養老孟司・解説
失われた言葉づかい、季節の移ろいを捉える繊細な感受性。 懐かしい家族の情景、遊び、学校、夏祭り・・・ 子どもの鋭い眼と巧みな手によって、敗戦後一年目の夏がよみがえる。
<養老孟司・解説より> いまでは、そういう時代もあった、というしかない。 この日記がかかれた年に、私は著者より二つ年下で、小学校三年生だ った。だからというべきか、ところがというべきか、この時代の記憶は 鮮明に残っている。些細な違いを言い立てるなら、昭和二十一年に、私 の家では、母親がデパートに買い物に行ったりすることはなかった。デ パートなどというものが、この世にあるという知識も関心も私にはなか った。母は開業医で忙しかったから,それも当然であろう。しかも鎌倉 の町の中でも、牛馬がまだ多かった。本を読みながら歩いていて,何か にぶつかったからと頭をあげると,目の前に馬の長い顔があった。飼い 葉桶につまずいたのである。いまとなっては、そんな出来事が私の人生 にあったとは、ほとんど信じがたい。 この日記を見ていると,過去のさまざまなことが思い出されてくる。 この時代から考えると現代は・・
昭和二十一年当時、小学校5年生だった著者の夏休みの宿題を、そのま まカラーで再現し、養老孟司氏の解説を9頁付しました。 また、絵日記は旧字旧かなで書かれていますので、文章のみ現在のかな 使いに改めて収録してあります。
神戸に住む、小学5年生の少女が綴った、終戦1年目の夏休み。
昭和21年7月21日から8月31日までの絵日記を、原色のまま本にしたそうです。
正しく美しい日本語で、戦後の日常が、とても几帳面に書かれています。
内容は、配給のこと、畑で取れた野菜のこと、学校のこと、兄弟のこと、代用食のこと、など。
毎日の食べ物のことが、たくさん出てきます。
しかし、小学生の絵日記なのです。
高学年から中学生に、手にとって読んで欲しい本です。
日付毎の現代語訳も載っています。
大人の方には、養老孟司さんの解説もじっくりと読んで欲しいと思います。
養老孟司さんは、著者の2学年下。鎌倉で過ごしておられました。
著者が私家版で作った本を、出版社が養老孟司さんの解説を加え、市販本として出版しました。
是非全国の学校図書館に置いて欲しい、貴重な戦争資料です。 (ちゅら。さん 40代・ママ 男の子12歳)
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