
はるか遠くの地平線を眺めながら。 明るい空や山を見上げ、どこまでも広がる海や川を見つめながら。 子どもたちは何をしているのでしょう。
目の前には大きな窓があり、橋がかかり、布団が広がっている。 大好きな場所にいて、大好きな時間を過ごしながら、 子どもたちは「まっている」のです。
そこに船が通るのを。 ロバやラクダが来るのを。 雨上がりや、お祝いの日を。 そして……。
絵本を開き、目の前に広がるのは輝くばかりの美しい絵。ひかりにあふれ、豊かな色彩に包まれた自然の風景や、窓から見える景色。そして、そこには子どもたちが待ちわびているものが大切に大切に描かれています。
そう、子どもたちにはいつだって「見えている」のです。あの懐かしい夏の日差しや雪の眩しさが。その景色にふさわしいものたちが。そして作者の荒井良二さんにも見えているのでしょう。どこまでも大胆で力強く、一方でとても繊細で愛らしく、神秘的であり開放的でもある数々の場面。
私たち大人は、その景色の素晴らしさに感嘆し、息を飲み、思い出していくのです。私たちだって「待っていた」ということを……。
子どもと大人の世界をつないでくれる、そんな大事な一冊なのだと思います。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

今日も水平線から日が昇る。いつもの風景、季節の移ろい、突然の雨、特別な夜。
繰り返す日々のなかで、みんな、いつもなにかを待っている。 船が通るのを、貨物列車を、雨上がりを、夜明けを……。
国内外で活躍する荒井良二の新しい代表作が誕生!
ぼくが大学生の時に、長新太「ちへいせんのみえるところ」を 手に取ることがなかったら、絵本を作っていなかったと思う。
いまだにぼくは、この地平線の見える風景の中にいて、 優しさや不安や笑いや寂しさや怖さや希望の風に吹かれている。
そう、まるでこどもの時のぼくがそうして立っているように。
ぼくが絵本を作る時は、必ず頭の中で一本の線を引き、 そこからぼくの絵本の旅を始める。
やがて、その線は見えなくなってしまうが、 時おり顔を出してはこどもの時のぼくが「ちへいせん」を眺めて立っている。
いつか、ぼくの「ちへいせんのみえるところ」を描いてみたいと思っていたが、 もしかしたら、この「こどもたちはまっている」が、そうなのかもしれない。
そして、この本を長さんに捧げたいと思う。
荒井 良二

僕はいったい何を待っているのだろう
裏表紙を開くと細い文字の列が2行。
それを読んで改めて、この絵本を最初から味わいました。
言葉少なに描かれた絵の中に、夢とこれから起きることへの期待感が溢れています。
荒井さんは、「子どもたちは待っている」と表現しました。
でも、最後に書かれた長新太さんへの追悼文を読むと、2020年に亡くなった追悼絵本であり、荒井さん自身が様々な風景を待ち続けていることを実感します。
荒井さんは、長新太さんの「ちへいせんのみえるところ」と出会うことがなかったら、絵本の世界に入らなかったと語ります。
「ちへいせんの…」は、次に何が出てくるんだろうという、期待感に満ちた絵本だったと思います。
この絵本で、明るい色彩で描かれた風景は、期待感こそあれ、不安感はありません。
荒井さんは、常に前向きに想像力を展開しているのです。
この絵本、そのまま大人である私達へのエールではないでしょうか。
子供時代の夢を思い出しながら、これからの風景を明るい色で想像しましょう。
この絵本が手助けしてくれると思います。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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