職業作家たることを覚悟した中期の代表作に、会心の描き下ろし挿絵19点を収録。 歴史的仮名遣いとカラー写真による好評の『津軽』に続く太宰の上製本第二弾!
読みはじめは、昔の文体なので戸惑いもありましたが、太宰治のシニカルながらシャイな姿に、いつか話の中に呑み込まれていました。
選ばれた四編の昔話と太宰治のスタンスは、「舌切雀」に書かれていますが、英雄伝的な噺を避けて、人間味、社会性の中に太宰治の主観を持ち込んだ所に好感を持ちました。
「瘤取り」の偶然性、「浦島さん」の疑心観、「カチカチ山」の愛憎劇、どれも親しんだ昔話を超越しているのですが、桃太郎の話を枕にしたような「舌切雀」の艶っぽさには恐れ入りました。
どれも、独立した絵本で、伸び伸びとスズキコージさんに描いてもらったら、爆発的な作品になるような気がするのですが。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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