
川村驥山は、明治15年に静岡県袋井の油山寺山門前に生まれ、父、東江から、3歳の時から、「書(しょ)」や中国の孔子が、孝行の大切さを説いた「孝経(こうきょう)」などの中国の古典を学び、5歳のときには、「孝経」2千字全文を暗記して書くことができた。
12歳のとき明治天皇、皇后の銀婚式の祝いに書を献上、神童と賞賛される。
後、書家として活躍。戦後、書道界初の日本芸術院賞を受賞する。
空海と良寛を慕い、一人の書家として「心をいかに書に表わすか」を求めて、明治、大正、昭和の激動の時代を、ひたすら書を愛し、自然を愛し、自由を愛し、ひとすじの清流のように生きた、驥山の八十余年の生涯を綴る。

読書感想文コンクール中学校の部課題図書。
書道は好きでしたが、川村驥山という書家は知りませんでした。
課題図書ということもあり、斜め読みしようと思っていましたが、
読み始めると、その純粋な生き方に惹かれ、精読してしまいました。
待望の男子として生まれた慎一郎は、幼少より父から学問や書を教えられます。
また、自宅近くの自然や寺が、慎一郎を育みます。
そして、5歳にしてしたためたという「大丈夫」の書は
その筆遣いの見事さが圧巻です。
一生を通じて、書に関する様々な見聞や修行をした、一途さが清々しいです。
明治から大正、昭和、戦争期を経て、と、時代背景も切実です。
私自身、高校の書道の授業で、書芸術と出会い、とても感銘を受けただけに、
彼の心の動きにとても共感できました。
誠実に生きた人物伝としてもお薦めします。 (レイラさん 40代・ママ 男の子14歳、男の子12歳)
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