小学生＆中学生のための新しい読みものシリーズ「集英社みらい文庫」。 名作の新訳から、人気作家によるオリジナルのファンタジーやミステリー、お馴染みのアニメやコミック作品のノベライズまで、思わず手にとりたくなる明るく楽しい表紙とバラエティに富んだお話のラインナップが人気です。 こちらが、今夏から児童向け電子書店サービス「honto for ニンテンドー3DS」でも毎月配信が始まったとお聞きし、今回、「みらい文庫」の編集長に、「みらい文庫」への思いや、「ニンテンドー3DS」での読書についてなど、さまざまお話を伺いました。
───はじめに、集英社みらい文庫シリーズについて、対象としている年齢やネーミングの由来、大切にしていることなどについてご紹介いただけるでしょうか。
コアな読者層は小学５〜６年生と中学1年生ですが、その前後に広がり、小学校低学年から中学２〜３年生ぐらいまでの子に読んでもらっています。
「本を持つ、その手の中に、ドキドキするみらい―」
これはみらい文庫創刊時のキャッチコピーです。
本を読むとき、1枚のページをめくる向こう側に未知の世界、ドキドキのみらいが無限に広がっている―子ども達に、読書の魅力を知ってもらい、読書を通していろんな体験をしてもらいたい、そんな思いから「みらい文庫」と名付けられました。
子ども達には、文字を読むことの楽しさを知って欲しいですね。
堅苦しくなく、子ども達の興味を追求し、読んでみたいと思う作品を作ることが一番大切だと思っています。
1冊を読み終えた後の感動が、次の1冊につながると思います。
───集英社みらい文庫作品は、ラインナップがバラエティに富んでいて、とても充実されていますよね。
いろいろな好みを持った子ども達がそれぞれに読みたい作品を見つけられるようなラインナップだと感じますが、方針としてはどのように作品を作っているのか教えていただけますか。
とにかく、子どもの興味を引きそうなテーマはすべてアリ、と思っています。
読者がキャラクターに感情移入できて、お話に引き込まれて、そして最後に感動できる。
読んだ後に心に何かを残せるよう、そして、また物語のキャラクターたちに会ってみたい、と思ってもらえるよう、作品を作っています。
───集英社みらい文庫の電子書籍化は、「honto for ニンテンドー3DS」が初になるそうですね。 なぜ「honto for ニンテンドー3DS」で電子書籍化しようと思われたのでしょうか。
普段はそれほど読書はしないけれど、3DSでゲームをする、という子は多いと思います。
いつも書店に来て、本を買ってくれる積極的な読者、ではない子にアピールして、みらい文庫の作品を読んでもらいたいと思っていました。みらい文庫のそれぞれの作品自体にはとてもパワーがあると自負しているので、一度読んでみてもらえたら、きっと次につながる、という思いはあります。そういう意味でも、3DSでの配信が新規読者開拓につながると考えています。
───通常版の紙の本で売れる作品と「honto for ニンテンドー3DS」で売れる作品では、何か違いが見られたりするのでしょうか。それぞれで人気の作品、シリーズなどがありましたら教えて下さい。
まだ、3DSでリリースしているラインナップが多くはないので、一概には言えないのですが、紙の本でも人気のある「電車で行こう！」は3DSでも人気が高いですね。これは“鉄道”というテーマの強さにあるのかもしれません。
ただ、紙の本では苦戦したタイトルが3DSで売れた！という事例が出てくると、今後の展開が面白くなりそうです。
"電車大好き小学生で結成された""トレイン・トラベル・チーム""。 メンバーの雄太たちは旅行に出かけようとしたが、駅構内で事件に遭遇してしまう。チーム初のミッションは、数十本ある新幹線の乗客からたった１人を見つけること!?"
- 集英社みらい文庫 君に届け(1) はじめての気持ち
- 原作・絵：椎名 軽穂
著：白井かなこ - 出版社：集英社
高１の爽子（さわこ）は、見た目が暗く、クラスでも浮いた存在。でも、そんな爽子を人気者、風早くんは気にかけてくれていて……。あこがれの風早くんやクラスメイトをめぐる、爽子のほのかな恋と、あつ〜い友情物語。
- 集英社みらい文庫 絶叫学級(1) 禁断の遊び 編
- 原作・絵：いしかわ えみ
著：桑野 和明 - 出版社：集英社
「私の名前は黄泉。恐怖の世界の案内人です。日常の中で、ぽっかりと口を大きく開けて待っている、もう一つの世界へご案内しましょう。それでは、恐怖の授業を開始します……」『りぼん』で大人気連載中のホラーコミック、初のノベライズ！
「魔法少女バンビでーす！ きゅるん☆」。ある日、不思議ちゃん転校生がやってきた。超〜平和主義者のリセはバンビに圧倒されっぱなし。しかもひょんな事件に巻き込まれてしまう！
平凡な中2のさやは、ある日、超美少年・ウィルに「ドールの使い手はお前か」と連れて行かれ、魔女が作った人形クレイジーと出会う。ハロウィンナイトの祝福を。 みらい文庫大賞・優秀賞受賞作！
引っ越してきたばかりの中１のまつりは、GWを過ぎてもまだ友だちがいない。クラスの桐谷（イケメンで超いい人）の顔を見るだけでなぜかイライラするまつりだったが、最近桐谷は学校で水難に遭いまくってるらしい。呪い!? と大騒ぎになる中、『まつりちゃん、助けてあげて』という声が……!!
凜は、おしとやかになりたい小6。茶道を習うはずが、なぜか自称天才少年・透明とともに、かくれんぼの段位を取得し、全国大会を目指すことに！？ 4コマ漫画付きで贈る、みらい文庫大賞優秀賞受賞作！
あたし、桃川紡、小学５年生。学校の勉強はイマイチ苦手だけど、おしゃれは大大大大大好き！ テーマを決めてコーディネートを考えたり、仲よしの友だちに似あう服を考えたりするのって、とっても楽しいよ♪ ある日……不思議なことが起こったの！
夏休み明け、小梅のクラスに転校生・又三郎がやってきた。又三郎は美少年で、さらに「お笑い」の天才だった。彼が巻きおこす笑いのおかげで、こわい先生もやさしくなり、クラスの平均点まであがった！ しかし、その笑いはしだいに「恐怖」に変わってゆき･･･。
───子ども達に絶大な人気のある「ニンテンドー3DS」で児童書が読めるというのは、読書があまり得意でない子や子どもの本離れに有効だと感じるのですが、みらい文庫さんは、「ニンテンドー3DS」で児童書が読めるということについて、どのようにお考えになりますか？
私自身はずっと、紙で本を読んできたので、子ども達にも紙の本を読んで欲しい、という思いはありますが、まずは作品に触れてもらうことが大事だと思います。その作品世界を気に入ってくれれば、本を買ってずっと手元に置いておきたい、となるかもしれないし、その後も紙の本を買ってくれるかもしれない。ただ、存在を知ってもらえないと、その後の広がりもないので。3DSで読む電子書籍が「初めてのみらい文庫」体験になってくれると嬉しいなと思います。
インタビューにお答えいただいた「みらい文庫」編集長の木原陽子さん
───木原さん、貴重なお話をありがとうございました！
取材・構成： 秋山朋恵（絵本ナビ編集部）
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