人と暮らすって不自由で息苦しくて、でも時々たまらなく愛おしい。
塾講師として働いている遙は、友人たちとのルームシェアを解消して気落ちしていた。そこに同僚で恋人の百ちゃんがやって来る。
同棲をスタートしたふたりだが、遙は大好きなはずの百ちゃんとの暮らしに窮屈さを感じ始める。ひとりの空間や時間、娯楽を至上の楽しみとする遙に対して、「何をするかより、誰といるか」を重視する百ちゃん。価値観が根本的に異なるふたりは、少しずつ、しかし確実にすれ違っていき――。
好きなのに分かり合えない同棲カップルに、
母との喧嘩を機に別居していた父のところに転がり込んだものの、距離感に戸惑う女子中学生。
アパートの隣室に住む人懐っこいおばあさんに友人認定され、交換ノートを始めた女子大生。
暮らしの中で経験してきた悩みも、喜びも、きっとそこにある。
誰かと生きる日々のきらめきを、優しく掬い上げた5篇の連作短編集。
■著者プロフィール
川上佐都(かわかみ・さと)
1993年生まれ。神奈川県鎌倉市出身。『街に躍ねる』で第11回ポプラ社小説新人賞特別賞を受賞しデビュー。
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