時計が9時を指して鳴ります。ボン、ボン、ボン…。 「こんな じかんに おきてるのは だれだ?」 ふくろうにみみずく、どらねこ、それともどろぼう? いえ、いえ、夜中に起きているのは……おばけ! おばけの時間です。
あれあれ、こんな時間に起きている女の子がいましたよ。 夜中はおばけの時間のはず、いったいどうなっちゃうのでしょう?
ママやパパの子どもの頃からずっと読まれ続けている、せなけいこさんの描く「おばけ絵本」の最高傑作『ねないこだれだ』。大人になってから改めて読んでみると、意外な怖さに驚きます。だって、最後に女の子が連れていかれたのは…!? そのインパクトは強烈です。ずっと記憶に残っている、という方も多いことでしょう。
でも、記憶に残っているのは「怖い」だけではありません。なんといっても主人公となる「おばけ」です。いや、子どもたちにとってはこの「おばけ」会いたさに、繰り返し読んでもらっていたりするのです。一度見たら目が離せなくなる魅力。 「怖いけど、好き」 この感情こそ、絵本が永遠に愛され続けている最大のポイントなのかもしれません。
さあ、ドキドキのおやすみ時間。 今晩もパパやママと一緒に過ごしてから、すぐに目を瞑って寝ましょうね。 じゃないと、君もおばけのせかいに……!?
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
こんな時間におきてるのだれだ? ふくろうにどらねこにどろぼう……。そうら、もうおばけの時間なのに――。
「怖い」は感情を豊かに
大好きなせなけいこさんの絵本の中で、最高傑作といえると思います。これほどまでに子どもたちにインパクトを与える本は珍しいです。1〜2歳のころは「怖いもの見たさ」と言う感じでドキドキしていますが、この絵本はあらゆることを子どもに教えてくれているようです。
あんまり怖がらせたらまずいかな?と思いましたが、NHKのラジオで「子ども時代の肝試しや、“怖い”と思う感情は、逆の“笑い”や“喜び”の感情を育てる大切な要素」というお話を聞いて以来、なるほど、この絵本はそれだから人気があるのだな〜と思いました。 (暁ママさん 30代・ママ 男の子4歳、女の子2歳)
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