男の子が、お気に入りのさるのぬいぐるみを森でなくしました。ぬいぐるみは、ねずみ、はりねずみ、からすへと次々に渡っていきます。文字のない絵本。
絵の存在感に圧倒されるオランダの文字なし絵本。見返しの森の絵を眺めただけで、作品の包み込むような深さが伝わってきます。お話に出てくるすべての場面がここに描かれているのです。
お母さんとお出かけした帰路、男の子は大好きなおさるさんのぬいぐるみを落としてしまいます。おさるさんはねずみたちに拾われ、はりねずみの家に運ばれ、黒い鳥にさらわれ、池に落っこちて……と紆余曲折を経ておもちゃのお医者さん(修理屋さん)のもとへ。
季節感たっぷりの自然描写、動物たちの様子を追えば、いつの間にかイマジネーションの世界に誘われます。初春の頃から夏、秋を経て冬まで流れる時間の中で、たくさんの発見があることでしょう。娘だけでなく、わたしも夢中になりました。文字がなくても存在感たっぷりの小さな大作です。 (ムースさん 40代・ママ 男の子12歳、女の子6歳)
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