しあわせ しあわせ
作: いもと ようこ  出版社: 講談社 講談社の特集ページがあります!
いもとようこ“感動の実話絵本”。母子のやりとりから、日々の暮らしの大切な気持ちに気づかせてくれる、やさしくあたたかなお話。
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スタイリッシュな赤ちゃん絵本『あり いぬ うさぎ』サイラス・ハイスミスさん、翻訳者・さこむらひろこさんインタビュー

ちいさいお子さんがはじめて出会う「あいうえお」の絵本に、とってもスタイリッシュな作品が仲間入りしました。
『あり いぬ うさぎ』の著者、サイラス・ハイスミスさんは、文字をデザインする「タイプデザイン」の世界で活躍する、プロの書体デザイナーです。
今回、サイラスさんが日本に来日されているということを聞き、早速、絵本ナビスタッフがインタビューに。
絵本の翻訳を手がけ、今回は著者としても参加されている、さこむらひろこさんと共に、絵本作家デビュー作である前作『APPLE BEAR CAT』はどのように生まれたのか、『あり いぬ うさぎ』で初めてひらがなを書いたときの印象は? お子さんと絵本の関わり方は? などなど、気になることをいろいろ伺いました。

あり いぬ うさぎ
あり いぬ うさぎの試し読みができます!
絵:サイラス・ハイスミス
文:さこむら ひろこ
出版社:文溪堂

美しい色と、ユーモラスな絵、美しい文字で見せる「あいうえお」絵本。美しいビジュアルで、0歳から楽しめます。 世界の第一線で活躍するフォントデザイナーが手がける初めての「あいうえお」です。

パパと娘とのコミュニケーションから生まれたABC絵本

───『APPLE BEAR CAT』は、AからZまでのアルファベットと、そのアルファベットが使われている物が描かれている、とてもシンプルなABC絵本ですが、描かれているもののデザインや、フォントの美しさが際立っているように感じました。この絵本はどのようにして誕生したのですか?

サイラス:これは、ぼくと娘のフランシスとのやり取りを作品にしたものなんです。彼女が3歳くらいのとき、この本の構成を思いついて、「A」は「Apple」、「B」は「Bear」といろいろなものを描きました。それを娘に見せて、絵を見てすぐに何か当てられたら、絵本に採用。娘が分からなかったら、分かるものに変えて、再チャレンジ……。そうやって娘とやり取りをしていき、最終的にこの26のイラストと、ABCの文字を合わせた絵本ができあがったんです。

───お嬢さんと一緒に作った絵本なんですね。26のアイテムを考えるのは難しくはなかったですか?

サイラス:「ABC」を「Apple」「Bear」「Cat」にしようというのは、最初から決めていました。でも、それ以外は悩みましたね。「D」は「Dinosaur」もあるし、「Dog」もありますから。たくさん候補がある中から、多くの人になじみ深いアイテムであることや、絵のインパクトなどを考えながら選びました。あとは、娘のジャッジも大切にね(笑)。

───お嬢さんが特に気に入った絵はどれでしたか?

サイラス:「J」は娘が3歳のときに着ていた「Jacket」を描いたので、絵本を見てすぐに「私のジャケット!」と大喜び。「K」の「Key」も我が家の鍵をモチーフにしているので、すぐに分かりましたね。

───本当だ! 今お持ちのキーホルダーとそっくりですね(笑)。

サイラス:娘がすぐに答えられなかったのは「I」の「Igloo(イグルー)」と「Y」の「Yeti(イエティ)」くらい。それ以外は3歳の娘の日常の中にあるものを描いています。娘と同じくらいの年齢の子にも親しみやすい作品だと思います。

───子どもたちになじみ深い動物以外にも、食べ物や自然、体の一部など、いろんなアイテムが載っているのも楽しいですよね。「M」の「Moon(ムーン)」のグッと抑えられたイラストのタッチもすごくステキです。

サイラス:「Moon」はぼくの妻も好きだといってくれています。

───サイラスさんご自身がお気に入りのイラストはどれですか?

サイラス:ぼくは「Volcano(ヴォルケーノ)」のパワー溢れる感じと、色の重なり方が気に入っています。あと、ウサギが好きなので、「Rabbit(ラビット)」もお気に入りです。

───ウサギの目が青いのも、とても印象に残ります。モチーフの選び方もそうですが、描かれている絵がどれもかわいくて、使われている色もオシャレで、印象に残るタッチなのもこの絵本の特徴だと感じました。

サイラス:ありがとうございます。ぼくは元々、タイプデザイナーを本業にしているので、本格的に絵を描くのはこの絵本がはじめてでした。でも、娘の協力もあり1冊の本として完成され、日本の読者の方にも喜んでいただけて嬉しいです。

───日本で出版するにあたって、原書と変えた部分はありますか?


英語版では表紙が違います!

サイラス:表紙が違います。原書では「Apple」の絵を使っていますが、日本で出版が決まったとき、編集者の方から「原書のままだと、日本の市場には少し年齢層が高いと思うんです……」とアドバイスを頂いて、今の表紙の絵を改めて描きました。

───日本版の表紙は黄色い背景に「ABC」の文字と「APPLE」「BEAR」「CAT」が並んでいて、とてもインパクトがありますよね。

サイラス:はい。このデザインはぼくもとても気に入っています。表紙以外に原書と変えた部分は、「A is for apple」と文字を入れたところです。原書はとてもシンプルに「A」とAppleの絵しか入っていませんでしたから。日本で出版するので、単語ではなく、文章として声に出してもらいたいと思って変更しました。


英語版の中ページ。日本語版よりもさらにシンプルですね。

───あえて、日本語訳をつけずに、英語にしたのはなぜですか?

サイラス:はじめは訳をつけようかとも思ったのですが、そうするとこの本のコンセプトである、シンプルでありながらスタイリッシュさを感じさせるデザインが損なわれてしまうような気がしたんです。それで、編集者の方とも相談して、最小限の言葉で表現してもらえるようにしました。

───アルファベットの文字もとても味がある形ですが、この文字もサイラスさんがデザインされたんですか?

サイラス:もちろん! それがぼくの本職ですから。


いつも持ち歩いているスケッチにも、デザインのアイデアが!

───タイプデザイナーって、日本の読者の方にはあまりなじみのない職業だと思うのですが、『APPLE BEAR CAT』の文字がどのようにデザインされているか、教えていただけますか?

サイラス:最初に紙と鉛筆を使って、文字のイメージを何度も描きます。その中から気に入ったものをパソコンにスキャニングして、そこからコンピューターを使って、形を整え、色を考えて1つの文字を作っていきます。

───最初からパソコンを使うのではなく、鉛筆で描いているなんて意外でした。

サイラス:手で作業する部分とデジタルで作業する部分をうまく混ぜ合わせて作っていますね。手で作業することによって、デジタルでは出せない、線の歪みや、手描きの温かみが出せます。反対に、色の微妙な調節や鮮やかな発色は、手描きでは限界があるので、パソコンを使って作業を行います。

───背景にドットのデザインが施されているのもとてもオシャレですが、これもデザイン上の演出なのでしょうか?

サイラス:そうです。職業柄、印刷のインクが混ざりあい、紙の上でどんな変化を見せるのかを色々考えながらデザインするのが好きなので、この絵本でもいろいろ新しい色の組み合わせを楽しんでいます。例えば、普通、文字の色は黒を使いますよね。でも、この絵本では黒にいろいろな色を合わせているんです。

───本当ですね! 赤っぽい黒やグリーンのまざっている黒など、よく見るとみんな少しずつ違う!

サイラス:この色の変化を出すのに効果を発揮しているのが、背景のドット「ハーフトーンパターン」です。ドットの色の上に黒いインクを載せることで、両方が合わさって、そのページ独自の色になります。

───タイプデザイナーとして、印刷の世界で活躍されているサイラスさんだからこそ、できるテクニックですね。

サイラス:ありがとうございます。印刷が終わって本を手にして、ぼくが想像していた通りの美しい発色が出たときは、とても感動しました。日本は印刷技術がとても高いので、オリジナルのバージョンよりもずっといい色が出ているんですよ!

───そうなんですか? それは、日本人としてとても鼻が高いです。

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サイラス・ハイスミス(サイラス・ハイスミス)

  • タイプデザインの仕事を中心にしながらも、アーティスト、絵本作家としても活躍。アメリカ合衆国東部のロードアイランド州プロヴィデンスに陶芸家の妻と娘と住む。絵本に『Apple Bear Cat』(文溪堂)、そのほかの著書に『欧文タイポグラフィの基本』(グラフィック社)がある。作品については主催するoccupant.orgで紹介されている。

さこむらひろこ(さこむらひろこ)

  • 「いろいろちがっているから面白い」「表面は違っていても根は同じ」との視点から、多くの国際的な美術展や文化イベント、空間プロデュースにかかわる。翻訳に『アメリカ・インディアンの神話』(大修館)、『ラップランドのサンタクロース図鑑』、『ぶた いろいろないろ』『ぶた いろいろなきもち』『ぶた すきなこといろいろ』(以下文溪堂)がある。

作品紹介

あり いぬ うさぎ
あり いぬ うさぎの試し読みができます!
絵:サイラス・ハイスミス
文:さこむら ひろこ
出版社:文溪堂
APPLE BEAR CAT
作:サイラス・ハイスミス
出版社:文溪堂
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