新しい文化と古い文化が交じりあう国インド。生き物を大切にし、人を楽しませるのが大好きな、熱気あるインドの人びとのくらしを紹介。
2007年発行。インド各地を取材し、現地の庶民の生活、仕事、子どもたちの学校生活(現地の小学校、日本人学校など)、食事、宗教や文化、歴史などを紹介する写真絵本。
私が子どものころ(1980-1990年代)は、インドといえば、バックパッカーが貧乏旅行で訪れて、現地で長期滞在して人生観が変わって、変な人になって帰国するという摩訶不思議な国だった。ターバンを巻いたインド人キャラのカレーやスナックなどのCMが、人種差別スレスレで放送中。「インド人、嘘、ツカナイ」などの妙なギャグが流行った、と記憶している。発展途上国、サイババなどの不思議な世界、スピリチュアル(当時はニューエイジとか、オカルトとか言っていた)などなど、正体不明の情報が飛び交っていた。
今は、情報が手軽に入る。現地で生活している人の発信する、身元の確かな良質の情報もふんだんにあり、「摩訶不思議な国」という印象はだいぶなくなった。
それでも、未だに物議を醸し出すカースト制度や、ものすごい貧富の差、地域ごとの文化や生活の違いなどなど、日本では体験できない現実がごまんとある。
印象に残ったのは、学校にいけない貧しい生活をしている子どもたちに、寺院が給食を提供していること。子どもたちも、特に卑屈になることなく、遠慮なくおかわりをして、普通に給食を受け取って暮している。
最近、日本では「子ども食堂」などの活動が広まりつつあるらしいが、インドではお寺やボランティア組織などが率先して活動を行っている。本書では取り上げられていないが、マザー・テレサの救済活動などもインドだ。いろんな人がいろんな活動をして、社会が成り立っていることを、この本を読んで改めて実感した。
貧困を自己責任として批判するのではなく、問題解決のためにできることをどんどんやる人が増えていくとよいと思った。
インドはどんどん変わっていくので、2021年現在は、また違った世界になっているはず。最新版を見たい。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
|