
となりの家のじいさんは、とんでもない人種差別主義者だった!イギリスに住むインド系移民、善良なるシク教徒のシン一家の運命は?

舞台はイギリス、移民が多く住むレスターという町。インド系移民のシン一家と、その隣人ミックとのあれこれが、シン一家の次男ハーヴェイの目から語られる。
周りの人と交流を持たず、人種差別的な言葉を公言し、一人で暮らす偏屈な老人、ミック。シン一家はなんとか仲良くしようとするがすべて無駄。だが、ミックが若者に絡まれているところをハーヴェイが助けたことから、もつれた糸が少しずつほぐれていく。
異質なものが混ざり合う時、必ず双方ともに違和感と反発心を持つ。共存することは簡単ではない。だが不可能ではないという糸口を、若者らしいしなやかな感性と対応が導き出した。
こぶりな本だが、重いテーマが読みやすく分かりやすく描かれていた。音楽や犬、若者の恋愛話や友情、おっかない母親などが物語に日常性を与えていて、「移民問題」に遠い暮らしをしている私にも入りこみやすかった。なによりハッピーエンドで読後感が良かった。中学生、高校生の読書感想文用の本としてもおすすめ。
著者のバリ・ライさんは、レスターで生まれたインド系移民2世。 (なみ@えほんさん 50代・その他の方 )
|