パリの寄宿舎に先生と12人の女の子が暮らしていました。 そのなかでいちばんのおちびさんで、ものおじしない子がマドレーヌ。 ある晩、マドレーヌは盲腸炎にかかり、痛くて大声で泣きます。救急車で病院に運ばれて手術をし、入院してしまいます。
先生のミス・クラベルと11人の女の子達は、手に花を持ってマドレーヌのお見舞いに行きます。 病室はお見舞いの品がいっぱいで楽しそう。おなかの手術のキズをみんなに見せるマドレーヌはなんだか誇らしげ・・・
その真夜中、ミス・クラベルがみんなの部屋に行ってみると・・・ 「わーわー、もうちょうをきって、ちょうだいよー」とみんなが大声で泣いていました。
なんともいえずかわいい絵本です。 おはなしのテンポがよく、日本語訳のいいまわしも味があります。 「2れつになって、パンをたべ、2れつになって、はをみがき、2れつになって、やすみました」「いいことみれば、にこにこがお、わるいことには、しかめっつら・・・」声を出して読んでいるととてもいい気分です。 挿絵の方は、黄色と黒の二色刷りの合間にカラーページが現れ、エッフェル塔、コンコルド広場、オペラ座、バンドーム広場、ノートルダム寺院・・・といったパリの有名な建物や場所が美しく描かれています。 「マドレーヌ」という名は、作者ベーメルマンスの奥様の名前からとったそうです。 マドレーヌシリーズはテレビアニメにもなっていますよ。
パリの寄宿学校に住む12人の女の子たちの中でマドレーヌは一番の元気者。でもある晩、そのマドレーヌが泣きわめきはじめたのです。女の子たちを生き生きと描いた魅力ある絵本です。
【金柿パパ】 パパ向きの本じゃないけど、女の子には特におすすの作品。 「どうして?」を繰り返して知識を吸収している我が娘だが、この作品の内容は特別興味深いようだ。なんせ「パリの」「寄宿舎に」「12人の女の子達が住んでいる」設定で、「ケガをした軍人」や「泥棒」が出てくる。さらに主人公のマドレーヌは「盲腸」になって「救急車で病院に運ばれ」「入院」し、「盲腸の手術痕を友達に自慢」し、「他の11人の女の子達が盲腸になりたがる」という、2歳児にはわからないことだらけの内容である。それでも繰り返し持ってきては読んでいるのは、それだけ魅力があるということ。
「にれつになって、ぱんをたべ、にれつになって、はをみがき、にれつになってやすみました。」とリズム良く暗唱している。そして、パパとママのパリ旅行の写真と挿絵とを見比べて、「おんなじだねー」とうらやましそうな顔をするのだ。「いつか連れてってあげるからね」というパパの約束を、彼女は決して忘れないだろう。
すみずみまでがみずみずしい
子供にとってはかなりの大きさをもつ、濃いグリーンの絵本。小さいころから大好きで、忘れられない一冊です。
大きな本の大きな1ページが、「ふっても、」「てっても」と贅沢にたったひとことのために費やされる新鮮さに、おとなになったいまでも心が躍ります。
「せんせいのミス・クラベルは、なにごとにもおどろかないひとでした。」うん、そうだろうな。と思わされる、橋の欄干の上のマドレーヌの元気な姿に動じるふうもない先生のりんとした後姿!子供たちを信頼し、子供たちからも信頼され、そしてそれがつくりごとでないことが、「つくりばなし」の中なのに、現実以上に現実的です。こんな先生がいらっしゃったら、子供たちはきっと幸せですよね。
マドレーヌが主役のはずなのに、実はこの本ではそんなにマドレーヌのセリフはないんですよね。どちらかといえば描写が多いのに、なのにつまらなくない。説明的でもない。
きっと、その描写が「子供の視点」で書かれているからだと思います。だって大人なら、天井のしみをウサギと思うでしょうか?思ったとして、それをわざわざ本筋と関係ないのに1ページ割いて書こうと思うでしょうか?
子供の気持ちで書かれた、子供の目線の本であること、それがマドレーヌシリーズの人気のいちばんの秘密じゃないかなって思います。 (サラミさん 20代・ママ 女の子3歳)
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