●「ぴよちゃんのせかい展」、テーマは「体験するしかけ絵本」
───「ぴよちゃんのせかい」展はどういった経緯で開催することになったのでしょうか?
中津井:2013年の父の日の、モンテールさんとのコラボイベントで、はじめていりやまさんとお会いしまして、そのイベントをきっかけに今回の企画の提案をさせていただきました。
いりやま:ちょうど、いしかわこうじさんの「ふねくんのたび展」を開催していた時期で、ぼくも会場を見て、やってみたいな〜と思っていたんです。なので、お声がけいただいたときは嬉しかったですね。いしかわさんの展示を見ていたから、ぴよちゃんでやりたいイメージも膨らんで、いろいろお願いしやすかったです。
───いりやまさんの作品は、パステルを使った繊細なタッチが魅力ですが、それをデジタルにすることの大変さなどはありましたか?
小林:いもとようこさんなど繊細なタッチの絵本作家さんの展示をした経験もありますので、その経験を生かし、デジタル化は円滑に行うことができました。「ぴよちゃんのえほん」シリーズはしかけがメインなので、作品世界をどうやって体現化するかというテーマやアイディアを出すのが楽しく、いりやまさんにもいろいろアイディアを頂いて実現したものも多かったですね。
いりやま:今回のテーマは“体験するしかけ絵本”なんです。絵本の世界そのままを表現するよりも、なるべく世界に入って遊べるよう、デジタルとの融合を意識しました。
───デジタルとアナログの融合で特に意識をした部分はどんなところですか?
小林:随所にありますが…。例えば、「ぴよちゃんビックパッド」はアナログの「ぬり絵」とデジタルの融合です。
いりやま:いしかわこうじさんのときは船着き場だったと思うんですが、ぼくの作品だったら、何が喜んでもらえるか考えました。しかけ絵本と同じで、デジタルにもできることの制約がある分、工夫する面白さが生まれるんです。DNPさんからデジタルでできることをいろいろ提案いただいて、そこから発想するのは本当に楽しかったですね。
───今回、キネクトなどの新しい技術も導入されていますよね。
小林:そうですね。せっかくシアターがあるので、それを生かして新しいことをしたいと企画を進めました。最初は説明なども必要かな…と心配していたのですが、子ども達は遊んでいく中でどんどん使いこなしていきますし、私たちが想像していた以上の遊び方を生み出したりして…驚いています。
───今会場に訪れるお子さんは何才くらいが多いですか?
中津井:「ぴよちゃんのえほん」を知っている年代から来ていただけるので、まだハイハイしている小さいお子さんから小学生くらいまで幅広い年齢層の方にご来場いただいています。大きな展示もありますので、より安全で、丈夫なつくりにしたり、けがをしないようしかけの位置を低くしたり、楽しく遊んでもらえるような工夫をしています。
───大きい展示といえば、巨大なぴよちゃんはやはり人気が高いですか?
中津井:これはいりやまさんたっての願いで作りました(笑)。
いりやま:「今まで見たことのない大きさのぴよちゃんが見たい!」とお願いしたんです。出来上がった物を見たときには本当に感動しました!
今は、お客さんに愛され過ぎてちょっと変形していますが…(笑)。優しく扱ってもらえると嬉しいです。
───ワークショップも今回さらに充実していますよね。
小林:毎日開催している「デイリーワークショップ」と、土曜日・祝日に開催する「ホリデーワークショップ」。デイリーワークショップは、平日は来場いただいたときにいつでも遊んでいただけるようになっています。ぬり絵や工作のパーツを常に置いていますので、自由度が出て、お子さんも積極的に参加いただけるようになりました。
いりやま:このワークショップ以外にも会期中に3回、5月と7月、そして8月にぼくが参加するワークショップも予定しています。今回は「デジタルえほんミュージアム」でやるので、普段やらないようなポップアップを使ったワークショップなど趣向を凝らしたものを予定しています。
───5月はゴールデンウィークに行われるんですね!
いりやま:5月のイベントは先着順のため、申し込みが締め切られているかもしれないのですが…。会場に来てくださった方に向けて、イベントの後にミニサイン会も行いますので、ぜひ、「ぴよちゃんのせかい展」に来ていただけたら嬉しいです。
ぴよちゃんやぴよちゃんのおともだちにヘンシン
【5月のワークショップの募集は終了しました。サイン会は当日参加大歓迎です】
【内容】ワークショップの前半に、ぴよちゃんやぴよちゃんのおともだちの衣装・帽子を親子一緒に作ります。後半では、衣装・帽子を身につけて子ども達が登場するムービー作りを行います。最後にみんなで作った映像を楽しく観賞します。
【開催日時】2014/05/05(月・祝)10:30 〜 12:30(4〜6才)、14:00〜16:00(4〜8才)
【参加費】500円(税込)
【URL】http://www.dnp.co.jp/CGI/dotdnp/event/reservation/index.cgi
───本当に内容が盛りだくさんで、訪れたら長い時間楽しめる展示ばかりですね。改めて、この「ぴよちゃんのせかい展」をどんな方に楽しんでもらいたいですか?
いりやま:「ぴよちゃんのえほん」を読んで楽しんでいる方が、世界観を楽しんでもらえるのが一番嬉しいですね。ぴよちゃんを知らない方も、この展示をきっかけに絵本のことを知って、好きになってくれたら嬉しいです。
そのために、絵本コーナーもありますので、ぜひ、お子さんと一緒に読んでもらいたいです。
───「ぴよちゃんのせかい展」を楽しんで、ぴよちゃんのえほんのファンになる方もたくさんいると思います! ぴよちゃんのえほんの新刊の予定などはありますか?
いりやま:ぴよちゃんのえほんは今、新作を鋭意作成中です。詳細が決まったら、ぜひまたお知らせしたいと思います!楽しみにしていてください。
───本当ですか! では、新刊発売時にはまた、絵本ナビでインタビューさせていただけたら嬉しいです。
いりやま:よろしくお願いします。「ぴよちゃんのせかい展」は、ぼく自身、ほかの絵本作家さんのイベントに行くことが多くて、会場のディスプレイや展示を見るたびに、いつもすごくうらやましかったんです(笑)。「いつかは、ぼくも絵本の世界をほかの形でお見せしたいなー」って。今回、この「ぴよちゃんのせかい展」で、その夢が実現しました。
中津井:いりやまさんと、学研教育出版さんのご協力もあって今回も楽しい企画をお届けすることができました。ぴよちゃんは子どもだけでなく、お母さん世代のファンが多い作品です。DNPのスタッフも展示の準備を進めながら、あたたかいタッチのイラストやぴよちゃんのフォルムに癒されてきました(笑)。会期がゴールデンウィークや夏休みに渡って長く開催しています。夏に向けて変更する部分や新しいサービスも増える予定でいます。ぜひ、1度といわず、2度3度、お越しいただけたら嬉しいです。
───ありがとうございました。
今回、新たに追加されるイベントもチェックしなければですね。
皆さんぜひ、デジタルえほんミュージアムにお出かけください。
ぴよちゃんのせかい展
【インフォメーション】
展示期間:2014年3月3日(月)〜2014年8月30日(土)
開館日時:月〜土曜日(祝日を含む) 10:00−18:00
休館日:日曜日・年末年始
所在地:東京都新宿区市谷田町1-14-1
DNP市谷田町ビル(コミュニケーションプラザ ドットDNP B1F)
入場無料
URL:http://www.dnp.co.jp/dotdnp/
※本企画展は、株式会社学研教育出版にご協力いただいています。
※本企画展の企画・展示装飾は、株式会社デジタルえほんの
協力の下、制作しています。
【いりやまさんと一緒に楽しむワークショップ&ミニサイン会情報】
2回目…7月12日(土) 3回目…8月2日(土)
※詳細は決定次第、順次、上記URLサイトにて掲載していきます。
インタビュー: 磯崎園子 (絵本ナビ編集長)
文・構成: 木村春子(絵本ナビライター)