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絵・文: 川浦 良枝  出版社: 白泉社 白泉社の特集ページがあります!
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《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2011.09.21

蜂飼耳さん、牧野千穂さん
『うきわねこ』インタビュー

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『うきわねこ』:蜂飼耳さん、牧野千穂さん

大きなうきわを手にして、きょとんとした顔でこちらをうかがう小さなネコ…。
このあどけない姿を見ただけで、心を奪われる方も多いのではないでしょうか。
鮮やかな言葉遣いと独特の世界観で、詩から小説まで幅広く手がける詩人の蜂飼耳(はちかいみみ)さんと、装画や挿絵を中心に、画家として活躍されている牧野千穂(まきのちほ)さん。お二人の初の絵本『うきわねこ』はメディアでも多数紹介されている、大人気の作品です。
今回、話題の絵本を描かれたお二人に会いに、出版元であるブロンズ新社さんにお邪魔しました。
なんと、取材に伺った日は、『うきわねこ』の3刷が決定した日!
おめでたい報告に心を躍らせながらのインタビューとなりました。

うきわねこ

うきわねこ
作:蜂飼 耳
絵:牧野 千穂
出版社:ブロンズ新社

えびおのお誕生日に、おじいちゃんからとどいたうきわ。それは、ただのうきわではありませんでした。待ちに待った満月の夜に、えびおがうきわをふくらませると、月にひきよせられるようにのぼっていきます。
この夜えびおが体験した、わすれられない出来事とは……?

きっかけは牧野さんの1枚の絵

─── 私も表紙のネコの立ち姿と『うきわねこ』という不思議なタイトルの組み合わせに心をわしづかみにされたひとりなんですが…(笑)。
読んでいくと、ネコの名前が「えびお」だったり、おかかおむすびを食べていたり・・・ところどころ不思議な部分があって、「え? どうなるの?」と思ったんです。
それからどんどん予想を上回る展開になっていって。「あ、飛ぶんだ!」って(笑)。

牧野:私も思いました、「なんで、えびお・・・? なんで、おかかおむすび・・・って」(笑)

─── このおはなしが生まれたきっかけがとても気になったのですが、教えていただけますか?

蜂飼耳さん 蜂飼:ブロンズ新社の編集さんからお仕事をいただいたときに、すでに「絵は牧野さん」と決まっていたんです。それで、牧野さんのこれまでのお仕事のファイルを見せてもらったんですが、色んな動物を描かれていたんです。
その中で私は、「物語の主人公になるような、何か面白く動き出しそうな動物はないかな…」という感じで、ひとつひとつ見ていったんですよ。そうしたら、このトラネコの絵を見つけて…(笑)。
一目で「これ!」って決まりました。
ちょっとおじさんのような、世をすねたような、腹に一物あるような…この表情が他の動物と違ったんです。

牧野:私はその様子をそばで見ていたんですが、「あ、やられた…」って思いました(笑)。作品をパラパラと見て、すぐに「これ」って指差しましたよね。

蜂飼:牧野さんは、ネコに対して何かご自分の感触を持ってらっしゃるんじゃないかな…という予感を感じたんです。

牧野:たしかに、この子だけはちょっと特別だったんです。私、動物は他にも結構描いているんですが、他の子はどれも象徴的な感じで描いていたんです。でも、この子には、ちょっとグレたような、後ろめたそうにしているという設定が自分の中にあったんですね。 『うきわねこ』のモデル?うきわを持ってこちらをうかがうトラネコ。
▲これが『うきわねこ』のモデル?(一番左の絵)うきわを持ってこちらをうかがうトラネコさんです。

─── この絵はどんなときに描かれた絵だったんですか?

牧野千穂さん 牧野:たしか、JRの季刊誌だったと思うのですが…。コラム用に描いたイラストで、特に内容に合わせる必要のないカットだったんです。「コンセプトも7月号で夏だから、うきわ」って感じで描いたものだと思います。その後、この絵をジグレー版画にして個展に出したのですが、そのとき付けたタイトルが「休暇をとった理由」(笑)。

蜂飼:泳げないのか、泳ぎたいのか…(笑)。とても想像を掻き立てるネコだったんです。これがきっかけで、ネコとうきわの話を書きたいなぁと思いました。
…結果としてはおじさんではなく、少年のネコになりましたが(笑)。

─── 絵本はどちらかというと、先に文章があって、それから画家さんを考える…というのが一般的な流れかと思っていたのですが、今回はとても特殊なスタートを切ったんですね。
その次に気になるのが「えびお」という名前なのですが…。

蜂飼:それは本当に一瞬で浮かんできたので、そんなにエピソードはないんですよ。
何かモデルがいたというわけでもなくて、おはなしを考えていく中で、「"えびお"だなぁ」って。
おかかおむすびも、もしそれがトーストだったらつまらないなって思って。だったら何だろう…おむすびかなぁ…って出てきたんです(笑)。

─── お話を作る中で、こういうテーマにしようとか、ここでこういう構成にしようということを考えて作られているんですか?

蜂飼:私の感覚では、おはなしっていうのは自然と生まれてくる感じで…。ここでこうしよう、ああいう展開にしたら良いんじゃないか…と考えて書くものではないんですよね。えびおが、うきわで飛ぶなぁ…飛んだら空でおじいちゃんが待ってるんだろうなぁ…って。

牧野:それがすごく不思議ですよね。

蜂飼:おはなし自体はすごくスムーズにできた印象があるんです。そこから牧野さんが、本当に丁寧に時間をかけて絵を描いてくださったので。そのお仕事ぶりに感動しました。

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蜂飼 耳

  • 詩人・作家。1974年、神奈川県生まれ。
  • 詩を中心に、小説、エッセイ、児童文学など、さまざまなジャンルで活躍。
  • 2000年、詩集『いまにもうるおっていく陣地』(紫陽社)で第5回中原中也賞、2006年、詩集『食うものは食われる夜』(思潮社)で第56回芸術選奨新人賞受賞。主な著書に、詩集『隠す葉』(思潮社)、エッセイ『孔雀の羽の目がみてる』、『空を引き寄せる石』(ともに白泉社)、『秘密のおこない』(毎日新聞社)、小説『紅水晶』(講談社)、『転身』(集英社)、絵本『ひとりぐらしののぞみさん』(絵・大野八生/径書房)、「イソップ絵本」全5巻(岩崎書店)、童話『のろのろひつじとせかせかひつじ』(絵・ミヤハラヨウコ/理論社)などがある。

牧野 千穂

  • 画家。1965年、福岡県生まれ。
  • ステーショナリーメーカーの商品企画デザイナーを経て画家となる。パステル画で描きだされる独特の世界にはファンが多く、日本文学から海外文学、児童書まで、書籍の装画や挿絵を数多く手がけている。2009年、「魔法使いの弟子たち」(作・井上夢人)他で第40回講談社出版文化賞受賞。主な装画の仕事に、『34丁目の奇跡』(作・ヴァレンタイン・デイヴィス/あすなろ書房)、『宇宙への秘密の鍵』(作・ルーシー&スティーヴン・ホーキング/岩崎書店)、児童書に『犬と私の10の約束 バニラとみもの物語』(文・さとうまきこ/ポプラ社)などがある。

作品紹介

うきわねこ
作:蜂飼 耳
絵:牧野 千穂
出版社:ブロンズ新社


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