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人気マンガ家が描く、仏教絵本が完成!『とびだせビャクドー! ジッセンジャー』森田まさのりさんインタビュー

『ろくでなしBLUES』や『ROOKIES』(共に集英社)などを生み出し、若い世代を中心に圧倒的な人気を誇るマンガ家の森田まさのりさん。高校生を主人公にしたストーリーでヒット作を生み出してきた森田さんが、はじめて絵本を手がけました。『とびだせビャクドー! ジッセンジャー』(本願寺出版社)は、仏教をテーマにしたヒーローショーを元に、森田さんが作絵を手がけたオリジナル作品です。今回は、森田さんのアトリエにお邪魔し、絵本を手がけることになったきっかけや、「ジッセンジャー」への思いを伺いました。森田作品に胸躍らせた、かつての少年少女にもオススメの一冊です

ヒーローショーから生まれた「ジッセンジャー」が絵本になりました。

───『とびだせビャクドー! ジッセンジャー』は、龍谷大学大学院実践真宗学研究科の有志の方たちが立ち上げたヒーローショー「ジッセンジャープロジェクト」がベースにあると伺いました。森田さんはどのようにして「ジッセンジャープロジェクト」のことを知ったのですか?

ある日突然、本願寺出版社の松本さんという人から電話がかかってきました。松本さんは「龍谷大学の大学院生が、子どもたちに仏教を広めるために、ヒーローショーをやっています。是非、これを絵本にしてもらえませんか?」と言うんです。それで、打ち合わせのときにヒーローショーの動画を見せていただき、絵本を作ることになりました。

───初めて「ジッセンジャープロジェクト」を見たとき、どう思いましたか?

これなら子どもも喜ぶし、仏教にも興味を持ってもらえるなと思いました。それと、ぼくの実家はお寺なのですが、寺を継ぐはずの長男が、マンガ家になってしまったことで、常日頃、お寺や門徒さんに迷惑かけてるという、申し訳なさを感じながら仕事をしていました。実家の寺や仏教全体への罪滅ぼしではないですが、絵本を作ることで、役に立つことが出来ればいいなと思ったのも、理由のひとつです。


見返しには「ジッセンジャープロジェクト」の解説が載っています。

───本職のマンガではなく、絵本を描くということがとても面白いと思ったのですが、「ジッセンジャー」をマンガにしようとは思わなかったのですか?

そうですね。でも、絵本だから逆にやってみたいという興味がわいたのだと思います。それと、ちょうど連載がひと段落ついて、絵本を描く時間を作れたことも大きかったですね。

───『とびだせビャクドー! ジッセンジャー』は、恥ずかしがり屋の小学生・ゆうちが主人公のおはなし。転校したばかりで友達がなかなかできないゆうちの前に、阿弥陀様の弟子である「ビャクドー」が現れるというストーリー。このストーリーはヒーローショーと同じ内容なのですか?

主人公の「ゆうち」や、「ビャクドー」、「ジャカツ」など登場人物は同じですが、おはなしは絵本のためのオリジナルにしています。ただ、絵本を作る前に、「ジッセンジャープロジェクト」の原案者にお会いして、プロジェクトを立ち上げた経緯や、子どもたちへ仏教を伝えることの熱い思いなどを受け取ってきました。

───原作者の方と打ち合わせをした後、どのように絵本作りがスタートしたのですか?

まず、ビャクドーやジャカツなどのキャラクターを、ぼくらしいキャラクターにするべく、何回もデザインのラフを描いて、試作を繰り返しました。……というのも、ヒーローショーのビャクドーのビジュアルは、ぼくからすると、格好良すぎて、ぼくのキャラクターじゃないなと思ったんです。なので、まずはキャラクターを確立させることからはじめました。


「ジッセンジャープロジェクト」原案者の武藤さんが描いた、ビャクドーとジャカツ。

───「ジッセンジャープロジェクト」のキャラクター原案を拝見していますが、たしかに、ヒーローショーに見合ったビジュアルですね。ここから、等身を変え、ビジュアルを変化させるのは大変ではありませんでしたか?

そうですね。何度も描いては、「これはまだぼくのキャラじゃない」と、直しました。よりお茶目で親しみやすくなるように、顔のマスクを変えてみたり、頭の形を変えてみたり……。最終的に、マスクから口元を覆う覆面に変えたとき、ヒーローっぽい格好良さが薄まり、ちょっと間の抜けた雰囲気が出て、ぼくのキャラクターらしくなったと思います。


ビャクドーの習作。


ビャクドーの習作。完成形に近づいています。

───仏の国からやってきた、正義のヒーローなのに、あまり格好良くないというのがポイントなんですね。

あと、身に着けているものも阿弥陀様の弟子という設定が分かるよう、お念珠を首にかけたり、宝冠のデザインを仏教チックなイメージのものに変えたり、こだわりました。

───ジャカツも同じように格好良さを抑えたビジュアルにしたのですか?

ジャカツのマスクはヒーローショーのものを引き継いでいます。ただ、「ジャカツ」を漢字で書くと「蛇蠍」。「ヘビ」と「サソリ」の文字が入っているので、もっと怪人ぽくなるよう、骨格を少し変えてみたり、ポージングを工夫しました。


ジャカツ習作(右)。

───キャラクターを考える中で、特に難しかったキャラクターと、最初から描きやすかったキャラクターはいましたか?

難しかったのは、ビャクドー。描きやすかったのは、ゆうちですね。ゆうちは特にモデルはいないのですが、内向的で恥ずかしがり屋な子どもって、今も昔も多いと思います。なので、「きっと、読者もゆうちに共感してくれるだろうな……」と思いながら、おはなしを作ることができました。

───ゆうちは、ビャクドーが無理やり友だちを作ろうとしたことに腹を立てて、「みんな いなくなればいいんだ」と言ってしまいます。すると、ゆうちの悪い心から生まれたジャカツが手下の「ミドーク」を使って、友だちを襲います。この辺りは、特にハラハラする展開ですね。

そうですね。ただ、悪役のジャカツも実は阿弥陀様の弟子なんです。なので、行っていることも、ゆうちの希望を叶えようとしているわけで……。ヒーローショーでは、その立場の違いによる善悪の捉え方などを子どもたちに考えさせる構成になっていました。絵本にもその部分は取り入れているのですが、ぼくはよりエンターテイメントとして楽しんでほしいと思ったので、ヒーローショーで描かれなかった、悪を倒す瞬間はぜひ入れたいと思ったんです。

───ゆうちが勇気を出して、ジャカツに体当たりする場面はすごく格好いいですよね。

ゆうちが、友だちを助けようと勇気を振り絞った結果、道が開けた。大切なのは、人を思いやる気持ちと、勇気をもって行動すること。それを感じたから、ジャカツたちは苦しみ、ゆうちたちの前から消えてしまいます。きちんと悪が倒れることで、よりゆうちの勇気がしっかりと描けたのではないかと思います。

───ゆうちの勇気を目の当たりにした、ビャクドーも感動して、阿弥陀様の世界へ戻っていきます。阿弥陀様の元に、ビャクドーもジャカツもいて、ゆうちたちを見守っているというラストもとても印象的でした。

ありがとうございます。ビャクドーもジャカツも、まだまだ修行中の身であるので、失敗もするし、間違いも起こす。そういう等身大の姿を描くことで、より子どもたちも二人のことを身近で親しみやすいキャラクターと感じてくれるのではないかと思って描きました。

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森田まさのり(モリタマサノリ)

  • 滋賀県出身。実家は浄土真宗本願寺派の寺院。高校在学中に手塚賞佳作を受賞し漫画家デビューを果たす。1988年より「週刊少年ジャンプ」(集英社)において『ろくでなしBLUES』で初の連載を開始。以降、『ROOKIES』『べしゃり暮らし』などのヒット作を生みだす。作品の映像化も多い

作品紹介

とびだせ ビャクドー! ジッセンジャー
作:森田 まさのり
出版社:本願寺出版社
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