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「ねぎぼうずのあさたろう」アニメ放送開始!記念 特別企画 特集3弾<前編>。

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【前編】

アニメ「ねぎぼうずのあさたろう」の放送がスタートして早1ヶ月。

あさたろうを始めとするキャラクターの魅力や、
原作絵本をベースとする浪曲痛快チャンバラ時代劇のお話の面白さは勿論の事、
今までイメージしていたアニメ作品とはちょっと印象の違う、
その背景を含めた色合いの美しさや、
まるで映画を観ている様な宿場町の様子や町の人々の雰囲気などなど・・・
思いもよらない程の奥深さを感じる世界に、見所満載のこの作品の虜になりつつあるのです。

今回は、東映アニメーションさんのご配慮により、
普段めったにお会いする事のできないこんな方々に、
直接お話をお伺いする事ができました!
(大勢の方が携わっているアニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」制作スタッフの中で、
この作品の「基本的な部分を決定していく」という部分を担っているお仕事なのだそうです!)

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キャラクターデザイン・・・稲上晃さん
物語に登場するキャラクター(人物、動物、乗り物含めて)をデザインし、形にされていく方です。
美術デザイン・・・渡辺佳人さん
キャラクター以外の背景舞台をデザインされている方です。(風景、建物など)
色彩設計・・・塚田劭さん
キャラクターや背景なども含めて色を設定するお仕事。イメージや雰囲気も色によって表現されます。

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シリーズディレクターや、演出の方達の意向を表現されていく、
とっても重要な役割であるというのが、素人の私達にも理解できますね。
素朴な質問に対して、とっても丁寧に答えて下さいました。
興味深い内容ばかりですよ。

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1話、2話・・・と見ていて、一番印象的だったのはやっぱりあさたろうの魅力!
何と言っても、光輝くあさたろうの顔色。
そして、原作絵本のあさたろうに負けない位に豊かな表情。
服装や小物、飛び道具(ねぎ汁!)まで・・・
主人公あさたろうの表現はどのように決定していったのでしょう?


主人公のあさたろうの表現について
3人それぞれの立場から語って頂いた内容が印象深かったので、ご紹介します。

塚田さん(色彩設計)
「原作の顔は、水彩絵の具で表現された繊細な色。これをアニメでどう表現するのか、試行錯誤を繰り返しました。
最初に作ったパイロット版(試作品)は割と黄色っぽかったのですが、
あさたろうの(一本気でまっすぐな)性格が感じられる様に、最終的には少しグリーンの入った色に決定しました。
ねぎ汁や涙も沢山登場しますが、こちらの表現も結構苦労しました(笑)。」

稲上さん(キャラクターデザイン)
「絵本の原作のあさたろうは、とても楽しい表情を創られていますね
アニメ版では、一年間シリーズを通して色々な話が登場します。
あさたろうがこれからどんなものに出会い、どんな表情が生まれていくのかは、まだ未知数です。
ディレクターや演出家、スタッフと話合いながら、原作の味も生かしつつ楽しんで表情をつくっていきたいと思っています。」

渡辺さん(美術デザイン)
「基本的に背景は、あさたろう達キャラクターをいかによく見せるか、という事で考えています。
背景にどんどん手を加えてよりリアルに描きこんでいく・・・というよりは、
画面の中でキャラクターと一番合った雰囲気はどうすればいいか、という事で決定していきます。」

それぞれ仕事の内容は違っていても、
「あさたろうのまっすぐな心」を表現するという事が一番念頭にあると言う点で共通しているようです。

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↑3人一度に顔を合わせられる・・・いう事が、とても珍しいそうですよ!

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「ねぎぼうすのあさたろう」は、原作もアニメ版も時代設定が江戸時代末期です。
絵本自体も時代設定がしっかりしているそうですが、
(飯野和好先生がとてもお詳しいそうなのです!)
シリーズディレクターの池田さんに、服装や背景、小物や野菜に至るまで
かなり詳しく時代検証をされているとお伺いしていました。


登場キャラクター達の服装の決定はかなり大変!?
設定が江戸時代末期という事なので、当然その時代の服装をさせなければなりません。
主要メンバーの服装設定だけでなく、
例えば街の風景が出てくれば、その場所職業身分によって着物髪型などが違ってくるので、
出てくる人達全員の服装を考えなければならないそうです!
特に髪型は正面だけでなく、色々な方向から描く事が難しい・・・とおっしゃっていました。

これだけ忠実な時代劇を再現しているアニメ作品というのは、近年とても珍しいそうです。
その分苦労は多いそうですが、とても楽しまれているようにも見えましたよ。
例えば・・・
服装については、もともと飯野先生が細かい部分までとてもこだわって描いているそうで、
わからない部分については、飯野先生に確認したりされる事もあるそうです。
(お話会では実際に着られる事も!?こちら>>>
あさたろうの旅姿については、稲上さん(キャラクターデザイン)も教わりながら旅姿の服装を実際に着て、
感触を味わったそうです。(全身完璧に着こなしたお写真も見せて頂きました。わらじの履き方も教わって・・・。)


参考としているのは時代劇の役者さん
その他のキャラクターの服装についても、スタッフの皆さんで打ち合わせをしながら決めていくそうです。
そのキャラクターのイメージや雰囲気を創っていく為に、実際にいる時代劇の役者さんをモデルにされる
事もあるそうです。

例えば剣の腕は一流「きゅうべえ」
きゅうりというだけあって、あんなに顔が長いのに立ち姿や振る舞い、着物の着方など
すごく男前で格好良いと思いませんか?
実は彼のモデルとなっているのは・・・(時代劇映画がお好きな方ならご存知でしょう)
市川雷蔵が演じる、映画版眠狂四郎(ねむりきょうしろう)だそうです!
彼の妖艶な雰囲気を表現する為に、目付きや立ち方着流しの様子など参考にされているそうです。
どうりで・・・どこか影のある感じがするのも惹かれますよね。
先週(11/16)の放送では、きゅうべえのそんな影の秘密がちらりと登場していましたね。
今後の展開も気になる所、目が離せないキャラクターの一人です。


あさたろうの服装はほぼ原作通り
あさたろうの「旅姿」というのは、上記の通り飯野先生のこだわりもあり原作絵本にかなり忠実だそうです。
ただ、一箇所アニメ版オリジナルの姿で個人的に気に入っている場面があります。
第1話の「あさたろうがねぎ畑から飛び出した場面」
まだ旅姿になる前のあさたろう、ねぎ一枚の着物(?)姿でねぎの帯をきゅきゅっと締める様子。
ここは、プロデューサーや演出の方と話合い、
「ねぎだけでも着物っぽく見えるように・・・」と決まった結果、ああいったキュートな姿になったそうです。
とっても瑞々しいねぎの香りが漂ってくるような色と合わせて、印象に残っています。


風景の基本モデルは東海道五十三次
背景について、美術デザインの渡辺さんにお伺いしました。
時代劇風の雰囲気を感じながらも、どこかリアルな感じでとても入り込みやすい背景。
実際のモデルはあるのでしょうか?
「原作の舞台は、故郷の浅葱村から京都三条大橋まで、東海道を旅するおはなしです。
ですからやっぱり、基本は歌川広重の東海道五十三次の雰囲気を出せたらいいなぁと思い参考にしました。」

その他にも実際に「東京江戸博物館」「深川江戸資料館」、また京都の「太秦映画村」などに足を運ばれたり、
実際の風景をご覧になったり。(実際に舞台が京都に移っていくので、富士山の位置も重要ですね。)
また、民家の資料や江戸時代の建物の資料なども沢山ご覧になったそうです。

背景を決定するまでの流れとしては、
まず演出家が意図している事をいかに再現するかという所から始まります。
資料や実際の様子などを話し合いながら風景を決めていきます。

そして、例えば一軒の家を建てる時。
まず渡辺さんの頭の中で、その家が建っている背景の様子から考えていくそうです。
「村に建っているのか、町中なのか、宿場なのか」・・・。
そして、村の様子を決めていきます。「山の中なのか、畑の中なのか・・・」更に建物の資料も集めます。「藁葺き屋根なのか、茅葺、瓦なのか・・・」その村の様子などが頭の中で固まってきて、初めて家や実際の風景を作っていくそうです。

そうして周りのものも大切にしながら作っていくことで、
見ている人に違和感なく自然な風景として伝わるのではないか、という思いがあるのだそうです。

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↑第1話に登場するしいの実のおようちゃんの家の完成図と設計図です!
 家のつくりも、環境や身分によって全然違うそうで・・・。今後も次々に登場する建物、
 下調べだけでも大変そうですね!

また「あさたろう」を見ていると、何となく屏風絵風な雰囲気を感じませんか?
和紙のような色合いが登場したり・・・時代劇特有の落ち着いた雰囲気がありながらも
洗練された形や色がでてきてぴりっと効いているような。
これは渡辺さんがもともとやってみたかった表現だそうです。
塚田さん(色彩)との連携も重要になるのだそうです。
そんな部分も、この作品の見所の1つにもなっているのではないでしょうか。


江戸時代は実はとってもカラフル?
服装や建物などは、実際の写真や現物などを資料として参考にされているとの事ですが、
参考にする事ができないのか「色彩」
確かに資料の殆どは「白黒」ですし、現存している建物などの色は当時よりもずっと色褪せているし・・・。
という訳で、塚田さん「その時代はきっと鮮やかな色合いだったはず」と考えられて、
実際に今あるような感じで再現する事に尽力されているそうです。
特に着物などはとっても鮮やかな色合いが多く、華やかな雰囲気が楽しいですよね。

また、色彩で特筆すべき点は「時刻によって変化する色合い」です。
この美しさは是非実際に番組をご覧になって確かめてくださいね。


まだまだ面白い話は続きますが、長くなってしまうので一旦終了。
続きはまた次週更新します!
次は主にキャラクターデザインのお仕事(貴重なキャラクター設計図の写真も)や、
こももちゃんの秘密などをご紹介します。
お楽しみに・・・。

東映アニメーションHPはこちら>>>
絵本ナビ特別企画「ねぎぼうずのあさたろう特集」第1弾はこちら>>>
絵本ナビ特別企画「ねぎぼうずのあさたろう特集」第2弾はこちら>>>
アニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」登場人物キャラクター紹介はこちら>>>
絵本版「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズはこちら>>>

【後編】はこちら>>>

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