« クリスマス配送日のご指定を承ります。 | トップページに戻る | あなたのお気に入り「あいうえおん」は?
アンケート結果の発表です。 »

絵本『おそばおばけ』のできるまで
谷川俊太郎×しりあがり寿×祖父江慎

クレヨンハウス刊 谷川俊太郎さんの「あかちゃんから絵本」シリーズ第9弾『おそばおばけ』で谷川さんと組まれたのは漫画家しりあがり寿さん!この異色の組み合わせは聞いただけでもワクワクしてきます。更にブックデザイナーとしてもひっぱりだこの祖父江慎さんも加わって。一体どの様にアイデアが練られていったのでしょう。今回、クレヨンハウスさんが制作風景を絵本ナビの為に特別にご紹介してくださることになりました。これは貴重です。お楽しみください・・・。

 ■ あかちゃんから絵本の新作はこの3人で!  


『おそばおばけ』は、なんといっても谷川俊太郎さん×しりあがり寿さん+祖父江慎さんという、すごすぎる組み合わせ。最初の打ち合わせからもう、びっくりの展開でした。
谷川さんが、しりあがりさんのために用意したテーマは「せん」。
「ひと筆描きの線」が主人公という提案に、「ライブでできちゃうかも?」と、祖父江さんがその場でコピー用紙を貼り合わせ、しりあがりさんが鉛筆を手に「えいや~っ」と描きはじめ・・・(このようすを詳しく知りたい方は、[月刊クーヨン]2008年4月号を読んでみてくださいね!)。

osoba_blog1.jpg

第1回目の打ち合わせのようす。左から谷川さん、祖父江さん、しりあがりさん。「ひと筆描きでやったらどう?」「フムフム」
(撮影/宮津かなえ)


osoba_blog2.jpg

打ち合わせのテーブルが作業台に! いきなり絵本完成!? と思いきや・・・。
(撮影/宮津かなえ)


しかしながらやっぱり、あかちゃんになりきって絵本をつくるには、少し時間が必要でした。
宿題として持ち帰ったしりあがりさん。その後考えることおよそ1年・・・。
着地点を求めて絵本はさまよいました。もう、「せん」は無理かも・・・そんな気さえしてきた頃、しりあがりさんのラフスケッチを見た谷川さんから、パウル・クレーのポストカードが。細い線で描かれたその絵は、なるほど不思議な魅力がありました。・・・やっぱり「せん」でがんばることに。

「せん」=「めん(麺)」というアイデアがひらめいてからは、祖父江さんの事務所で作画の日々。弥次さん喜多さんなど、ご自身のキャラクターはサササーッとものの数秒で描き上げてしまうしりあがりさんですが、このシンプルな線は、意外に難しい! 祖父江さんの「これ!」というOKが出るまで、ひたすら線を描き続けたのでした・・・。



osoba_blog3.jpg

コズフィッシュ(祖父江さんの事務所)で、しりあがりさん作画中。


osoba_blog4.jpg

しりあがりさん原画です。こうして「ぼく」と「おそば」別々に描かれたものを組み合わせました。


そうしてようやく完成した絵に、谷川さんが「おそばおばけ」のことばをつけてくれました。うひゃー、「そばばばーん!」だって……! 

「読んだひとはきっと、一日でつくったんじゃないかと思うよね」と言い合いながら、手塩にかけて、手間ひまかけてできあがった絵本です。でも、そんな苦労はみじんも感じさせないこのナンセンス&ユーモアが、すばらしいではありませんか??
読者の方からは、「一度読んだときから子どものアンコールが出た」などうれしいお便りが届いています。
(文/クレヨンハウス編集部 吉原美穂)


☆完成した絵本がこちら!

Ehon_29824_blog.jpg
おそばおばけ
谷川俊太郎・文 しりあがり寿・絵 クレヨンハウス刊
※内容詳細はこちらから>>>

谷川俊太郎 
詩人。21歳のとき、第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行以来、絵本、子どもの本、作詞、シナリオ、翻訳など、幅広く活躍。著作に『谷川俊太郎詩集』(思潮社)、『みみをすます』『わたし』『ことばあそびうた』(以上、福音館書店)、翻訳に『マザーグースのうた』(草思社)、『スイミー』(好学社)など。さまざまな画家、アーティストとの共作「あかちゃんから絵本」シリーズ(クレヨンハウス)は、今作が9巻目。

しりあがり寿
美術大学を卒業後、キリンビール株式会社に入社し、パッケージデザイン、広告宣伝等を担当。1985年、『エレキな春』(白泉社)で漫画家としてデビュー。近年はエッセイ、映像、ゲーム、アートなど多方面に創作の幅を広げている。著作に『真夜中の弥次さん喜多さん』(マガジンハウス)、『地球防衛家のヒトビト』(朝日新聞社)、『ゲバラちえ子の革命的日常』(中央公論新社)、『ゲロゲロプースカ』(エンターブレイン)など。

子どもに絵本を選ぶなら 絵本ナビ 子どもに本・教材を選ぶなら まなびナビ