●●特別企画メイキングレポート「絵本ができるまで」●●
【1】テーマが決まる、ラフ制作
◇はじめに・・・。
↑アトリエで真剣に原画を描いているこちらの作家さんは・・・?
私達、絵本ファンの素朴な疑問。
「絵本って、どんなふうに出来上がっていくんだろう・・・?」
絵本をつくろう!と思いついてから、その絵本が私達の手許に届くまで、
どんな工程を通って出来上がっていくのでしょう。興味ありませんか?
・・・私はおおいにあります(笑)。
そんな漠然とした素人の疑問への答えとして、
今回ある作家さんと編集者の方が、ご協力して下さることになりました!!
来年1月に新刊【森のイスくん】(ゴブリン書房)を発売予定の
絵本作家 石井聖岳さん 主な作品に『つれたつれた』『ヤドカシ不動産』『ぷかぷか』
『ふってきました』『もうすぐここにいえがたちます』他多数・・・。
★著者紹介ページはこちらから>>>
×
担当編集者 津田隆彦さん 主な仕事に 『いってかえって星から星へ』(ビリケン出版)
(ゴブリン書房代表) 『まよなかさん』『ぷかぷか』『スケッチブック』(ゴブリン書房)他。
絵本づくりのお仕事に必要不可欠な、作家さんと編集者。
そんなお二人に、今回の新作が出来上がるまでの様子を、少し覗かせてもらえる事になったのです。こんなチャンス、なかなかないですよね。
絵本や作家さんによって、その工程は大きく変わるでしょう。では、『森のイスくん』の場合はどうだったのでしょう?大きく5段階にわけてみて・・・。
【1】 絵本の内容が決まります。(テーマ、ラフ制作)
【2】 原画制作スタート!
【3】 入稿します。
【4】 印刷して製本工場へ・・・。
【5】 完成!販売開始です。
ざっくり、こんな感じでご紹介して行きたいと思います!(週1回の更新予定です。)
面白そうでしょ?気軽に読んで、絵本や作家さんに興味を持ってもらえたら嬉しいです。
ちなみに、こちらはお会いした時に頂いた名刺がたまたま手書きで、あまりにも可愛かったので
思わずパチリ。ここにも、今作のヒントが・・・。
↓↓
原画が完成したばかりで、幾らかほっとした表情の石井さんにお話を伺っているところです。
絵本ナビスタッフも、興味津々!
↓↓
絵本の内容、発売日、作者石井さんのお話などなど、、、
決定次第、順次お知らせしていきますね。
それでは早速、第1回からお楽しみください!
【1】テーマが決まる、ラフ制作
□□ ラフというのは・・・ □□
テーマが決まって『さぁ絵本の原画を描き始めよう。』という前に、イメージを決めるラフスケッチの事です。
作家さんによって形式、方法は様々でしょうが、絵本全体の流れや、場面の展開、構図、テキストの位置がここで大体決まります。とっても大事な工程ですね。
□□□□□□□□□□□□□□
さて、今回その完成までの裏側をちらっと見せてくれる絵本が、
ちょっと不思議な題名の「森のイスくん」。
一体どんなきっかけで誕生したのでしょう?
↓こちらが絵本が生まれるきっかけとなった1枚の絵です。
(ポストカードから引用させてもらっています。)
2年程前、石井さんがある家具屋さんのお店内で展覧会をされたそうです。
本物の家具の間の壁に、ランダムに飾られた「家具」がテーマの絵。
そこへ見に来た津田さんの目に止まったのが、「イス」がモチーフとなった上の写真の絵。
(なぜかこの「イスくん」にだけ顔が入っていたそうです。)
この1枚の絵に「物語性を感じた」津田さん、
すぐに石井さんに、「この絵をもとに、絵本をつくりましょう!」と提案するのです。
言われてみると、何だか想像力をくすぐられる絵ですよね。(なぜこんな所で佇んでいるのでしょう・・・。)
再び話が浮上し、具体的に絵本づくりがスタートしたのは今年の夏。
そこで、石井さんはまず
「じゃあこのイスは一体何なのか・・・」
と、いうところから考え始めます。
「いすくんはどこから来たの?」「動くの?しゃべるの?」「どんなキャラクター・・・」
などなど。
↓スケッチブックを見せていただきました。(これは貴重!)
アイデアがいっぱいです。
絵が描いてあったり、設定やストーリーが断片的に書き込まれていたり。
たくさんのスケッチをしながら、「イスくん」のストーリーが生まれていきます。
何もない「ゼロ」からのこの作業。実は1番大変?
(石井さん曰く、どの段階の作業も大変!だそうです。)
「絵本を創るとき、絵が先?文章が先?」
・・・なんて質問をしようと思っていたのですが、スケッチを見ていると、
石井さんの場合は、こうやって絵もストーリーも、両方が同時に自然とうまれてくる様子がわかります。
このたくさんのアイデアをもとに、編集の津田さんと話し合います。
この時の津田さんの仕事は、石井さんの頭の中にあるイメージをうまく引き出していく事!
だそうですよ。
どうやら、「イスくん」は森の動物達と楽しそうに遊んでいるようです。
そして、何を聞かれても「くふふ」と笑うだけ。・・・楽しみです。
↓いよいよ具体案。最初はこんな風に、絵と文を16場面に分けてみます。
映画のコマ割りのようですね。
なるほど、これなら絵本全体のイメージがつかみやすそう。
おおまかなストーリーの流れと場面が描き込まれています。
次に、一場面ずつのラフを描いていきます。
↓実際のラフスケッチです!
描き方はかなりラフでも、鉛筆でイメージを画面に定着させるべく、
何度も描き直した後が見られ、1枚1枚、かなり練られている事が伝わってきます。
構図なども、ここで細かく検討していきます。
(今回は文章も御本人なので、この段階で入る位置も決まっていきます。)
頭を悩ませながら、自宅のアトリエにこもって作業をしているのかな、と思いきや、
意外と喫茶店やファミレスなど場所を変えて作業をしたりするそうです。
(やっぱり自宅にいると色々な誘惑があるようで・・・。)
ラフを描いて、津田さんと話し合い、また描き直して・・・という作業を大体2週間位の周期で繰り返します。
今回はスタートからOKが出るまで、約1ヶ月半程かかったそうですよ。
こうして絵本の構成が決まったのですが、やはり絵本の要は原画です。
原画を描いてみないと、イメージや印象など分からない事も多いそうで、
どうやら、まだまだここからも、大変な作業が待っているようですよ。
・・・という訳で、次回は「原画制作の様子」です。
お楽しみに・・・。