●●よしながこうたくさん「飼育係長・制作日記」●●
【4】原画描き!
こうたく節が全開で、ますます絶好調の制作日記!
御本人が必死になる程、面白くなるような・・・そんなタイプな方なのでしょう。(勝手に決めたりして。)
◇◇編集者瀬尾さんより・・・
ラフを描き終えて、ようやく原画描きに辿り着きました。
一番作業に没頭されているはずの時期なのですが、
とんでもない事実が発覚!!
2007年10月3日 マニアックアニマルゾーン。
俳優、青木崇高氏が陣中見舞いで撮影の合間をぬって大阪より来福。
彼もまた休日にはお部屋で絵を描いたりする変わった人である。
既に絵の構図等、大ラフは出来上がっとったので
絵本のストーリーを相談。
さすが脚本から感情表現や状況演出を体現する仕事の人じゃぁ。
鋭く的確な意見がビシ! バシ!
動物の鳴き声をもっと増やした方がより伝わるねん。とか
声には特徴があった方がより劇的になるねん。とか
関西弁で喋る。
福岡で関西弁を喋るとは、きみ、よか度胸ばいね。
音で演出を考えるところは絵描きには無い発想。ありがたや。
その後、一緒にトリアスふれあい動物園へ。
先月、妹情報により知ってしもうたご近所マニアックアニマルゾーン。
狭い敷地内に
カピバラやらフラミンゴやらアルマジロやらワラビーやら
すべて放し飼い。
神の領域!!
まさか我が家から山ば挟んで向こう側にこげな所があろうとわ!
二人でアニマル達をなでまわし
感触や筋肉の付き方、骨格を再確認。
まず触れて知る!
もおおおおおおおおおおおお
動物くんたら、ちかっぱぃ可愛か!!!!
ここの飼育員の方達ともすっかり仲良しに。
広がれ広がれ人民の輪!
28歳にもなると、青木氏を始め、同世代の友人達が目覚ましい活躍ぶり。
こりゃぁ負けちゃおれん!と新たに気合いを入れなおしたのであった。
↑「ちりとてちん」青木君と桃色フラミンゴ
10月8日 絵本作りは楽しいばかりじゃなか。
デハラユキノリさんが絵本『サトシくんとめんたくん』のプロモーションで
明太子の国FUKUOKAにおいでになる。
で、一緒に食育のイベントに出てトークしたりする。
で、デハラさんと美味しく福岡名物もつ鍋なんかを食べたりして福岡満喫。
だが、そのこうたくの体内はすでに内臓脂肪を大量に蓄え、
その重みに耐えきれずに腰が悲鳴をあげとる真っ最中だった。
大ラフアップ以来、絵の本描きが始まっていたが
既に自分の下描きのあまりの細かさに後悔の日々を送っていた。
運動不足、栄養不足、愛情不足。
成人病へまっしぐらでございます。
おのれ、わんぱく小学校…いったい何人生徒がおるんじゃぁ…
動物園の動物はいったい何匹…
描いても描いても終わらんではないかぁああ
出だしの気合いはどこへやら。
徐々に給食番長を制作していた半年前の地獄を思い出し始める。
「絵本だしてるんですか! スゴいですね!」
とかカフェのお客さんにちやほやされとってすっかり忘れとったが
そげんやった。あ〜、そげんやったそげんやった。
長期スパンで戦う絵本作りは楽しいばかりじゃなか。
地獄も用意されとりますとたい!!
「も〜やだ〜! ぼく沖縄に行く〜」
ワガママこうたくが顔を出し始めるのであった。
↑我が家マッチョカフェにて、妹、僕、デハラさま
10月21日 !?
福岡タワー内のイベントででRKBのアナウンサー茅野正昌さんが
『給食番長』の読み聞かせをするというので聞きにいく。
初めて他の人が番長の博多弁を生で読むのを聞いたが、
面白い! いや〜〜〜面白い。
感動していると
「会場のみなさん! 今日、作者さんがいらっしゃってます!」
と不意打ちで名指しされ拍手の中、起立させられる。
驚きと感動でいっぱいになった。
そしてその重みに倒れそうになっていた…
実はこの時、ぼくはある重大な事実を担当の瀬尾さんに告げられており
まったく寝れない徹夜の日々を送っており
半分死に体のぽっくり絵描きとなっていたのだった…
瀬尾さんから電話がかかってきたのは
その日をさかのぼること2日前。
瀬尾「最近連絡してなかったですけど、その後『飼育係長』の調子はどんな感じですか?」
こうたく「あ、瀬尾さん! そりゃもうバッチリですよ!」
瀬尾「それは良かったです。どのくらいで終わりそうですか?」
こうたく「この調子やとクリスマスまでにはバッチリ終わっとりますです!」
瀬尾「…は? 何を言ってるんですか???」
こうたく「…何がですか…?」
瀬尾「最終締め切り、11月中って言ってましたよね…」
こうたく「…は…い???」
瀬尾「え………」
恐ろしく重たい空気が流れ、ぼくはあせった。
そっこうでスケジュール帳を取り出しぱらぱらとめくると
「か…書いてありました…11月中締め切り!って…」
何をどこで勘違いしたか、スケジュール帳は
11月締め切りを飛び越え12月のページにおよび
12/24 最終ページ提出!
12/25 クリスマス!
とビックリマークが哀しいキラメキをはなっておった。
浮かれた感がよりいっそう哀れな感じでス・テ・キ。
瀬尾「だ…大丈夫なんでしょうね…」
しかし、僕もダテに制作中ずっと落語を聞いてるわけではありません。
こうたく「大丈夫ですよ! 瀬尾さん! 気がついたら、あれ? 全ページ一式手元にあった! いつの間に!? ってなことになっとりますって!」
と、間髪入れずの名回答。安心感を与えるステキトーク。
米朝さん、枝雀さん、ありがとう。
当時電話の始終を横で聞いていたデザイナーさんによると
「あの日、こうたくさんの電話を切ったあと、瀬尾さん、お腹が痛いって言って早退してましたよ…」
との事。
ひっ!
この日、初めて、人生の終わりが足音をたてて猛ダッシュで近寄ってくるのを実感したのでした
↑読み聞かせ心のお師匠様、茅野さん
↑桂枝雀師匠と共に絵描き修羅場へ