(1) 特集1・・・ 子どもたちが喜ぶ選りすぐり20話!「てのひらむかしばなし」シリーズ
「てのひらむかしばなし」シリーズとは、岩波書店さんから出されている日本の昔話絵本全20冊のシリーズです。
まず目に飛び込んでくるのは、手のひらサイズの可愛い大きさと、個性豊かな人気画家さん達の表紙の絵!
でも、どうやらこのシリーズの魅力はもっといろいろあるようで・・・。
まずは編集部の方にお伺いしたコメントとともにご紹介していきます!そして読んでみたくなったらそのまま全ページ試し読みをご覧ください。
◆子どもから大人まで楽しめる「てのひらむかしばなし」シリーズ。そのオススメポイントは?
―― シリーズ20冊のお話はどんな風に選ばれたのでしょうか?また、文章は絵本「めっきらもっきらどおんどん」など大人気作品を生み出されている長谷川摂子さんが全て担当されているのですね。
たくさんある昔話の中からこの20話を選んだ基準は、ずばり、子どもたちがよろこぶ話です。
このシリーズは、子どもの本の作家、批評家として、確かな眼と柔らかな感性をもっておられる長谷川摂子さんに全面的に信頼し、相談を重ねながらつくりました。長谷川さんは、長年、家庭文庫や保育園で地域の子どもたちと昔話や絵本を楽しみ、また「いまは昔
むかしは今」(全5巻、福音館書店)で膨大な数の昔話を再話した経験をおもちでしたので、それを活かさない手はない、というわけです。
出雲弁を母語とする長谷川摂子さんにとって、昔話は「です、ます」調のきれいな文体ではありません。土地ことばのもつ力強さや、擬態語・擬音語を大事にして、リズミカルで簡潔な語りの文を追求していただきました。
―― 「てのひらむかしばなし」とある通り、可愛らしいサイズが特徴的ですね。また、装丁も素敵です。
日頃から昔話に親しんでほしい、ならば子どもを膝にのせて、いつでも、どこでも手軽に広げられる絵本を、と考えました。置き場所を選ばず、お出かけのときにかばんに入れていくこともできますし、寝るまえにお子さんに読んであげるのにも重すぎません! また、子ども自身が頁をめくるのにも負担になりません。
装丁は、桂川潤さんにお願いしました。古布や千代紙などをヒントにした文様を額縁ふうにあしらい、一冊ずつの個性とともに、全体の統一感を表現してくださいました。和の雰囲気を大切にしたセンスで、絵本を所有する喜びも味わっていただけるのではないかと思います。
 
―― なんと言っても注目は個性的な画家陣!お話と画家の組み合わせが絶妙ですよね。
それぞれのお話にぴったりの絵を描いてくださる方を、せっかく新しくつくるのだから、今まであまり昔話の絵本を描いたことのない方にお願いしてみよう、と考えました。ですから、画家さん選びの過程は興奮の連続で、『へっこきあねさ』を荒井良二さんにお願いしようと長谷川さんと意見が一致したときは、無性にうれしくて大笑いになりました。
幸いみなさん、このチャレンジをおもしろがって、それぞれに新しい境地をひらいて新鮮な絵を描いてくださり、贅沢なラインナップとなりました。
―― 特におすすめしたいお話はありますか?
すみません、どれも思い入れがあって、選べません(笑)。
―― 対象年齢というのはどのくらいなのでしょうか?
「てのひらむかしばなし」は、もちろんいくつになっても楽しめますが、とりわけ3歳くらいから小学校の低学年くらいのお子さんに、ぜひたくさん読んであげてください。一見文章が多いと思われるかもしれませんが、心配無用です。昔話には子どもたちをぐいっと引きつける大らかでふしぎな力があります。
―― 最後に「てのひらむかしばなし」シリーズのおすすめポイントをお願いします!
とにかく声に出して読んでください。最初は読みにくいと感じることもあるかもしれませんが、何度か読むうちになじんできて、楽しくなることうけあいです。あのくだり、このくだりが、きっとくせになります。
小ぶりとはいえ、福知伸夫さんの『だんだんのみ』や『はなたれこぞうさま』などは、遠目にも映えるダイナミックな版画絵なので、グループへの読み聞かせにもおすすめです。
◆シリーズ全20冊、全ページ試し読み公開中!!
今度は具体的に全20話をご紹介していきます!
実際に声に出して読んでみると、どれも方言や擬音語などの響きがすごく面白くて、ストーリーは結構しっかりと長いのですが、あっという間に読めてしまいます。大人が読んでも「こんなお話だったんだ」と改めて堪能できますよ。
最後の締めの言葉もお楽しみ!
そして力作揃いの画家陣の“絵”。昔話におけるその存在の大きさは実際に試し読みで確認してみてくださいね。

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「ももたろう」
作:
長谷川 摂子 絵:
はた こうしろう
これぞ21世紀に伝えるももたろう!
長谷川氏のリズミカルな再話と、はた氏の遊びごころあふれる絵の調和がみごとです。いまにも絵本から飛び出してきそうな、元気いっぱいのももたろうが誕生しました。
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「かちかちやま」
作:
長谷川 摂子 絵:
ささめや ゆき
じいさまにひどいことをした仕返しにと、うさぎがあの手この手で、たぬきをこらしめます。
うさぎのすました顔と、たぬきのまぬけな顔の対比が絶妙。
ささめや氏が素朴な筆づかいでユーモラスに描きます。
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「したきりすずめ」
作:
長谷川 摂子 絵:
ましま せつこ
じいさまが持ちかえったつづらの宝物に目がくらみ、欲深いばあさまは、したきりすずめをさがして飛びだしていきますが・・・。竹やぶのなかにひろがる不思議なすずめのお宿を、明るく細やかに描きだします。
ましませつこさんの描くしたきりすずめが愛らしい!
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「へっこきあねさ」
作:
長谷川 摂子 絵:
荒井良二
となり村からいいあねさが嫁にきて、大工のあんにゃは大喜び。
ところがあねさが屁をこくと、どっばーんとすごい風がふいて、何でもふっとんでしまいます。
痛快な屁の音と、ユーモア感覚抜群の絵で大笑い!
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▲荒井良二さんの絵のこの破壊力、どうですか!もう笑うしかないのです。
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「うろこだま」
作:
長谷川 摂子 絵:
下田昌克
うろここだまは、へびの鱗でできた宝物。ある日じいさまの大切なうろこだまがぬすまれ、いぬとねこがそのゆくえを追って大活躍します。
東北地方に伝わるゆかいなお話を、いきいきと力づよい絵でお届けします。
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「やまんばとがら」
作:
長谷川 摂子 絵:
沼野 正子
子を産んだやまんばが、餅をよこさないと村びとたちを食い殺すという。ところが、恐る恐るとどけにいった老女を待っていたのは、意外にも心やさしいやまんばでした。
いきいきとした人物描写がみごとな一冊。
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「つるのおんがえし」
作:
長谷川 摂子 絵:
ながさわまさこ
吹雪の日に助けられた一羽の鶴が、かわいらしい娘となって、おじいさんおばあさんの家にやってきます。静かなくらしのなかにおとずれた喜び、そして悲哀。
貼り絵による、味わい深い絵本をお届けします。
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「さばうりどん」
作:
長谷川 摂子 絵:
伊藤 秀男
売り物のさばを、やまんばに一本残らず食われてしまったさばうりどんは、
やまんばの家の天井裏にもぐりこんで仕返しをします。
おっそろしいけど、どこか愛嬌のあるやまんばを、迫力たっぷりの絵で描きます。
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▲結構恐ろしい伊藤秀男さんの絵が最高です。一番怖いシーンは見たい方だけどうぞ(笑)。
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「十二支のはじまり」
作:
長谷川 摂子 絵:
山口 マオ
「元旦の朝、神様の家の前にきたものに1年ずつ年をやる」ときいて、動物たちは大はりきり。うしの背にのって一番乗りをしたねずみや、道中けんかばかりの犬とさるなど、個性あふれる動物たちを描きます。
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「だんだんのみ」
作:
長谷川 摂子 絵:
福知伸夫
お腹が痛いととさんは、かえるをペロリとのみこんだ。かえるが腹の中にいた虫をたべたけれど、今度はかえるがはねて苦しい。ならばへびを、きじを、猟師を、鬼を――。
豆まきへと展開するゆかいな版画絵本。
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「いっすんぼうし」
作:
長谷川 摂子 絵:
荒井良二
針の刀を腰にさし、おわんの舟にのって、いっすんぼうしは、いざ都へ。
小さい主人公の波瀾万丈を、遊び心あふれる絵筆でみごとに描きます。
おそろしい鬼たちとたたかって姫さまを守るすがたは、あっぱれ!
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「三まいのおふだ」
作:
長谷川 摂子 絵:
木村 良雄
花とりにでかけた寺の小僧を泊めてくれたのは、おそろしい鬼ばさだった。
暗い山道をぱたぱたと逃げる小僧と、だっふぁ、だっふぁ、大またで追いかけてくる鬼ばさ。
迫力満点ななかにユーモアのただよう1冊。
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「はなたれこぞうさま」
作:
長谷川 摂子 絵:
福知伸夫
日に3度エビナマスをあげると、チビーンと豪快に手鼻をかんで望むものを出してくれる、ふしぎな童子。貧乏なじいさんは、小僧様のおかげで、すっかり金持ちになるが・・・。
滑稽ぶりが笑いをさそう版画絵本。
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▲「はなばなしく チビーンと はなをかんだ」・・・こんな不思議な話があったんですね。
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「はなさかじい」
作:
長谷川 摂子 絵:
伊藤 秀男
川上のじさまとばさまが、かわいがって育てた犬のシロ。山へいくと、えものがなんぼでもとれる。ところがある日・・・。「黄金さらさら、ほほらほーっ」と枯れ木に花を咲かせるふしぎを、力強く感動的に描きます。
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「ねずみじょうど」
作:
長谷川 摂子 絵:
下田昌克
ねずみのしっぽにつかまって穴の中をいくと、ついたところは美しい屋敷。じいさまは大判小判のみやげをもらうが、となりのじいさまは猫の鳴きまねをして大変なことに。
表情がいきいきとしてゆかいな1冊。
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「しおふきうす」
作:
長谷川 摂子 絵:
立花まこと
貧乏な弟が、一晩のうちにりっぱな屋敷をたて正月を迎えるとは、どうしたことだ?
欲深い兄は、弟の手に入れたふしぎな石臼をぬすみだすが・・・。
海の水はなぜ辛いかを語る楽しい話。日本画風の絵が粋です。
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「こぞうのはつゆめ」
作:
長谷川 摂子 絵:
長谷川 義史
和尚さんに初夢の話を教えなかったばかりに川に流された小僧。鬼からうばった宝の針で、いまにも死にそうなふたりの姫さまを助けて、めでたし、めでたし。
さて小僧のみた夢とは? テンポのよい痛快な話。
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「こだぬきのおんがえし」
作:
長谷川 摂子 絵:
菊池 日出夫
いじめられているところを馬方に助けられたこだぬきは、父さんたぬきに「ただ帰ってくるやつがあるか」としかられる。なんとかしてお礼をしようとする健気なこだぬきと馬方の交流を、温もりある絵で描きます。
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「うばのかわ」
作:
長谷川 摂子 絵:
小西英子
恐ろしい大蛇のところへ嫁にいく難をのがれ、ひとりきりになった娘。
行く道をまもってくれたのは、年寄り婆のくれたふしぎな皮だった。
娘のまっすぐな心が、細やかな情景描写のなかに描きだされます。
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「くわばらくわばら」
作:
長谷川 摂子 絵:
飯野 和好
七夕の日、天までのびたナスの木をのぼっていくと、雲の上には雷様ときれいな娘。
雷雨をふらす手伝いをして大興奮した息子は、調子にのりすぎ、つい雲をふみはずしてしまいます。力強い絵で描くこっけい話。
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シリーズ「てのひらむかしばなし」シリーズ一覧はこちら >>>
(2) 特集2・・・直筆サイン本の販売です!
シリーズ全20種類の中から、6人の作家の方が今回の特集の為に直筆サイン本を描いてくださいました!
うーん、全部揃えたくなりますね。この機会をお見逃しなく・・・。
※サイン本をまとめて購入される方はこちらからが便利! >>>
(3) 特集3・・・今週の「まなびナビ」
絵本ナビメンバーの皆さん、こんにちは!まなびナビ事務局です。
ついに関東も梅雨入りしてしまいました。
天気が悪いと室内にこもりがちになってしまいますが、雨の日でも楽しく過ごしたいですよね。
本日の「まなびナビ」コーナーでは、これからのシーズンに親子でおうち学びに役立てていただけそうな本を
ご紹介いたします!
絵本ナビにメンバー登録いただいている方は、「まなびナビ」をすぐにご利用いただけます。
レビュー掲載時のポイントも絵本ナビと共通で貯まり、ご利用いただけます。
ぜひ一度、サインインください。
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(4) 絵本クイズ・・・クイズに答えてポイントゲット!!
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正解者の中から抽選で
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20名様に絵本ナビポイント50ポイントプレゼント
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【問題】 (難易度★☆☆☆☆
)
ある日じいさまの大切なうろこだまが盗まれ、かわいがっていたいぬとねこがそのゆくえを追って大活躍するお話『うろこだま』。
さて、そのうろこだまとは、じさまがひとに隠れて大事に飼っていた動物のかたみなのでした。
一体その動物とはなんだったのでしょう?
(ヒント:全ページ試し読みをみてね)
前回のクイズのポイント獲得当選者はこちらの方々です。
☆1等(1名様)☆ 500ポイント進呈
「オハナボウj」さん
☆2等(20名様)☆ 50ポイント進呈
「OKA」さん、「いーめい」さん、「うきうきこーん」さん、「えみりん12」さん、「えんふぁん」さん、
「こっこっこ」さん、「さーぶ」さん、「シャリー」さん、「たらぽん」さん、「できたできた!」さん、
「どらねこ大将」さん、「にーか」さん、「にょろきょろ」さん、「ぱ〜ぷる」さん、「はいじ3」さん、
「パリパリチョコ」さん、「マメッキョ」さん、「みかぞう♪」さん、「ユリカモメ」さん、「リュミエール」さん
また次回もお楽しみに!
(5) 編集後記
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