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絵本ナビスタッフ便り 9月

絵本ナビ編集部

2015/09/09

話題の絵本「せいめいのれきし」今、注目を浴びている2つの理由

 話題の絵本「せいめいのれきし」今、注目を浴びている2つの理由

パッと目を惹く黄色い表紙に、赤と緑で描かれた自然や生きものたちの絵!見覚えのある方も多いのでは?・・・ 
そう、1964年の刊行以来ずっと、たくさんの子どもたちに愛されてきたバージニア・リー・バートン『せいめいのれきし』です。 

今、この『せいめいのれきし』が、テレビやメディアでも紹介され、
書店で売り切れがつづくほどの人気になっているそうです。
一体、なぜなのでしょうか・・・?
この夏、半世紀ぶりにアップグレードした「改訂版」が登場
ロングセラーだった『せいめいのれきし』は今年7月、内容と本文がアップデートされた「改訂版」が発売されました。

著者バージニア・リー・バートンがこの本を書いた1960年代にはまだ知られていなかった、白亜紀の生きものたちの大量絶滅の理由。
隕石の衝突についてや、その後の恐竜の進化などが書き換えられています。
監修をつとめたのは、恐竜研究の第一線で活躍中の古生物学者である、国立科学博物館の真鍋真さん。
石井桃子さんの名訳はそのままに、最新の古生物学の知見に照らし合わせて知識や情報が加えられているのです。

せいめいのれきし 改訂版 せいめいのれきし 改訂版」 文・絵:バージニア・リー・バートン
訳:いしい ももこ
監修:まなべ まこと
出版社:岩波書店

みなさん、お待たせいたしました。いよいよ、舞台の幕が上がります。
プログラムは「せいめいのれきし」。
地球上に生命が誕生した瞬間から、地上でひとびとの暮らしが営まれている今、この時までのおはなし。
主役は三葉虫、頭足類、恐竜から、鳥、家畜に人間まで。そして植物たち。
長く壮大なこの舞台、心ゆくまでお楽しみください!

地球が生まれるより果てなき昔、太陽誕生のプロローグからはじまり、第一幕の舞台は古生代。
およそ5億年前、海底の王様といわれた三葉虫が進化し、やがて魚、両生類、昆虫たちが登場します。
動物たちとともに大きな進化を遂げたのは、植物。
岩でできた地面のなかに根を持ち、茎や葉をそなえて、太陽に向かって手を伸ばし始めました。
緑の大地、生命の息吹に満ち溢れる地球が生まれたのです。
この後、地球は、生命は、どんな進化を遂げていくのでしょう。
・・・まだまだ4幕のストーリーが待っています。

1964年の刊行からロングセラーとして読み継がれてきた絵本『せいめいのれきし』。
本書は、半世紀ぶりにアップグレードされた改訂版です。
監修を手がけたのは、小さい頃からこの絵本を愛読してきたという、恐竜研究第一線で活躍中の真鍋真さん。
石井桃子さんの名訳はそのままに最新の学説が反映された本文、どんなところが変わったのかな・・・旧版と読み比べてみるのも、楽しみの一つになりそうですね。

見開き左ページは生きものたちの進化の歴史が、右ページには舞台、その時代の地球の風景が広がります。
博物館に足しげく通い、8年かけてこの本を完成させたというバージニア・リー・バートン。
生きものたちの骨格や植物の葉や枝の形の細部までこだわって描かれた絵は、くまなく眺めるほどに新しい発見に出会うことでしょう。
専門的な内容にもかかわらず彼女の手にかかれば、地球誕生からの46億年の生命の歴史は、なんとも叙情的でファンタジックな世界。
46億年前も5万年前も、200年前も25年前も、そして昨日も。この地球の上で連綿と続いてきた時間のほんの一瞬。 
圧倒的なロマンを体感しながら、今、その時間の上に自分が、家族が、仲間がいるという不思議な奇跡に、胸は躍ります。

第5幕を終え、46億年のときを超えた舞台はようやく終幕…ではないようですよ。
「さあ、このあとは、あなたのおはなしです。主人公は、あなたです。」
時は、今。生命のリレーのバトンを受け取ったのは、この絵本を読み終えたあなた。
「せいめいのれきし」の舞台は絶えることなく、新しいストーリーがつむがれていきます。

科学者たちの原点となった絵本
実はこの「改訂版」の監修をつとめた真鍋真さ、小さい頃からこの絵本に親しんでいたのだそう。

「小学生の頃から身近にありました。景色の絵やうしろの見返しの博物館の絵が好きでした。
不思議な生き物がたくさん描かれていて、図鑑に近い楽しさもありましたね。
時代の移り変わりが舞台仕立てで語られるのにも心惹かれました。」


先日、さらにもう一人、この絵本を小さな頃から読んでいたという科学者が、
「NHKニュース おはよう日本」で紹介されました。

(NHKサイトにリンクしています)

『生命の星の条件を探る』の著者で、東京大学教授の阿部豊さん。
地球や惑星の進化や気候を研究テーマとされています。
治療法が見つかっていない難病・ALS(筋萎縮性側索硬化症)と闘いながら、現在も研究や執筆を続けています。

この阿部さんの原点となったのが幼い頃、お母さんが買ってくれたという「せいめいのれきし」。
絵本の最後の言葉に導かれるように、研究の道に入ったのだと語っています。
「これからあとは、あなたがたのおはなしです。その主人公は、あなたがたです」
作者バージニア・リー・バートンが渡したバトンは、今を生きる科学者たちにしっかりと渡され、
半世紀たった今、これからの未来を担う子ども達の胸に、再び生命の謎をひも解くタネを撒いているようです。

この改訂版を手に取った子どもたち、そして大人たちがつむいでいく「せいめいのれきし」には、
どんな続きが待っているのでしょう。
読みながら、そんな思いをはせたくなる、注目の一冊です。

恐竜博士と読もう!『せいめいのれきし 改訂版』 監修者の真鍋真先生が、絵本の魅力を語ります。

掲載されている情報は公開当時のものです。

絵本ナビ編集部

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