
無情か、因果応報か。
筒井康隆の文学と、日本画家福井江太郎のコラボ絵本。
筒井康隆初期のショート・ショート集『笑うな』に収められた短編小説と、 日本画の世界で異彩を放つ福井江太郎の絵が合体。 二人の強烈な個性がぶつかり合う。
中学校の教科書にも取り上げられたこの短編が、いま、絵本として復活。

なんとも不気味な絵本です。
砂漠を旅する男と駝鳥がいます。
次第に食べ物がなくなっていきます。
それからどんなことが起きるのだろうと思うと、心がゾワゾワしてきます。
果たして、それまでの仲間の意識が、貪欲な生きるための切望に変わっていきます。
想像できる話ですが、とても残酷です。
駝鳥は身体を失い続けても共に歩き続けるのです。
きっかけは、駝鳥が男の大事にしていた、金ぐさりの時計を呑み込んでしまったからでした。
男の時間を奪ったということを暗示しているのでしょうか。
男の行為を容受していた駝鳥が反撃に出たのも、きっかけは時計でした。
結末に絶句しました。
決して明るい話ではありません。
心の闇を抉るようなお話です。
福井江太郎さんの絵が、あまりにもエグいです。
物語の重さに、大迫力な効果を加えていました。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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