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作: 青山 邦彦 監修: 北川 央  出版社: 講談社 講談社の特集ページがあります!
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『ひみつのプクプクハイム村』ミヒャエル・ゾーヴァさんインタビュー

現代ドイツを代表する画家、ミヒャエル・ゾーヴァさん。日本では『ちいさなちいさな王様』『エスターハージー王子の冒険』『クマの名前は日曜日』など小説の挿絵や、映画『アメリ』『ウォレスとグルミット:ウェアラビットの呪い』の美術など、様々な仕事でファンを魅了しています。そんなゾーヴァさんに、2013年10月下旬、来日中のハードスケジュールの合間を縫ってお話をうかがうことができました。
どんな質問にも穏やかな表情でじっと耳をかたむけ、ユーモアをまじえながら答えてくださったゾーヴァさん。
初めての創作絵本『ひみつのプクプクハイム村』が生まれるきっかけとなった、ご自身の子どもたちへの読み聞かせのことや、実際に絵をどのように描いていったかなど、貴重なエピソードをたくさんお聞きしました。

ひみつのプクプクハイム村
ひみつのプクプクハイム村の試し読みができます!
作・絵:ミヒャエル・ゾーヴァ
訳:木本 栄
出版社:講談社

現代ドイツを代表する画家、ミヒャエル・ゾーヴァ 初めての創作絵本。 おもしろくて、美しい! ゾーヴァの新境地。 昔むかし、プクプクハイム村が、まだクサイハイム村と呼ばれていた頃、村人たちがいつもおおいに頭を悩ませていることがあった。それは村全体が、におうこと。 じつは、村の近くの山に巨大ななぞの生き物がすんでおり、村の農作物を食べては、おならをしまくっていたのだ。 ミヒャエル・ゾーヴァの美しくユーモラスな絵本、誕生。

「おなら」ユーモアにあふれた、初めての創作絵本

───はじめまして。2002年安曇野絵本館での展示、2009年松屋銀座での企画展を拝見し、こんなにすてきな絵を描かれるゾーヴァさんに直接お話をうかがう機会があるとは思ってもみませんでしたので、ドキドキしています。
ゾーヴァさんの出版物は数多くありますが、意外なことに文章・絵ともに手がけるのは、新作『ひみつのプクプクハイム村』が初めてなのだそうですね。

はい、そうなんです。ドイツ語のタイトルは『おケツ山のクサイ村(Stinkheim am Arschberg)』です。

───お、おケツ山、ですか!?

「Arsch」はドイツ語で「ケツ」だけじゃなく「バカ」や「バカヤロウ」の意味もある激しい表現なんです。僕の地元であるドイツのベルリンには、僕が描いた作品を応援してくれる書店の方がけっこういて、みんな売ろうとしてくれるのですが、この本は苦労しているみたいです。タイトルが「クサイ村」と「ケツ山」ですから。

───表紙は絵葉書みたいにすてきな風景で、とてもそんなふうには見えないのですが(笑)。
でも、ちょっといけない言葉が好きな子どもたちは大喜びですね。一体どのようにして、おならだらけのこんなに愉快なお話が生まれたのですか。


日本語版とドイツ語版を2冊並べて。

実は、子どもたちが小さい頃、寝る前の読み聞かせをしていたんですが、当時読んでいた本の一つに、こんなストーリーのものがありました。
「山があって、山の中にドラゴンが住んでいて、村もあって、村人がけっこう困っていた。なぜかというとドラゴンがたまに出てきて村人の食べ物をぜんぶ食べてしまう事件が発生していたので。もう騎士に頼んでドラゴンを退治しようと村人は考えた。騎士が山中のドラゴンのところまで行って、ドラゴンを追いかけた。けれども・・・」

───『ひみつのプクプクハイム村』とはじまり方が同じ?

はい(笑)。だいたいそこまで読むと、子どもたちはもう集中力の限界で、すごくつまらなそうにしている。それを何とかしよう、驚かせようと思って、もちろん文章には書いてなかったんですけど「そこで、ドラゴンがおならをした」「騎士は馬から吹っ飛ばされた」と言うと、さっきまでぼーっとしていた子どもたちがいきなり目を覚ましたようになって「え、本当にそんなこと書いてあるの?」とびっくりしたんですよ。
ちょうど娘が9歳か10歳、下の息子が5歳だったんですが、あまりに大喜びなので、子どもたちがあんなに喜ぶのなら、もう、そういうお話を描かなければと思ったんです。
それが『ひみつのプクプクハイム村』を作るきっかけで、元来おならの本が書きたくてしょうがないというわけではなかったんです(笑)。

───なるほど!そんないきさつがあったのですね。子どもたちには本をよく読み聞かせされていたんですか?

そうですね、ときどき子どもたちには本を読んでいましたし、即興で短いお話を作ることもありました。
『ひみつのプクプクハイム村』に、読み聞かせをしていたときの本の設定を借りたことにはちょっと罪悪感があるんですけど、ドイツには竜と騎士が出てくる同じような話が多いので、大丈夫かなと(笑)。

───これまでゾーヴァさんの絵に魅了されてきた人たちの期待を裏切らない、ため息が出そうな美しい絵の世界が広がっているんですが・・・ページをめくると、たしかに「ドラゴンのおなら」に「騎士が吹っ飛ばされて」います!
これまで一枚一枚の絵で表現されてきたユーモアが、新作はストーリーと絵、両方で表現されているのが見どころですね。

もう一つ、「ドラゴンがおならした」と「おしりから火が出た」がつながったのは、以前見た新聞記事がきっかけになっています。それは、恐竜を調べているアメリカの研究者たちが発表したもので、沼の中に暮らしていたと思われる大きな恐竜は、草などをたくさん食べるから、牛みたいに胃のなかでガスが発生する。その恐竜がおならをした場合、ガスの圧力と摩擦による熱でもしかして火がつく場合があったのではないか、という研究結果でした。おもしろい話を一回読むと絶対忘れないのです。
ただそれとは別に、僕自身が20年以上前に描いた中世の絵に、(くさくて)鼻をつまんだ騎士と、火のおならをするドラゴンがいる場面はあったと思うので・・・新聞記事と僕の発想と、どちらが先かはよくわからないのですが。

───(笑)『ひみつのプクプクハイム村』のストーリーは、竜をやっつけに行った騎士ヘリベルトが、逆にやっつけられ、一方で村では用意周到に竜退治の準備をしていたと、全く予測のつかない展開の繰り返し。ページをめくるまで次に何が起こるかわかりません。結局、お城はどうなったの? 竜はどこへ行ってしまったの?不思議なことだらけの物語にわくわくしてしまいます。
極めつけが最後のページ。「この物語の教訓は? 『なんにもなし! おならがクサいなんて、ずっと前から知ってたよ!』たしかにそのとおり。そんなこと、きみたちがいちばんよく知っているものね。でも」・・・このあとの結びの文章がまた最高ですね!(笑)

とにかく、騎士たちが見栄っぱりだったために、お姫様の前でおならする竜と戦ったと言えなかったんだ、というのが僕のお話の「教訓」です(笑)。

絵を描くのは楽しかった

───絵と文章、両方創作されるのは初めてとのことですが、どちらから取りかかったんですか?
今まで、ゾーヴァさんの挿絵はかなり時間がかかるとうかがったことがあります。

そうですね、絵から描きましたが、いつもより楽で早かったですね。
他の作家さんの文章につける挿絵を描くときは、まず渡された文章を読んで、そのなかで自分が気に入った場面、描きたい絵を決めなくてはなりません。そこまででけっこう時間がかかります。
『ひみつのプクプクハイム村』の構想をようやく実現にうつそうとしたとき、まず好きな「絵を描くほう」を最初にはじめました。でも本当は最初に文章がないとバランスがよくない。文章が先にあって、それを見て、どのへんに絵を入れるかを考えていくのがプロとしてよいやり方だったとあとで実感しました。
実際は真逆のやり方をしてしまって。テキストを書きはじめてから、すでに描いた絵にあわせて文章を短くしないといけなくなり、全体のバランスをとるのに苦労しました。
あと、絵を描くのが好きで、楽しいので、絵に時間をかけていたら、文章を書く時間がすごく短くなってしまいました(笑)。

───文章を書くのは難しかったですか。

思ったより難しかったです。メルヘンを語るおじいさんのような口調はあまり気に入りませんでした。じゃあ子ども向けにどんな口調で書いたらいいか。大人が語る文章にすると、どうしても皮肉やユーモアなど難しい表現が入ってしまって子どもたちにはよくわからないだろう、それもよくないな、とあれこれ考えました。

 

───最初に描いた絵はどれですか?

表紙の絵かな・・・。
一番時間がかかって、ずっと描いていたのはこれ。竜を囲んで村人たちがおならをしている場面です。


おケツ山のむこうから朝の光が差し込む瞬間!ゾーヴァさん、本当は「もうちょっと斜め下から」の角度で描きたかったそう。最後の最後まで手を加えつづけた絵。

僕が作ったお話はこうです。あるところにおケツ山があって、そこにはなぞの怪物(竜)が住んでいて、ふもとの村の農作物を食い荒らしたあげく、ねぐらの山でおならのガスを爆発させるため村人はおちおちしていられない。何しろ、飛んでいる鳥まで落っこちてくるくらいくさい。村は「クサイハイム」と呼ばれていたのですが、あるとき村人は怪物の退治をしようと思い立って・・・。

───(笑)。そこで前夜に豆料理やキャベツ料理をたっぷり食べた村のみんなが竜を囲んで、赤ちゃんからお年寄りまでいっせいにおならをするんですね。
おケツ山のむこうから朝日がのぼって、差し込む光がきれいですよね。朝焼けの雲も。すごくきれいなのにみんながおしりを出しているのがおもしろい。この一枚の絵だけでいろいろ想像して笑ってしまいます。

神父さんだけは、おしりを出すことはできないと言って、香炉(カトリック教会で使う道具)を振りながら清めの儀式をしていますけどね(笑)。

───おしりを出しているところを描くのは、楽しかったですか(笑)。

楽しかったですね。だから手前の村人より、おしりがこちらを向いている右ページに光があたっているんです(笑)。

───ひとりの女の子が、通りかかった王様に「これからは、この村をクサイハイムじゃなくて、プクプクハイムって名前にして!」とお願いをします。
日本語版のタイトル『ひみつのプクプクハイム村』はこの場面から来ているんですよね。ちなみに「ハイム」は「村」ですか。

いいえ、「ハイム」は「家」「自宅」「住む場所」みたいな意味。ドイツの村の名前に「〜ハイム」と付くことがよくあります。英語の「home」が近い。同じ感じで「〜タール」「〜ベルク」という場所の名前をよく見かけますが「タール」は谷、「ベルク」は山という意味です。


「赤ちゃんはおならをしはじめたら止まらなくなって、竜が倒れたあともおならをしています。ちょっと変な表情をしている人もいますよ。見つけてください」とゾーヴァさん。

女の子が王様に「この村を、プクプクハイムって名前にして!」 王様は『ちいさなちいさな王様』でたくさん描いたので、描きやすかったとのこと。

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ミヒャエル・ゾーヴァ

  • 1945年、ドイツ・ベルリン生まれ。芸術教育学を学び、画家・イラストレーターとして活躍。1995年、現代を的確に風刺した画家に与えられるオラーフ・グールブランソン賞を受賞。挿し絵に『ちいさなちいさな王様』『キリンと暮らすクジラと眠る』『思いがけない贈り物』『パパにつける薬』『魔笛』、画集に『ミヒャエル・ゾーヴァの世界』『ミヒャエル・ゾーヴァの仕事』がある。

作品紹介

ひみつのプクプクハイム村
ひみつのプクプクハイム村の試し読みができます!
作・絵:ミヒャエル・ゾーヴァ
訳:木本 栄
出版社:講談社
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