から水蒸気を蒸発させます。あまった水分は根に貯め、さらにあまった水分は泉の水に、そして川になり海へ。
水は作物を育て、生き物に棲む所をつくってくれます。水の中で子どもたちは遊びます。魚とり、笹舟、水遊び。流れは文化をはぐくみます。灯籠流し、流し雛……。韓国にも日本と共通する水の文化があり、また、朝鮮半島独特の水の文化があるはずです。そんなぼくの思いが「雨」に込められています。
◆韓国から日本へ・・・。
この2冊の絵本はもともと韓国で出版されていたそうです。その辺りにも興味が惹かれますよね。
翻訳出版をされた担当の方に少しお話を伺ってみました。
★韓国から日本へ逆輸入!
田島征三さんの絵本は韓国でも人気があり、翻訳もされています。でもこの絵本は韓国の出版社さんから直接お話があり、韓国で出版されています。こんな風に日本の絵本が海外で翻訳出版されるだけなく、直接海外の出版社さんの目に止まり海外で出版されるケースも増えてきているそうです。(最近では海外で活躍されている日本人作家さんもいらっしゃる様ですね。)
『あめじょあじょあ』『どうしてちがでるの?』は、日本語翻訳出版の担当の方が初めて原書を見られた時に、これまでに見た田島さんの作品にはない魅力があると感じ、ぜひ日本の読者に紹介したい!と思われたそうなのです。不思議な感じですね。
★韓国を体験しながら完成した作品
田島さんはこの作品を創作される為に数回韓国を訪れ、韓国の編集者やデザイナー、作家と直接会って、話し合いを重ねたそうです。
この絵本の翻訳をされている大竹聖美さんも、コーディネーターとして参加し、韓国側と田島さんとのやりとりを通訳として手助けし、見守ってこられたそうです。街を歩いたり、その土地の食べ物をみんなで食べたり、そして人と直接関わりながら作品を創り上げた経緯が、田島さんの創作に影響しているのでは、とおっしゃられていました。食べた物も含めて作品に影響する・・・田島さんらしく面白いエピソードだと思いませんか?
そしてこの2冊はどちらも韓国の若手人気作家さんが文章を書いており、田島さんひとりでは、また、日本の作家さんとの共作では、この田島さんの魅力は決して引き出せなかったに違いない、という想いから“コラボ絵本”としてご紹介されているそうです!
★日本語版の題字は・・・
日本語翻訳出版される際、『あめじょあじょあ』では題字を、『どうしてちがでるの?』では「うわあああ!」「おっとっと!」という男の子の叫び声を、田島さんが手描きされたそうです。その為に、田島さんはわざわざ紙を購入し、絵の具をつくってのぞまれたそうです。

←『ちはどうしてでるの?』表紙帯より。
※この迫力ある叫び声(笑)。
絵本の中に効果的に登場してきますよ!
それぞれ7、8パターン描かれたそうですが、『あめ じょあじょあ』の題字は、いろいろ用意して心して描いたものより、結局試し描きしでお菓子の箱に描いたものがいちばんいいみたいだ、ということになったのだそうです(笑)。
★ぐるぐるまわる・・・
最後に、絵本の扉に掲載されているこの2冊に寄せた田島征三さんの文章がとっても素敵だったのでご紹介させて頂きます。
雨は、森や野や町にふって、小さな流れから川へ、そして川から海へと流れこむ。雨は、雲になってまた雨になる。
血もいきものの体の中で、毛細血管から大きな血管へ、そして心ぞうへと流れ、また心ぞうから体のすみずみへと流れてゆく。
雨も血も、ぐるぐるまわっているんだ。
ぼくは、韓国の人も食べ物も大好きだ。韓国の人のなかに、ぼくの絵本が好きな人が多く、ぼくの絵本は日本で出版されたものが韓国でも出版されている。この絵本は、韓国の出版社から出たものが日本でも出ることになった。
ぼくの絵本もぐるぐるまわっているよ。 田島征三
◆田島征三さん直筆サイン本の販売です!
★今回新刊『どうしてちがでるの?』の発売を記念しまして、田島征三さんが直筆サインを
描いてくださいました!
数量限定50冊です。ご希望の方はお早めにどうぞ・・・。
田島征三さんも、この絵本をぜひ日本の子どもたちにも読んで欲しい!と熱望されていたそうです。
きっとご自身も、満足のいく作品になったと手ごたえを感じていらっしゃるのでしょうね。
(2) 新刊ピックアップ2・・・その他にも気になる新刊絵本のご紹介
ここ2〜3ヶ月の間に出版された新刊絵本から気になる絵本をご紹介します!
◆愛情たっぷり、小さな子でも楽しめる優しい絵本

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「ブンブン
ガタガタ ドンドンドン」
神沢利子さんと田畑精一さんが25年ぶりに組んで生まれてきたのは・・・こんなに愛らしいおやすみ絵本!
ベッドに入ってもなかなか眠れないカナちゃんとお母さんのやりとりが優しく描かれています。
一方その頃お父さんも・・・?
表情豊かなカナちゃんの可愛らしいこと!絵本の隅々まで愛情に溢れた一冊です。
原画展&サイン会が開催予定! >>> |
★その他にもたくさん。小さい子向けの絵本の質はとっても高いのです!
◆注目の作家さんの新刊も登場です!
◆思いっきり笑える絵本がやっぱり好き。

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「でっこりぼっこり」
徹頭徹尾役にたたない絵本、ここにあり。
なにが でっこりで、どこが ぼっこりなのか、それは見てからのお楽しみ。
あれ??と思いながらも笑っているうちに納得してしまう素晴らしき高畠那生ワールドです! |
★個性的なユーモア絵本がずらり。
◆大人も楽しめる美しく叙情的な絵本に注目。
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「山からきたふたご スマントリとスコスロノ」
インドネシア・ジャワ島に古くから伝わる影絵芝居「ワヤン」を題材にした絵本です。
(何となく聞いた事ある、という方も多いのではないでしょうか?)
ワヤンの世界に魅せられた作者が長く温め続けてきた題材を、絵を担当された
早川純子さんがまた長い期間をかけてじっくりと取り組まれて生まれたきた渾身の一作なのです。
ワヤンの世界を体の中に染みこませた上で木口版画という手法で表現された絵を
原画展で拝見しましたが、本当にすごい迫力です。
参考(登場人物がわかります) >>> |
★子どもはもちろん、大人も眺めていたくなる絵本。
2009年06月の新刊一覧 >>>
2009年07月の新刊一覧 >>>
2009年08月の新刊一覧 >>>
(3) 絵本クイズ・・・クイズに答えてポイントゲット!!
前回は、頭を使って遊べる絵本と評判『かずの冒険 野山編』からの出題でした。
冒険に出発!スタート時点の季節は・・・
・・・Aの春でした。草ではると描いてあるのは見つかりましたか?
さぁ、今週の問題です。
今回特集した田島征三さんが骨太な絵を描いている愉快な昔話『ふるやのもり』から出題します。
正解者の中から抽選で
1名様に絵本ナビポイント500ポイントプレゼント
20名様に絵本ナビポイント50ポイントプレゼント
しちゃいます!!
【問題】 (難易度★★★☆☆
)
ある晩のこと、村のはずれに住んでいたじいさんとばあさんが「怖いもの」についての話を始めます。
「この世で一番怖いと思うのは、ふるやのもりじゃなぁ。」
これを聞いて部屋のすみの暗闇で震え上がっていたのはだれでしょう?
前回のクイズのポイント獲得当選者はこちらの方々です。
☆1等(1名様)☆
500ポイント進呈
「ハル君」さん
☆2等(20名様)☆
50ポイント進呈
「ウッドスリー」さん、「うめゆ」さん、「オカッチ」さん、「ガーフィールド」さん、
「きえ」さん、「キキ・ララ・ラブ」さん、「クッキーでーす!」さん、「ケイチッチリン」さん、
「すずらんらん」さん、「ずるいくん」さん、「ちー獣」さん、「ティラノサウルス」さん、
「ハルカタクミパパ」さん、「ぷちこ♪」さん、「ホットママ」さん、「メルモコ」さん、
「リュミエール」さん、「心の音」さん、「梅桃」さん、「夕璃」さん
また次回もお楽しみに!
(4) 編集後記
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