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◆@絵本ナビ 今年最終号のテーマは「お正月」。新企画もありますよ。(2007/12/26)
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●●特別企画メイキングレポート「絵本ができるまで」●●
【2】原画制作スタート!

前回でお伝えした通り、「ラフの制作」で絵本の内容や展開が大体決まりました。
いよいよ絵本づくりの要!「原画の制作」に入ります。
作家さんにとって、勿論ここが絵本づくりの仕事の佳境となるのでしょう。
さて、石井聖岳さんの場合はどんな様子でしょうか。

k_ishii brog.jpg
まずは石井さんの今までの作品はこちらでチェック!>>>

ehon4076.jpg
こちらは石井さんのデビュー作「つれたつれた
    
ehon7804.jpg
石井さん×津田さん(担当編集者)の前作品「ぷかぷか
    
さぁ、原画のスタート・・・と言っても、いきなり1ページから順に仕上げていく、と言う訳ではない様ですよ。

津田さんいわく、先にラフで大体の完成形は決まっているものの、実際のイメージは
色の入った原画を見ないとなかなかわからない・・・とのこと。
要するに、1枚原画を仕上げるまでは、まだまだ試行錯誤。
「原画スタート!」という段階とは言えないのかもしれませんね。

実際に、今回は最初に2場面を徹底的に描き込み、方向性を決めていったそうです。
ここで編集者津田さんが「鬼」と化すのです(笑)。(石井さん談。)

↓↓まずは石井さん、原画の制作風景です。

 CIMG2019.JPG
大きさは、ほぼ原寸大。素材はアクリル絵の具です。
殆ど「無心」の状態です。

CIMG2020.JPG
1枚仕上げるのに2~3週間かかるそうです。
      
何だか傍から見ると1番「楽しそう」なこの場面。
でも、絵本の出来が決まっていく大事な大事な瞬間なのです。
石井さんと津田さんの真剣勝負の現場なのですよね。
納得いく絵本」を生み出したいからこそ、津田さんは心を鬼にして
こだわりを通していくわけです。

最初に描いたシーンは、今回5枚描き直したそうですよ!
それは、例えば「色味」だったり「書き込み具合」だったり、
「登場人物の見え方」や「構図」だったっり・・・。
津田さんの抽象的な投げかけに対しては、石井さんの場合、
「ただひたすら描いてみる」ことで答えていったそうです。
やはり大変な作業です。

そして、原画制作がスタートします。

↓↓本邦初公開!「森のイスくん」の原画です。
   (画面左上にテキストが入ります。)
P0809a1.jpg
森の動物達とイスくんが、楽しそうにたわむれている、ほのぼのしたシーンです。
イスくんの、控えめだけど嬉しそうな表情や、
草花を描くのが好きな石井さんらしく、明るく可憐に描かれた花々、
何よりも、この森に遊びに行きたくなる雰囲気が素敵!
・・・と見る側の私達は思わず『ぽわーん』としてしまう様なのんびりした風景です。

更にもう1枚!快心の1枚です。↓↓   
(スタッフFさんもこの絵を見て話が気になって仕方がなくなった模様。)
P1011a2.jpg
このすかっと抜ける気持ちのいい青空。
どうやら、イスくんが動物達に運ばれています。遊びに行くのでしょうか?
      
・・・と、とても平和な雰囲気です。
でも実は、ここに来るまでには「産みの苦しみ」「絵本づくりのこだわり」などなど、
様々な戦いがあったのでしょう、そんな事は想像もつかない絵ですね。
石井さんが
「例えば、遊園地の遊具をつくる人の様に、人を楽しませる為のものをつくる人が
 必ずしも楽しいだけで作る必要はないと思う。」

というようなことをおっしゃっていて、なるほど納得してしまったのでした。さすがプロ!
      
そんな石井さんですが、ここまでくると
イスくんと森の動物達が絵の中で勝手に遊びだし、
石井さんはだた「描かされている」という境地になっていくそうです。
普通味わうことのないであろう、この感覚。
やっぱり「楽しいに違いない!」と私は思ってしまうのでした。

徐々に明らかになりつつある、「森のイスくん」。
  「どうしてイスくんが森にいるのか。」
  「イスくんと森の動物達がどうやって遊ぶんだろう?」
気になります。この気張らないテーマに、気がつくとすっかり心を奪われあります。
早く読みたい!
    
さて、こうして出来上がった原画は「編集者が大事に保管し・・・」
というのは、もう一昔前の話だそうで
今は、印刷会社に持って行って、データにするそうです。
そのデーターをもとに色の調節など・・・と、ここからは主に津田さんのお仕事!
次回は「入稿」です、お楽しみに。

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