●●特別企画 よしながこうたくさん「飼育係長・制作日記」●●
【2】日記スタート!まずはタイトルから・・・。
いよいよ始まります、「飼育係長」制作日記。
あんなインパクトのある前作「給食番長」の続編、というからには・・・
さぞ苦労なさっているに違いない!なんて、思わず苦悩するよしながさんを
期待してしまうイソザキです。
さて、早速アイデア出しから色々エピソードがあるようで。
小学校でトラって・・・。
担当編集者瀬尾さんとの駆けあいもいい味出していますよ。
◇◇編集者瀬尾さんより・・・
今回は、企画始動からタイトル、アイディア出しまで。アイディアのとっかかりでこうたくさんが苦悩していたので、小学校時代の思い出から考えはじめていただきました。
2007年7月24日 始動!
給食番長が世に出てから1ヶ月。
7月21日から半年ぶりに欲望の街へプロモーションのため上京。
久々の満員電車&人ごみ地獄を味わいつつ
営業担当の小尾さんと毎日、朝から晩まで東京中を歩き回る。
日中は取材や書店巡り。夜は交流飲酒。
初めて社会の営業活動というものを経験させてもろうたが
恐ろしく、歩く歩く歩く飲む! 歩く!
数日でカバンがおケツとこすれてビリビリに大破!
「小尾さん(営業担当)、ぼくはこんなに日光にあたったことは無かですよ。あんたはスゴか」
真夏の日差しの中、日頃のご苦労を察し、ねぎらいつつ、
お部屋でぐったり絵描きに生まれてきた我が身がかわいいと思いました。
ありがとう、神様。
足腰ボディが弱いんで、絵描きっちゅう職業が無かったら
あぶなかったです、ぼく。
そんな折、
出版社に届いたたくさんの読者ハガキを見せてもらい、
僕にも読者の皆さんから頂いたメールが多々ありまして、
瀬尾さん…結構な数で「続編を!」って書いとりますよ…
瀬尾「やりますよ」
こうたく「な、なんと!」
そんなこんなで番長シリーズ改め、
わんぱく小学校シリーズ次作プロジェクト始動。
7月26日 小学校の思い出といえば・・・。
『こびとづかん』のなばたとしたかさんと対談、
というマニアックな時間を終えたあと
瀬尾さんとアイデア出し。
やはり小学校で思い出深いのは飼育係。
僕の小学校では飼育小屋が中庭にあったので
両側を校舎に挟まれて、なんとな〜く常に薄暗く、
湿った空気と動物の臭いというイメージ。
小屋のなかは外から見づらく、入ると獰猛なニワトリが怖くて近寄れない。
ではあったが、
ぼかぁ小学校時代は友達と遊ぶより、
虫や魚、動物を探すのが大好き少年やったけん
クラスの“動物博士”の称号も欲しいがまま。
山川海が近い田舎の小学校だったもんで、調子に乗って生き物を乱獲。
てんとう虫、オタマジャクシ、なんでも大量捕獲。
しかし、やはり無知は罪也か、
クラスで大切に飼っとった金魚の水槽にトンボの幼虫「ヤゴ」を入れとったら
翌日金魚が食べられとりました。
「おぁぁぁ、ご、ごめんよ、きんぎょ!!!」
幼い僕にはそーとーショックでした。
色んな人に飼育係の思い出を聞いてまわったらば、
結構多くの意見で
「あの時ちゃんと飼い方ば教えてくれる人がおったら、あいつばもっと長生きさせてやれたとに…」
でした。
こうたく「こ、これ、いきましょう、飼育係!」
瀬尾「給食番長ときて、飼育番長ってのも芸がないですね」
こうたく「じゃぁ…係長…?」
瀬尾「飼育係長…」
こうしてシリーズ第2弾「飼育係長」の題名だけが先に産まれたのであった。
↑「給食番長で取材協力してくれた小学校の飼育小屋」
↑「昭和の香りプンプンの下町幼少期」
7月30日 地獄の打ち合わせスタート。
この頃、出版社に毎日顔を出しすぎたおかげで
もう誰も特別扱いしてくれんごとなる。
人間とは、そんなもんですたい。
福岡のRKBニュースに送るようのビデオを長崎出版のみんなで撮影後、
恒例の瀬尾さんとマンツーマン地獄の打ち合わせ開始。
絵本のテーマをどこに絞るかで難航する。
命の大切さ? 飼い方? 帰化生物問題?
17ページで子供達に伝えられる事…
…
…とりあえずヴィジュアル面で一回考えますか…
灰色の壁に黒い金網。ウサギもニワトリも白色。モノトーンな飼育小屋。
色が足らんばいねこりゃ。
こうたく「絵的になんかこ〜派手な動物が欲しいんすよ。トラとか格好良くないですかね?」
瀬尾「小学校にいないでしょ…どっから持ってくるんですか?」
こうたく「遠足で動物園から連れ帰るとか…」
瀬尾「ちょ、ちょっと無理矢理な設定ですねぇ。まさか捕獲隊とか出すつもりじゃ…」
こうたく「その捕獲隊に撃たれるトラをかばって、番長が銃口の前に立ちふさがるとか…」
瀬尾「なに言ってんですか?」
さすが絵本界に身を浸しておられる瀬尾さんの的確なツッコミにより、
「福岡に帰ってちゃんと小学校と動物園を取材してからね」
と、ダメな感じで福岡に帰される事になるのであった。
瀬尾「取材できたら連絡ちょうだいね」
こうたく「はい、隊長」
↑「まだ笑顔がある頃の事務所風景」