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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  最初で最後の自伝的絵本『ねないこは わたし』せなけいこさんインタビュー!

絵本のアイディアは、みんな子どもたちから受け取ったの。

───『ねないこはわたし』とってもインパクトのあるタイトルだと思いました。

このタイトルは、出版社さんからアイディアを出していただいたのですが、私はおばけが大好き。おばけに会えるなら、夜遅くまで起きていたいと思う私ですから、このタイトルは私にピッタリだと思い、嬉しくなりました。

───読んでいて、最初に面白いと思ったのが『ねないこだれだ』のエピソード。出版当時、「子どもが怖がってすぐに寝てくれてよかった」「いきなりおばけになるなんて、意味がわからない」という声が多かったそうですが、せなさんご自身はしつけや怖がらせることを考えてはいらっしゃらなかったというのが意外でした。

そうなのよ。うちは息子も娘もおばけが大好き。「おばけに なって とんでいけ」と言われたら、「いいよ、とんでいくよ」っていう子だった。もちろん、私もね(笑)。だから、子どもたちが友達になれるおばけを描いてみようと思って生まれたのが『ねないこだれだ』をはじめとした、たくさんのおばけの絵本だったの。

───お子さんは、おばけを怖がらなかったんですか?

もちろん怖いのよ。息子が小さかった頃は、水木しげる先生の「ゲゲゲの鬼太郎」がテレビでやっていたの。放送時間が来ると「おばけのテレビ、見せて」って息子が言うから、つけてあげる。でも、私が仕事や家事でテレビの前を離れようとすると「一緒に見よう」ってしがみついてくるの。そういう子どもたちの姿を見ると、おばけの絵本のアイディアがどんどん浮かんできたのよ。

───白い体に、黄色い目、赤い口と大きな手……。せなさんのおばけは、一目で分かりますよね。はじめからこういう姿のおばけを描こうと思っていたんですか?

水木しげるさんをはじめ、私にはおばけの先輩がたくさんいましたから、いろいろなおばけの本を見て、おばけとはどういうものかという概念を考えて描いているんです。40年以上もおばけを描いていますからね。おばけの匂いは、もう分かるようになってきたかしら(笑)。おばけの方も、私になついてきているわね。

───おばけがなつくなんて、すごいですね。

おばけはかわいいですよ、描いているとね。描かれているおばけの方は言い分があると思いますが……(笑)。

───『ねないこだれだ』は「いやだいやだの絵本」シリーズとして、1969年に出版されました。4冊同時発売というのは、とても珍しいことだったと思うのですが、出版に至った経緯も、『ねないこはわたし』の中に出てきていますね。

「いやだいやだの絵本」シリーズが私の最初の絵本です。19歳で絵本作家になりたいと勉強をはじめてから、18年も経っていました。絵本を出版することになったきっかけは、『にんじん』でした。私もだんなさんもにんじんが嫌いだったの。でも、子どもたちには好き嫌いなく食べてほしいから、にんじんを好きな動物がいっぱい出てくる絵本を手作りしたの。ポスターの紙を台紙に、デパートの包装紙やチラシ、画用紙の切れ端を使って絵を貼ってね。その絵本のことを出版社の人にお話ししたら、「面白そうだから、見せてください」と言われたんで、喜んで見せに行ったの。そうしたら、いっぺんに4冊も出せることになった。それまで、絵本を出したいと思っても出すことができなかったから、こんなに急に絵本が出せることになってビックリ。しかも、40年以上も子どもたちに読まれているなんて、とても驚いているのよ。

───「いやだいやだの絵本」シリーズは、お子さんのエピソードが物語のきっかけになっているんですね。

「いやだいやだの絵本」だけじゃないですよ。「めがねうさぎ」シリーズは息子がメガネをかけることになって、メガネに慣れてほしいという思いから生まれた作品ですし、『ルルちゃんのくつした』に出てくる「ルルちゃん」は娘をモデルにしています。子どもたちだけでなく、我が家で飼っていたうさぎの「うさんごろ」と「はんしろう」も絵本に登場しているでしょう(笑)。そんなんだから、子どもたちは、私の絵本に登場することを嫌がって、「いい子にしていないと、またママに本にされちゃいますよ!」って言っていたのよ。

───絵本に登場できるなんて、嬉しいと思うのですが、お子さんとしてはきっと、恥ずかしさもあったのですね。せなさんご自身がモデルになった絵本もあるそうですが?

それは『あーんあん』ね。子どもたちは幼稚園に行っても泣かなかったけれど、私は幼稚園の頃、親が帰ってしまいひとりになると、寂しくなって、わーんと泣き出す子だったの。ひとしきり泣いて、泣き止むと園長先生が「さあ、けいこちゃんが泣き止んだから、みんなでバンザイをしましょう!」と言って、友達みんな「バンザーイ、バンザーイ」ってやるのが日常だった。あのときは、どうして涙が出るのか分からなかったけれど、大人になって絵本を作ることができたから、きっとこのためだったのかなって思ったわ。

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せなけいこ(せなけいこ)

  • 東京生まれ。武井武雄氏に師事。1970年、「いやだいやだの絵本」でサンケイ児童文学賞受賞。児童出版美術家連盟会員。「あーん あーんの絵本<全4冊>」(福音館書店)、「おおきくなりたい<全4冊>」(偕成社)、「ばけものつかい」(童心社)、「おばけのてんぷら」(ポプラ社)などの作品がある。ほかに紙芝居、装丁、さしえなど幅広い分野で活躍中。

作品紹介

ねないこはわたし
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作・絵:せな けいこ
出版社:文藝春秋
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