(1) 特集1・・・ 昔も、今も、そして、これからも。岩波少年文庫創刊60年!
さて、「岩波少年文庫」というのは、どんな想いから創刊されたのでしょうか。
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←灯りを見上げるぞうさんとカンガルー親子の絵は
岩波少年文庫60年記念のロゴなのだそうです! |
◆岩波少年文庫とは?
岩波書店の児童書の出版は、1950年の「岩波少年文庫」の創刊から始まったのだそうです。
心おどる物語の楽しさを子どもたちに届けたい―
そんな想いのもと、戦後まもない時期から、世界の名作・古典、児童文学の傑作を紹介しつづけてきました。
2000年には創刊50年を機に、「岩波少年文庫」新版が発足。
装丁と判型が改められ、ゆったりとした新版として新しく出発しました。
総タイトル数は約400。総発行部数3100万部!
多くの書目が版を重ね、親から子へ、三代にわたって読み継がれてきたのです。

◆岩波少年文庫創刊60年を迎えられて・・・
創刊当初は戦後まもなかった・・・と聞くと、60年の歴史の重みを感じますね。
その出版には多くの方が携わられてきた事だと思います。
今回の特集に寄せて、岩波書店の編集の方にコメントを頂きました。その想いをお伝えできればと思います。
「岩波少年文庫」には、国や言葉のちがいをこえて、子どもたち(と、かつて子どもだった人たち)を
ワクワクドキドキさせてくれる物語が、たくさんそろっています。
いわゆる名作・古典から現代の児童文学まで、選りすぐりの作品たちを読みやすい日本語と魅力的なさし絵で紹介しつづけてきました。ファンタジーあり、探偵ものあり、リアリズムあり、民話あり、歴 史小説ありと、味わいはさまざまですが、共通しているのは、魅力的な登場人物や動物たちに出会えること、そして物語を通して知らない世界を旅できること。
創刊当初、まだこういった読み物が少ない戦後に少年文庫を夢中で読んだという世代は、いまやおじいちゃん、おばあちゃん。文字どおり親子3世代に支えられてきました。多くの人たちの心を楽しませてきた幸せなロングセラーが多いのも、少年文庫の特徴です。
どの本から手にとったらよいの?という人のために、編集部では目下、テーマ別におすすめ本を紹介する小冊子を作成中です(6月発行予定)。どうぞお楽しみに!
<岩波少年文庫 編集部>
岩波少年文庫小冊子が完成しましたら、また改めてご紹介させていただきますね!
絵本ナビでは、ひとあしお先にベストセラー&ロングセラー作品をご紹介していきます。
(2) 特集2・・・ 「岩波少年文庫」シリーズより、絵本ナビおすすめ!作品をご紹介します。
本を読む醍醐味といえば、読んでいるだけで様々な国や世界、出来事を体験できること。
それが子どもであれば、その後の人生に影響を与えるほど大きな衝撃を受けることもあるでしょう。
そして、あまたある物語の中で、昔も今も変わらず子ども達を楽しませてくれる名作が厳選されたラインナップとなっているのが、「岩波少年文庫」の魅力の一つでもあります。世界の名作が手軽に選べて、気軽に読める!
とにかく面白い体験を欲している子ども(大人にも)には、「岩波少年文庫」シリーズがぴったりなのです。
◆「不朽の名作」ベストセラー&ロングセラー作品より
まず最初は、読んだことのない方はもちろん、読んだ事があっても内容がうろ覚えの方にも絶対オススメしたい
「必読!」の作品からご紹介します。
★知っているつもりになっている物語をもう一度じっくり!
アリスやハイジなど、テレビや映画を観て、知っているつもりになっていた物語も多いのではないでしょうか。
改めて読んでみると「こんなお話だったのか」と、また違う感動に出会えます!
◆お気に入りの作家から選ぶ!
お気に入り作品を見つける最も簡単な方法として、「おもしろい」と思った作品の作者の他の作品を読むこと。
手軽な文庫版だからこそ、どんどん読破してほしい人気作家さんの作品をご紹介します。
↓こちらの作品がおすすめ!
★こんな愉快な本を書いたのは・・・「子どもの本の女王」スウェーデンの作家リンドグレーン(1907-2002)
幼い頃から大自然とともに幸福な子ども時代を過ごしたというリンドグレーンの作品には、大らかさと冒険心にあふれています。
読んだ後には、思わず裸足で外を駆け回りたくなるような・・・愛すべき作品は130以上!
↓こちらの作品がおすすめ!

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「点子ちゃんとアントン」
お金持ちの両親の目を盗んで、夜おそく街角でマッチ売りをするおちゃめな点子ちゃんと、
おかあさん思いの貧しいアントン少年との友情物語。
それぞれのキャラクターがはっきりしていて、展開がわかりやすくとてもユーモラス!
子ども達の絶対的な味方ケストナーによる語り口は、くすくす、げらげらと笑ってしまう
と同時に、人生の真剣さについてもじっくりと考えさせてくれるのです。 |
★こんな魅力的な本を書いたのは・・・ドイツの代表的作家ケストナー(1899-1974)
ケストナーの物語の魅力は、ユーモアあふれるお話の中にも、涙をさそう悲しい物語の底にも、人生の真実が輝いていること。
ナチス政権下にあったという事を全く感じない明るさは、子ども達が大人の犠牲になる事を真っ向から否定しているようです。
児童文学の面白さに目覚めるきっかけとなるような傑作ばかり。映画化されている作品もたくさんあります。
↓こちらの作品がおすすめ!

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「クローディアの秘密」
少女クローディアは、弟をさそって家出をします。
行く先は何と、ニューヨークのメトロポリタン美術館!
2人は、ミケランジェロ作とされる天使の像にひきつけられ、その謎を解こうとします。
冒険心をかきたてられる展開に引きこまれつつ、思春期の入り口に立つ女の子の
心理描写も鋭く描かれており、読み応えのある内容になっています。 |
★こんな興味深い本を書いたのは・・・現代のアメリカ児童文学を代表する作家カニグズバーグ(1930-)
ニューヨーク生まれフロリダ在住の作家カニグズバーグの作品は、おもに思春期の子どもたちの現実を映し出しており、
大人になると忘れがちなこの年代の繊細な心のうちを思い出させてくれるようです。
その内容は決して甘いものではないのですが、子ども達の心の成長を力強く後押ししてくれているかの様でもあります。
また、物語の展開としても秀逸なものばかり。是非、親子で読んでみてください!
◆今も昔も変わらず大人気のシリーズを全巻読む!
創刊60年の「岩波少年文庫」だからこそ、大人気の名作シリーズをたくさん擁しているのも大きな特徴です。
もし子ども達がシリーズの1巻目に反応したら、熱気の冷めないうちにすかさず続巻を用意してあげて下さいね。
大人の場合は、大人である特権を生かして全巻セット「大人買い」がオススメです(笑)。

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「ドリトル先生アフリカゆき」
「沼のほとりのパドルビー」に住む名医ドリトル先生は、オウムのポリネシアから動物語を習い、
世界中の動物たちから敬愛されています。ある日アフリカのサルの国から、
疫病が流行しているから救ってほしいという訴えを受けた先生は・・・。
動物のことばを話せるドリトル先生が、オウムのポリネシアや犬のジップたちとくりひろげる、
明るく面白い物語。世界中を旅しながら、あらゆる土地や動物達に出会います。
時には月にまで・・・!?さし絵も作者ヒュー・ロフティングによるもの。
「ドリトル先生物語」シリーズはこちら >>>
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「ライオンと魔女」
疎開先の古い屋敷で、ある日、4人のきょうだいが大きな衣装だんすの中に入ると、
そこは雪のつもる別世界ナルニア国へつづいていました・・・。
人間の世界とは全く別の空想上の国ナルニアの誕生から死滅までを描いた
壮大なファンタジー。シリーズを読み進めるほどに、全体の物語の面白さを
味わうことができます。
待望の映画化第3章『朝びらき丸 東の海へ』は2010年12月公開予定!
「ナルニア国ものがたり」シリーズはこちら >>>
岩波少年文庫版「ナルニア国ものがたり全7巻セット
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「長い冬」
ローラたちの一家が住む大草原の小さな町を、長くて厳しい冬がおそう・・・。
大自然とたたかいながら力強く生きた、アメリカ開拓期の人々の生活がいきいきと
描かれた「ローラ物語」シリーズ第1巻。
アメリカの作家で小学校教師でもあったローラ・インガルス・ワイルダーによる、
半自叙伝的な物語。厳しい自然の中で過ごす一家の様子やローラの成長を
描いていきます。5巻では、ローラの娘ローズによる当時のワイルダー家の
生活の記録も収録されています。
「ローラ物語」シリーズはこちら >>>
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★今一番の注目シリーズ作品といえば・・・?

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スタジオジブリ映画化決定!!
2010年夏、全国東宝系ロードショーが決定している
スタジオジブリの最新作、
映画「借りぐらしのアリエッティ」。
※映画情報はこちらからどうぞ >>>
その原作となっているのが、メアリー・ノートンの作品、
「小人の冒険」シリーズです。
『編み棒や安全ピン、鉛筆など、たくさん買っているはずなのに、
使おうとすると見つからない―そんなことはありませんか。
もしそうなら、そのおうちには「借り暮らしの人たち」がいるのかもしれません。』
身長わずか15cmほどの小人の一家の暮しとは?
そして、次から次へと起こる事件とは・・・?
子ども達が夢中になる事間違いなし!
イギリスファンタジーの傑作です。
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「床下の小人たち」
イギリスの古風な家の床下に住む小人の一家。
生活に必要なものはすべて、こっそり人間から借りて暮らしていましたが、
ある日、小人の少女がその家の男の子に見られてしまいます―。
カーネギー賞受賞「小人の冒険シリーズ」の第1作です。
「小人の冒険」シリーズはこちら >>> |

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設定を読んで、
「これは絶対面白そう!」
そう思った方は、
こちらの全5冊セットがおすすめ。
まとめて読めます。 |

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じっくり味わいたい方には、
こちらのハードカバー版も
おすすめです! |
◆おすすめ作品はまだまだあります。
その他にもおすすめはたくさんあります。
その中から珠玉の作品を、個人的な思いも含めていくつかピックアップします!

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「みどりのゆび」
裕福に暮らすチト少年。お父さんが兵器を作る人だったことを知り、驚きます
じぶんが不思議な〈みどりのゆび〉をもっていることに気づいた少年は、
ある一大決心をします。心が洗われるような不朽の名作。
比較的低年齢でもわかりやすい内容です。
大人がはまってしまったら、カラー挿絵満載の愛蔵版をどうぞ! >>>
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「トムは真夜中の庭で」
友だちもなく退屈していたトムは、真夜中に古時計が13も時を打つのを聞き、
庭園に誘いだされて、ふしぎな少女と友だちになります。
イギリスのファンタジーの名手フィリパ・ピアスによる、カーネギー賞受賞の傑作です。
夢と現実、歴史と幻想を巧みに織りまぜた今作品は、時をテーマにした小説の
古典といわれています。 |

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「マリアンヌの夢」
子どもにとっての「不安」と「恐怖」を描いた異色のファンタジー。
病気になったマリアンヌは、あるとき自分が描いた絵のとおりに
夢の中の世界が動いていることに気づきます・・・。
予測のつかない展開と、恐怖と必死に立ち向かう少女の心理描写の迫力に、
ぐいぐいと引き込まれていきます。 |

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「ふくろ小路一番地」
ふくろ小路1番地に住む、
子だくさんのラッグルスさん一家の
にぎやかな物語です。 |
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「冒険者たち」
勇敢なドブネズミのガンバと
その親友たちが、
次から次へととくりひろげる、
胸おどる大冒険シリーズ。
「ガンバの冒険」というアニメで
ピンと来る人もいるかも!?
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「ぼくがぼくであること」
ひょんなことから家出をした
秀一が巻き込まれていく事件とは?
少年の力強い成長を描く物語。 |
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「あのころはフリードリヒがいた」
ヒトラー政権下のドイツ。
その時代の波にまきこまれていった
少年フリードリヒの日々を
克明に描く。
(中学生から)
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・ おすすめポイント
等々、どんな本を読んだらいいのか迷われている方の参考になるような内容をお待ちしております!!
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(3) 絵本クイズ・・・クイズに答えてポイントゲット!!
前回はクイズコーナーをお休みしました。
今号からまた通常通り問題を出題します!
今週は、「岩波少年文庫」から映画化も話題となっている物語『床下の小人たち』より出題します。
正解者の中から抽選で
1名様に絵本ナビポイント500ポイントプレゼント
20名様に絵本ナビポイント50ポイントプレゼント
しちゃいます!!
【問題】 (難易度★★☆☆☆
)
イギリスの古風な家の軒下に住む身長15cmほどの小人の一家。
小人たちが人間の家に「借りぐらし」をする中で、一番恐れている事とは何でしょう?
(4) 編集後記
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