足穂先生の『一千一秒物語』と出合ったのは、デザイン専門学校生のころ。
なにもが夢物語のような、さっぱり訳の解らぬ感覚に捉えられ、
この70のお話に絵を付けようと決めました。
それさえできたら、私の人生は良しとしよう、と。
絵本作家・楠千恵子が、ライフワークとして、タルホ文学を見事に
イメージ化した注目の画本。
〔著者(いながき・たるほ)紹介〕
1900年大阪市生まれ。関西学院中等部卒後、上京。佐藤春夫の知遇を得、
小説を書き始める。1922年、「チョコレット」を発表。翌年『一千一秒物語』
300部を 処女出版。『弥勒』『A感覚とV感覚』『少年愛』などがある。1977年没。
三島由紀夫は、稲垣を「昭和文学のもっとも微妙な花のひとつ」と絶賛、
松岡正剛氏は『一千一秒物語』を評して、「たまげた。こんなにシャレたものが世の中
にあること自体が奇蹟のように思われた」と、最も影響を受けた本の一冊にあげている。
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