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新着レビューピックアップ!

2016/06/02

いい本だった!真正面から切りこんできて気持ちよいと思った。

いい本だった!真正面から切りこんできて気持ちよいと思った。

気になる新着レビューをご紹介します。
今回ご紹介する作品は…?

■ 理解されずしんどい子、正論にうんざりしている子にオススメ です。

★★★★★

てぃんくてぃんくさん 40代・せんせい 女の子14歳
逃げていいよ、は、もはや世の常識となりつつある。
逃げ方は歳相応に成長していかねばならないが、この世知辛い世の中、逃げる時は逃げなければならない。大人だってそうしている。
常々子供には言っているが、こう言われて育つと、何が何でも逃げてはいけないと思うのかやたら頑張る子になってしまった。難しい。

そんなところから戦争へ話が発展するとは思わなかった。
まず戦死した兵士の絵が、いつもの西原風の絵ではあるが、それでもショッキングだった(別にエグくはないですよ)
その兵士と話し、ついには貧困がループしていることに気付いた時の衝撃。
読後呆然。あんぐり口を開けたまま頭だけがせわしく動いていた。

厨二病真っ盛りの我が子を呼び、読んで読んでと薦めてみた。
うさんくさそうに手にとって貪るように読み、すぐ二度見してやっぱり兵士のところで止まった。
夢に出そうだと言いながら、何度も何度も読み返していた。
これがいじめから逃げてもいいよだけなら、なによりもきれいごとを敬遠するYA世代は読まないだろう。そこが西原さんだな、真正面から切りこんできて気持ちよいと思った。
しっかりヤングアダルトにも届いたようだ。本当はみんな、世の中の真実を知りたいのであって、きれいごとでは心の濁りは晴れません。

理解されずしんどい子、正論にうんざりしている子、オススメです。

いきのびる魔法ーいじめられている君へー いきのびる魔法ーいじめられている君へー」 著:西原 理恵子 出版社:小学館

西原理恵子のマンガ絵本シリーズ第1弾
朝日新聞に掲載されて評判となった「いじめられている君へ」への寄稿文を絵本化しました。オールカラーの絵本です。西原理恵子氏の最高傑作「うつくしいのはら」も収録。


遠回しの表現なんかいらない、生きていくための言葉を欲している子どもたちに読んでもらいたい、西原理恵子さんのマンガ絵本『いきのびる魔法ーいじめられている君へ』。

「学校は いじめられて つらい思いをしてまで 行くところじゃない」
「うそを ついて下さい。」
冒頭から、端的に常識をくつがえすような言葉。でも、そのことが西原さんがまず一番伝えたいと思っていることだということがすぐにわかります。
子どもというのは、まだまだ知らないことがたくさんあるし、自分で自由を得ることができない。ましてや、生きるか死ぬか、追いつめられている君にとって大事なのは、何よりも16歳まで生きのびること。なぜなら・・・。
大人になった立場から、そして戦場カメラマンだった夫の見てきたものから、いじめという現実のその苦しさを理解し、具体的に生きて行く方法をマンガ絵本という形で訴えます。
朝日新聞に掲載されて評判となった「いじめられている君へ」への寄稿文がオールカラーで絵本化されました。
「どんな紛争地でも、年間3万人も死んでいません。そんな多くの人が自殺する国は日本だけです。この国は形を変えた戦場なんです。」
本文に登場するこの言葉が、心の奥に刺さります。
同時に「うつくしいのはら」も収録されています。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)


絵本ナビ編集部

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